名古屋に潜む怪異な世界

実在の街を舞台にしながら、オカルトを扱うという、一瞬ミスマッチに思える取り合わせですが、名古屋をよく知っている私からすると、神社とか昔の遊郭とか病院とか、ちょっといわくつきな場所(施設名は伏せてあるがモチーフとなるものはある模様)を実際に登場させたりして、そこに潜む怪異と対峙します。

誰もが知っている童謡やおまじないをキーワードにして、隠された怖い意味を掘り下げてみたり、幽世の描写はホラーテイストも混じっていたりしますが、爽やかな探偵さん、随時登場する名古屋飯テロも出てきたりして、そこまで怖くはありません。

描写力は相変わらず丁寧で、読む側にストレスを与えない筆致で、しかしながら、これまでの陽澄ワールドとはまた違う新しい素材と完成度の高さに、驚嘆せず入られないでしょう。

名古屋を舞台とした現代ファンタジーはあまり見ないのではないでしょうか?
名古屋に縁がある人はもちろんのこと、ない方にもぜひ読んでいただきたいです!

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