もう、作品タイトルからしてかっこいいじゃないですか。「何これ、面白そう」って、期待感がググッと盛り上がりませんか?
読んでみれば、その期待を遥かに超える面白さ。最初の数行で風景がブワッと広がって心を掴まれ、1ページ読み終わる頃には期待は確信に変わるでしょう。肌を灼く陽射しと髪を揺らす潮風を感じながらさらに読み進めば、主人公マカレーナの強烈な魅力に心を撃ち抜かれること請け合いです。
他の登場人物も生き生きと描かれ、どのキャラを主人公に据えても物語ができそう。特に、マカレーナと愛人フアンの粋な関係性に痺れます。
また、銃撃戦やカーアクションの場面などは大スクリーンで観るハリウッド映画ばりの臨場感&大迫力。カメラワークやカット割がめちゃくちゃカッコイイんです。読みながら、何度PCの前で叫んだことか。
陽光と活気あふれる街の裏にある抗争、硝煙血煙立ち上るバイオレンス、夜に生きる女達の逞しさと危うさ、そして甘酸っぱく切ないラブロマンスが交錯する物語。そして幕間に挟まれる背景等の解説が物語の解像度を爆上げしてくれるという構造も有り難い。
強くお薦めしたい傑作なのですが……終盤はかなり泣かされることを覚悟しておいてください。もう何度も思い出し泣きしたのに、今思い返してもまた涙が。姐さん、あんたって人は……さらに最終話の美しさといったら、もう。
とにかく素晴らしい作品です。大好き。
マカレーナ。
あまりに魅力的なキャラクターでした。
娼館の主人にして絶世の美女。
ギャングのボスの愛人でありながら、誰にも支配されることはなく。
わがままで自由奔放にして、誰よりも情が深い優しい人間。
そんなマカレーナを中心に、カリブを舞台にしたラブストーリーとバイオレンスアクションが混然一体となった物語が幕を開けます。
まずもってカルテル(いわゆるギャング)の抗争を描き出すアクションシーンがとにかくかっこいい。
もう洋画のバイオレンスの楽しさと爽快感を詰め込んだ、悪漢たちのドラマとアクションシーンが見事です。
舞台が南国ということもあり、極彩色の世界で飛び交う銃弾と血しぶきが脳内にスタイリッシュに描写されていきます。
そんな地獄のような世界で、何者にも支配されない、唯我独尊の美女マカレーナ。
その女性らしい自由さと、気高さと、純粋さが、もう一つの恋の物語をつづっていきます。
そのマカレーナを取り巻く人物たちが誰もかれも魅力的。
カルテルのトップにして野心家、でもマカレーナには何かと手を焼いているフアン。
馬鹿みたいに純真無垢で誰とでも仲良くなってしまうガビ。
マカレーナがとにかくかわいがっているダニエリちゃん。
彼らが織りなすドラマには人間の性、ああ人ってこうだよな、こういう環境ではそうなるだろうな、というリアリティがあります。
しかもマカレーナはそんなリアリティの上を行く、なんとも魅力的なキャラクターでした。
読みやすくて、光景がありありと浮かぶ文章力と言葉たち。
次が気になって仕方のない、ストーリーと構成。
なにより読むほどに全員を好きになってしまうキャラクターたち。
本当に素晴らしい作品でした。
ぜひ読んでみてください!
(書き手の方はぜひ嫉妬してください)
舞台はカリブ海に面する某国。
麻薬流通が蔓延り、また経済を回している世界で、強かに生きる、娼婦とギャング、それから彼らを取り巻く仲間や堅気の人間が絶妙に調和し、鮮やかな物語を奏でます。
登場人物が皆、個性豊かで、裏社会なのに温かみがあったり、でもそれを表に出さないニヒルなセリフがかっこいいです。
そして、終始彩り続けるヒロインは夜の世界の女王。絶対的な美しさを武器に、危ない世界を悠然と闊歩する姿は、芸術的にすら見えます。
艶やかな美しさに翻弄され、逆に美しさゆえの苦悩を味わう、男と女たちが紡ぎ出す美しい物語に陶酔してみてください。
暴力と反社会の権化のような麻薬カルテルに連なる人々、夜の娼館で働く女たち、そして、お人好しな青年ガブリエルの交流を描いたアウトローな物語。
麻薬カルテル「旅団」に属する人々は我の強い荒くれ者ばかりで、殺人も暴力も当たり前。娼館で働く人々や、その併設アパートに住む子どもたちもどこかワケあり。一方のガブリエルは、体中から性善説を叫んでいるんじゃないかと言うほどのお人好しで、どんな理不尽にあっても命の危機に遭っても、相手を信じる心は決して曲がらない。
しかし、このガブリエルの狂気にも近い真っ直ぐな魅力と行動は、影の社会に生きる人々に良くも悪くも大きな影響を与えてゆきます。
社会の荒れ地を舞台とした、非常に情熱的な物語です。
タイトルにもある『罪の女』とは何だったのか。
本作の主人公たるマカレーナは、娼館の女王にして麻薬カルテルのボスの愛人。どっぷりと社会の闇の中で生きる女性です。
だけどこの場合の『罪』は、もっと魂の根深いところにあるものを指しているように思います。
読み始めてすぐに、マカレーナに惹かれました。明るく奔放で、何にも囚われない強さ。
周囲を取り巻く登場人物たちも魅力的で、血の通った、そして血生臭い人間関係が見事な筆致で描き出されていきます。
金か、権力か、性か——愛か。
人が生きる上で、切っても切れない欲望がある。それによって過ちを犯すかもしれない。
マカレーナはきっと、そういうものを全て抱き込んだ上で、堂々と生きているのです。
だからこそ、その魂は気高く美しい。
ハラハラする銃撃戦や入り乱れる愛憎に、濃密な映画を3本ほど立て続けに観たような満足感。なんなら最終章ずっと泣いてました。
カリブの空気を丸ごと味わえる、素晴らしい物語でした!
