小さな謎をひとつひとつ。その全てが世界というパズルのピースになっている

世界の秘密を巡る冒険譚、とあらすじには記されています。

けれど読んでいる時の感覚としては、決して謎はそんなに(読者の手に負えないほど)壮大なものではないのです。目の前に現れた謎にひとつひとつ触れ、探り、解決し……と堅実に、けれど時折織り交ぜられる事件に息を呑みながら読み進めてゆくと──ある時唐突に、「世界」が姿を表します。

知らず知らず、自分は主人公ウネン達と共にとてつもない秘密を探らされていたのだと、突然気づかされるのです。

散りばめられたピースが魔法のように美しく組み上がってゆくのを、口をぽかんと開けて呆然と見ているような心地がしました。

と、このレビューだけを読んだ皆様はきっと「抽象的すぎてどんな話かわからない」とお思いでしょう。

けれど下手な口は利けないのです。丁寧に読んできたつもりですが、どこの何が伏線になっていたのか、どの部分なら話してもネタバレにならないのか、私にもまだ把握しきれていません。

ともかく、謎の全てを知り尽くすために私はすぐにでも読み返そうと思います。皆様もぜひ一緒にこの物語の中を冒険し、謎解きしましょう。

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