概要
高校生の優也は、なぜか来てしまった異世界で、ずっと閉じ込められていたドラゴンの少女──シルと二人で旅をしている。
他のドラゴンを探すため──でも、この世界の言葉を知らない優也とシルの旅は、なかなかドラゴンに辿り着かない。
洞窟の中に森が広がる国、
大きな空飛ぶクジラの背中の上、
言葉も文化も違ういろいろな街を巡って、二人で観光をしたり美味しいものを食べたり。
狭い世界しか知らなかったシルは、旅の中で好きなものを見付けてゆく。
何をして良いかもわからなかった優也の世界は、人と出会って言葉を知って、広がってゆく。
そんな、ファンタジー異世界ふれあい街歩き。
※ 第一章はほとんど状況説明です。手取り早く食べ歩き旅
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!彼らと一緒に文化に触れて、見知らぬ土地を旅しよう。
閉じ込められていた様子のドラゴンを助ける所から物語は始まります。いきなり異世界に飛ばされて困惑するしかないユーヤでしたが、このままここにいても仕方ないと、他のドラゴンを探してみようとふんわりした目的を設定し、ドラゴンの少女と旅立ちます。
「旅」という漢字を象形文字の原型に戻すと、右下の部分は人が二人並んでいる見た目の象形になるのですが、まさにそれが示すように、二人は手をつないで見知らぬ土地を転々とする物語。
言葉が通じず、知らない文化がそこにはあって、身振り手振りでなんとか衣食住を確保していきます。お金だけはたくさんある事、荷物がいくらでも入る便利な鞄の存在で、彼らは旅に専念する事…続きを読む - ★★★ Excellent!!!白昼夢を見るように、異世界の情景を味わえる
これは、突然異世界に飛ばされてしまったユーヤと、ひとりぼっちのドラゴンの少女シルの、ドラゴンを探す旅の物語です。
けれど、私としてはまずこの小説を「旅行を楽しむように」読んでいただきたい。異世界の美しい風景、見たことのない美味しそうな食べ物、知らない言葉、不思議な文化。それが本当に鮮やかに、丁寧に、においや味や温度まで感じるように描かれています。
さらりと読むだけで白昼夢のようにハッキリ脳裏に描かれる情景を、ユーヤとシルの二人と一緒に一つひとつ探って、体験して、知ってゆく読書体験。それこそが、この物語を私の中で特別な宝物にしてくれていると思います。
そして、全然違う生き物だけれど仲良し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!二人の足で歩く。世界は楽しいことや綺麗なもので溢れている。
異世界転移してきた高校生のユーヤと、そこで出会ったドラゴンの少女、シル。
他のドラゴンを探そうと始まった旅は二人にとってよくわからないことだらけで、ろくに言葉も通じない中、いろいろな人に助けてもらいながら進みます。
美味しいご飯を食べたり、綺麗な景色を見たり、不思議な風習を体験してみたり……。
少しずつ旅の楽しさを知ってゆくシルが大変可愛らしく、二人の距離感の変化には何度も和やかな気持ちになりました。
また、お話はユーヤの視点で語られますが、各章の終わりにある地域ガイドもオススメです。ユーヤにはわからないままだった物事の解説であったり、その地域に伝わる信仰であったりと、この世界により深…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『旅をする』を読んでたつもりが、旅してたわ
導入は異世界転移。
主人公のユーヤはドラゴン、シルを助け、少女の姿になったシルと目的のない旅をする。
立ち寄る所は言葉が通じませんが、土地土地のガイドがいて、言葉を学び、文化を知り、美味いものを飲み食いする。
なんかね、休日にてきとうに車を走らせて、気になったとこで止まり、知らないものを食べて、土産物屋の婆ちゃんに話を聞かせてもらう。まさにそんな感じ。
これだけでも満足ですが、ユーヤとシルの距離感がいい。最初は遠慮していても、ちょっとしたすれ違いで拗ねちゃったりして、もう。もう!
個人的には寝る前に節を一つ読むのがオススメです。いい夢みれますぜ! - ★★★ Excellent!!!これは、言葉の通じない本当の「異世界」旅行記。
主人公が理由もわからず異世界に来てしまう——古今東西、特に最近はそんな物語が溢れていますが、この物語のひとつの大きな特徴は、主人公ユーヤが最初に出会ったドラゴンの少女シル以外とは言葉が通じない、ということです。
ドラゴンなら強大な力を持っていて、誰とでも話せる、だから大丈夫——そう思いました? 残念! なんとシルは自分のことさえよくわからず、世界のことも言葉も何もわかりません。ある意味ユーヤ以上に世界の迷子です。
そんな二人が「何か」を探して旅する物語。
まず心惹かれるのが、何だかよくわからないのにとっても美味しそうな食べ物たち! とろける何か、蜂蜜のようなものがかかった甘そうな…続きを読む