白昼夢を見るように、異世界の情景を味わえる

これは、突然異世界に飛ばされてしまったユーヤと、ひとりぼっちのドラゴンの少女シルの、ドラゴンを探す旅の物語です。

けれど、私としてはまずこの小説を「旅行を楽しむように」読んでいただきたい。異世界の美しい風景、見たことのない美味しそうな食べ物、知らない言葉、不思議な文化。それが本当に鮮やかに、丁寧に、においや味や温度まで感じるように描かれています。

さらりと読むだけで白昼夢のようにハッキリ脳裏に描かれる情景を、ユーヤとシルの二人と一緒に一つひとつ探って、体験して、知ってゆく読書体験。それこそが、この物語を私の中で特別な宝物にしてくれていると思います。

そして、全然違う生き物だけれど仲良しな二人が、旅を経て少しずつ互いの影響を受け、やわらかな愛情を育て、近しい存在になってゆくところも見どころ!

素敵なポイントがたくさんありますが、もちろん、物語の本筋であるドラゴンの謎も、その存在を忘れさせてはくれません。

最後の方は特に……詳細は伏せますが、固唾を飲んで一気読みしました! こんなに静かなのに濃厚な盛り上がり方をする物語を読んだのは初めてです。

隅から隅まで魅力が詰まっていますので、ぜひまずは一章、読んでみてください。

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