タイトルにある「コカ」はコカインの原料となる中南米の栽培植物。ちょっと妖しさのある舞台を背景に、運命的な恋が描かれるお話です。
中心となる人物のマカレーナは娼婦ですが、彼女に日陰の女という言葉は似合いません。太陽の下で咲き誇る花のように人を魅了してやまないマカレーナと周囲の人間関係を描く筆致は濃密で、熱気や汗の匂いまで伝わってきそう。
恋愛と並行して描かれる麻薬カルテルの抗争が圧巻。散っていく男たちも熱くてかっこいいのが本作の魅力のひとつです。
登場人物の不器用で泥臭い生き様に胸が熱くなりました。全員が魅力的ですが、きっと読者それぞれに推しがいるのでは。
幕間のコラムが楽しく、中南米という私たちには馴染みの薄い舞台を少しでも親しみのあるものにしてくれようとする作者様の心遣いも嬉しい。
ラストでわかるタイトルの秀逸さ。
読み終わったあとはいつまでも余韻が残る。
全力でお勧めしたいカクヨム屈指の名作です。重厚な筆致に身を任せつつ、カリブの熱気に酔いしれて下さい。
猥雑としているけれど賑やかで、街も人も輝いていて、裏では時に硝煙と血の臭いが漂う。そんな熱気に溢れるカリブの街を舞台に展開されるヒューマンドラマ。
幕間に挟まれているコラム(ぜひ読んでほしい)からも窺える通り、カリブ周辺地域の世情や文化についての知識が確かなものなので、カリブの風が運んでくるだろう空気を、全身に感じられました。
そこで生きている登場人物たちが、とにかく素敵。常にスポットライトを浴びて堂々と咲き誇っている主役、マカレーナ。彼女のカッコよさ、情の深さからくる挙動に一瞬で魅了された後は、そのまま周囲の人物にもどんどん魅了されてしまいます。酸っぱさも苦さも含んだ恋模様や、彼女たちのすぐ傍で巻き起こるカルテルの抗争からも目が離せません。
舞台良し、キャラ良し、ストーリー良しの三拍子が揃った作品です。ぜひお読みください!
登場人物が魅力的で一気に引き込まれてしまいました。
娼婦といえば夜の女。でも彼女──マカレーナはまるで太陽のような女性。
持ち前の色気で男を骨抜きにしつつも、その情熱的な魂は男だけでなく周囲の人間を魅了していきます。
奔放に見えつつも、胸のうちには熱いものを秘めている彼女には、思わず女性の私も惚れてしまいました!
自身の生い立ちから好きな人に向き合えないダニエリ、汚れを知らない天使のようなガブリエル、野犬のような悪漢、だけども惚れた女を情熱的に愛するフアンなど、魅力的な登場人物が物語を彩ります。
まるで本当に彼らが生きているかのような描写で、どのキャラクターにもつい感情移入してしまいます。
だからこそ、恋に悩む女性には心を痛め、抗争に赴くカルテルの男達にはハラハラし、恋人達との甘い一時には胸を高鳴らせながら読むことができるのです。
登場人物の気持ちがヒシヒシと伝わってきて、物語が進むと共に感情が揺さぶられていきます。
美しいカリブの情景と、血生臭い戦闘が隣り合わせである所もリアルで印象的です。
その繊細な描写は、文章を読んでいるはずなのに、まるで映画を見ているかのよう。
心を揺さぶられる物語です。
皆さんもぜひ読んでみてください。
青い空、青い海、白い砂浜。振り返れば、彩り豊かな配色で並び立つ家々……しかしその奥では、内戦で疲弊した人々が生き抜くために選んだ裏社会や、国の裏資金ともなっているコカ畑が広がっている世界。カリブ海に面したそんな一国を拾い上げ、そこで繰り広げられる抗争と恋模様をデスパシート(ゆっくりと)に綴った珠玉の小説です。
お国柄なのでしょうか、男どもは「後悔」という言葉を知らないかのように自分の決めた意思に従い邁進していき、逆に女たちは「後悔しない」ように色々な考えを巡らし、間違った選択だとしても「それが正しい」と自分に言い聞かせて勇気を振りしぼっていく……その対比が、とても印象に残りました。抗争の中で展開する心理戦や銃撃戦の面白さは折り紙付きですが、個人的には女性たちが自制心と葛藤する様々なシーンにグッと心を持っていかれました。作者さまの感性豊かな描写力の虜になること間違いないでしょう☆
この物語の主人公は奔放で、突き抜けていて、誇り高い女性マカレーナ。
物語の序盤はマカレーナの妹分、特にダニエリの行動や言動にハラハラしたり、応援したくなります。
勿論その気持ちはずっと最後まで残りますが、次第にマカレーナの生き様と人との関わり方、振る舞い方から目が離せなくなります。
