概要
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名古屋駅から名鉄あるいはJRで二駅。金山総合駅の程近く、とある雑居ビルの二階に、非現実の世界で起きた事件を解決する探偵事務所がある。
そこで助手のバイトをしている男子高生・服部 朔(はっとり はじめ)は、探偵・樹神 皓志郎(こだま こうしろう)の手伝いで、依頼のあった怪異事件の調査を行う。
旧中村遊廓エリアで起きた、予備校生の失踪事件。
安産祈願で名高い八事(やごと)の神社で頻発する、妊婦の転落事故。
鎮め石と白龍を祀る車道(くるまみち)の神社付近で目撃された、少女の生首の怪。
名古屋市内のあちこちで発生する怪異を追ううち、一連の事象に関連性が見え始め……?
生者だろうと亡者
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心に深く、優しく触れていく救済の物語
名古屋を舞台に探偵事務所で助手としてバイトしている高校生、服部朔が探偵である樹神皓志郎のお手伝いをしながら、依頼を解決していく…というお話です。
このお話は先ず、ご当地ご飯にやられます。とても、美味しそうなんです。怪異という不穏な気配がありながらも、とにかく、ご飯の描写にお腹が空いてしまうのです。
同時にこの物語は怪異に誘われるように深く入り込み、のめり込んでしまう魅力があります。
そして登場人物が皆様、素敵です。
服部君は応援したくなりますし、樹神先生の安心感が半端ないです。その為に安心して物語を読み進めることが出来るのです。
共感応を持つ為に苦労してきた服部君を導く樹神先生と百花さんの二…続きを読む - ★★★ Excellent!!!モダンレトロな空気感も去ることながら、楽しいキャラクター達の物語
怪異、伝奇。
どこか硬いイメージも感じさせてしまうテーマではありますが、本作の目玉はなによりキャラクターの豊かさにあるのではないか、と思っています。
すずめ先生としてはめずらしい(?)高校生主人公、朔少年のなかなか見えてこない過去。大人なのに茶目っ気たっぷりの樹神先生、妖しい雰囲気の百花姐さん。
舞い込む事件に感じさせる、切なくもどこか共感できてしまうエピソード。暖かさと切なさがとても程よいバランスで、最後までストレスなく読まされてしまいました。
読み終わってすぐに思ったのは「少なくとも五巻くらいまではあるはず……読まねば!」という気持ちにさせられました。なにが言いたいかというとこの作…続きを読む - ★★★ Excellent!!!救われたのはきっと、子供の頃の私だ
『歌は呪文みたいなものだよ。例え発信者が意味を知らずとも、受信者が聴き取った形で効力を発揮する――』
作中のこの台詞こそが、物語の中核にあるのではと思いました。
幼い頃に何となく刷り込まれていた、耳馴染みのある童謡・遊び歌が、その俗説を辿っていくにしたがって、だんだんと不穏な旋律に聞こえてきます。
懐かしく、親しみのあるメロディーを聴いていたら、知らぬ間に不協和音が入り混じってきて、名古屋飯コメディドラマが心霊ホラーへと転調されていくゾクゾク感には、もはや快感すら覚えました。
依頼人だけでなく、登場する怪異にも、それぞれ人間味のあるドラマが内包されていて、依頼人との共鳴の中で、その悲鳴…続きを読む - ★★★ Excellent!!!説明不能な怪事件……でも、迷宮入りにはまだ早い!
黄昏時の高架下、寂れてしまった商店街、いつも人気のない公園。あなたの街にも、どこか背がぞくりとするような場所はありませんか?実はその感覚、当たっています。このような場所には怪異が住み、常に私たちを“あちら”へ招こうとじっと目を光らせている――。
この物語はそんな怪異たちが起こす事件が持ち込まれる、少し変わった探偵事務所のお話です。
依頼人が女性だと知ると喜ぶキザな優男が探偵、樹神皓志郎。個性ばっちりな彼が華麗に難事件を解決するのかと思いきや、主人公は彼の助手で高校生の、服部朔くんです。
怪異が視え、さらに常人にはない力を持つおかげで家庭に居場所を失った服部君は、賢いけれど周りに壁を作っ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!日常の怪異を解き明かす令和時代の探偵事務所。此処にあり!
樹神探偵事務所で助手をしている主人公、服部朔は共感応の特殊能力を持っている。そんな彼が、雇用主である皓志郎と調香師・百花と三人で依頼のあった怪異事件の調査に乗り出し、事件を解決してゆくミステリー調現代伝奇。
現世と幽世の狭間を往復したり、生霊や死霊が出てきたりするが、薄気味悪い、後味悪いレベルなのでホラーが苦手な方でも問題なく楽しめるエンタテインメントだと思う。
死霊の怨念や生霊の思いが渦巻く世界観。
そんな中、朔は己がどうあるべきかを問い掛け、一歩一歩歩き出す。
さり気なく入ってくるB級グルメの飯テロあり。
最初から最後まで通して読むと、全て繋がっているという仕立て。
全体的に読…続きを読む - ★★★ Excellent!!!日常の端々に潜む怪異と少年の成長。そして、名古屋メシ。
今作は主人公の服部少年の一人称で進んでいきます。
だからこそ、彼の見たもの感じたものがダイレクトに伝わってきます。気付いたときには彼の心と「共感」してしまっているのです。それは作者・陽澄さんの技量もさることながら、服部少年自身が思わず応援したくなるような等身大の少年だからなのでしょう。
一方で物語は、読み易い短編連作の形で進んでいきます。四つの短編からなる物語ですが、すべてが繋がっていて、いつの間にやら長編の様相を呈していきますから、読み応えも抜群です。
そして名古屋メシ。各章に必ず登場する名古屋メシは、どれも絶妙なリアリティで描かれていますから、馴染みのある方には共感を呼び、食べたこと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!探偵事務所が怪奇事件解決!もう泣くしかないやん……とにかく読んで……
読了後、泣き過ぎて茫然としていた自分がいました。
ああ、最高な物語……!!
この作品は、不可思議な怪奇事件を名古屋にある探偵事務所が解決していく短編構成のお話となっています。
この短編構成というのもかなり読みやすいですし、物語の面白さから次々に読み進めてたくなる本作です。その面白さから大興奮しすぎて、うっわコメントしたい!!けど続きを一刻もはやく読みたい!!!とすっごい葛藤している自分がいました。
そんな冷静さを掛けさせてくれるこちらの物語、まーーた登場人物もほんとーに魅力的で。
主人公は服部くんという高校生で、探偵事務所のオーナーな伊達男、樹神先生の助手として働いています。そして、その…続きを読む - ★★★ Excellent!!!完成度の高い作品を読みたい方におすすめ!
こちらの作者さんは読ませる物語を書くのがお上手なのですが、今作もとても面白かったです!
生者であれ死者であれ、他人の感覚を自分のように感じてしまう共感能(エンパス)を持つ男子高校生の服部 朔は、幼い頃から自身の能力に悩み、苦しんできました。
彼はひょんなことから怪異的な事件を解決する探偵事務所でバイトすることになり、樹神(こだま)先生の助手として様々な事件に遭遇します。
こちらの作品は連作短編という形で書かれていますが、全体を通してきちんと起承転結の流れになっている所が秀逸。
事件に遭遇する度に服部少年は相手に共感し、悩み、そして頼りがいのある樹神さんと百花さんという大人二人に導かれて少…続きを読む