数々の怪異。過去の事件。失われた記憶。謎の先にある真実とは

「開け」
 異能を乗せた声が響き、世界が赤く染まる。そこは現世と幽世の狭間。
 容喙声音を操る探偵と共感応を持つ少年助手が、哀しき怨霊と対峙する──

 ” 共感応 ” とは、相手の感情を受信してしまうという能力。
 その能力を持て余している服部少年は、探偵樹神の元で力のコントロールを学びつつ、探偵助手をしている。
 舞い込むのは怪異絡みの案件ばかり。洒落たスーツをパリッと着こなす樹神先生は、今日も気障ったらしいお辞儀で美しき依頼人をお出迎え。
 異能調香師である百花の力も借りつつ、二人は問題解決に乗り出すのだが……

 童謡に関連した怪異というのがおもしろ怖い。(童謡って、怖い歌多いですよね)
 過去の事件も絡み合い、徐々に謎が深まると共に少年の悩みも深まっていく構成に引き込まれる。不甲斐ない自分に苛立ち蹲っていた彼が、心を開き迷いを捨てて歩み出す姿は号泣必至。壮絶な過去と驚愕の真実を乗り越えた「彼ら」に拍手を送りたくなる。
 垂涎の名古屋グルメや、樹神先生のちょっと胡散臭いカッコよさ、癒し系美女な百花さんの和装ファッションにもご注目! 見どころ、笑いどころ、泣きどころ満載の、優しさ溢れる感動作です。
 あと、名古屋弁ってなんかいいですね。

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