心に深く、優しく触れていく救済の物語

名古屋を舞台に探偵事務所で助手としてバイトしている高校生、服部朔が探偵である樹神皓志郎のお手伝いをしながら、依頼を解決していく…というお話です。
このお話は先ず、ご当地ご飯にやられます。とても、美味しそうなんです。怪異という不穏な気配がありながらも、とにかく、ご飯の描写にお腹が空いてしまうのです。
同時にこの物語は怪異に誘われるように深く入り込み、のめり込んでしまう魅力があります。
そして登場人物が皆様、素敵です。
服部君は応援したくなりますし、樹神先生の安心感が半端ないです。その為に安心して物語を読み進めることが出来るのです。
共感応を持つ為に苦労してきた服部君を導く樹神先生と百花さんの二人のやり取りも素敵です。三人がそれぞれの能力を合わせて進む物語は点と点がひとつとなって、最後に服部君の抱えていたものへと着地します。
零和の今尚、生きる怪異は人間の哀しさが作るものとして、切なくもどこか心地の良い余韻を残して解決していきます。
それでも、どこかやりきれない思いや、背けたくなるような、人間の心が描かれていて、その度に出てくる登場人物達に思いを馳せてしまいます。

また、彼らに会いたくなる。そう思わせる心地よさもある物語です。

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