マカレーナの生き方は……
口では半分は思っていないであろうことをあれこれと言います。
相手を気遣って、本心じゃないことを言ってる方が多いんじゃないだろうかと思うくらい。
でもその心には裏表が一切なくて、どこまでも素直な女性だと感じてしまいます。
また随所に現れる異なる雰囲気を纏ったシーンの対比が秀逸です。
例えば抗争と日常といった緊迫感の違いなど。
そういったコントラストの違いが終盤に向けて絶妙に絡まりあっていきます。
タイトルの『罪の女』とは一体何の罪だろうと読了後に改めて考えてみました。
確かに色んな罪を背負って生きているのかも知れません。
でも一番は、関わった全ての者(読者を含む)の心に、その存在を刻み付けるような孤高の生き様を見せつけたことでしょうか。
カリブの海風が匂うような南米の街を舞台に繰り広げられる人間模様。原色の色彩を思わせる鮮やかな背景に描かれる人間の光と影。
主人公のマカレーナはその街に君臨する娼館の女王であり、カルテルのボスの女という、社会の闇の部分を背負ったような女性です。が、彼女の生き方はそれこそカリブの太陽のように眩しい強さを持っています。
自分に正直でありたいと思いながら自分を犠牲にする不器用な生き方はどこか痛々しい。その姿は毒婦の姿をした聖女を思わせます。
すねに傷を持つ少女、天使の名前を持つ青年、娼館の女たち、カルテルの抗争。色んなテーマが交錯するボリュームのある人間ドラマです。南米の濃い空気の中でたっぷりと味わってみて下さい。
カリブの陽射しと若者たちの姿が眩しくて、その空の許で展開される抗争は妖しくてスリリング。
作者様の卓越した筆致が「日常」と「抗争」を的確に捉え、各登場人物に固定されたカメラが動いているかのように、キャラクターの躍動を余すところなく心まで、読み手に伝えてくれます。
舞台やキャラクターの設定が、確実に練られているのでしょう。安定感があります。章のあいだの「幕間コラム」は、飛ばして読むのが勿体無いクオリティ。
正直「カリブ」の眩しさには縁の無い私でしたが、「カリブ」の風景の中に居るマカレーナやガブリエルやダニエリの「琥珀色」した煌めきのエピソードの数々に、どんどん惹き付けられました。
「琥珀色」というのは、コカの葉の色でもなく、登場人物たちの健康的な肌色でもなく、「太陽の輝き」が宿る文章への私なりの讃辞です。
続きを拝読するのが楽しみになる物語です。
舞台は南米、タイトルにもあるようにカリブ海を臨むとある国。
「コカ畑」のコカとは、セレブたちのパーティドラッグとして、またレクリエーションドラッグとして、欧米では大麻に次いで消費されている、コカインの原料となる常緑低木樹である。
そのコカの一大産地である国を舞台に、本作にはカルテルのリーダーや、美しい娼館の女王や、その名のごとく天使のように純朴な青年や、複雑な過去を持つ、ある問題を抱えた少女など、たくさんのキャラクターが登場する。麻薬カルテルの抗争や、娼婦たちの生き様や、淡い恋とオトナの関係、警察とのあれやこれやなどが、現地の空気を感じられる生々しさで丹念に描かれている。
登場する人物たちは活き活きとしていて、みな魅力的だ。一人ひとりに物語があり、それが物語全体に奥行きと重みを持たせているのである。
読んでいるといつの間にか物語の中に入り込み、カリブの強い陽差しに汗ばみ、吹く風の中に女たちの香水や、硝煙の匂いが漂ってくるのを感じる気がする。こんな小説にはここカクヨムでも他でも、滅多に出会えることはないだろう。
ものすごくお薦めなので、ぜひ読んでみてほしい。
カリブ海に面した国を舞台に、娼館の女王たるマカレーナを中心とした人間模様を細やかに描いた物語。
南米を舞台にした作品はあまり見かけたことがないのですが、丁寧な文章とキャラクター造形との織り混ぜ方によってすぐに物語の中に引き込まれました。
異国情緒漂う情景描写に遠く離れた南国を思い、登場人物の生き生きとした、繊細でありながら強かな生きざまから生命力を感じる。長編映画のような見ごたえと読みごたえを兼ね備えています。
麻薬カルテル同士の抗争、そして大人のスリリングかつ刹那的、少年少女のじれったい恋模様に胸の高鳴りが止まりません。文字を追えば追う程に、海を隔てた異国の地に足を踏み入れたくなる作品です。