愛を求めるほどに、全てが指の隙間からこぼれ落ちてゆく

平民出身の母を持つ王太子ラグナと、母方の従兄弟ウルス、幼馴染の娘フェリア。生まれにかかわりなく、仲良く育った三人の間にはしかし、成長するにつれ少しずつ距離が、そしていつしか亀裂が生まれてしまいます。

身分制度など存在しなければ、或いは国の行く末など無視してしまえれば――普通の甘酸っぱい恋をして、時には喧嘩して、当たり前に泣いたり笑ったりできたはずの彼ら。しかし三人はそんなしがらみを捨てられぬが故に、けれど情など不要と割り切ることもできないがために、とある事件を皮切りに悲劇の一途を辿ってしまうのです。

愛しているから、失いたくない。手に入れたい。

胸の内にそんな血を流す慟哭を抱えた彼らが、最後に選んだ道とは。

読者の胸を抉りながらも強く引き込んで離してくれない、残酷で上質な物語をお楽しみください。

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