カリブを舞台に純愛と血煙にむせる物語

マカレーナ。
あまりに魅力的なキャラクターでした。

娼館の主人にして絶世の美女。
ギャングのボスの愛人でありながら、誰にも支配されることはなく。
わがままで自由奔放にして、誰よりも情が深い優しい人間。

そんなマカレーナを中心に、カリブを舞台にしたラブストーリーとバイオレンスアクションが混然一体となった物語が幕を開けます。

まずもってカルテル(いわゆるギャング)の抗争を描き出すアクションシーンがとにかくかっこいい。
もう洋画のバイオレンスの楽しさと爽快感を詰め込んだ、悪漢たちのドラマとアクションシーンが見事です。
舞台が南国ということもあり、極彩色の世界で飛び交う銃弾と血しぶきが脳内にスタイリッシュに描写されていきます。

そんな地獄のような世界で、何者にも支配されない、唯我独尊の美女マカレーナ。
その女性らしい自由さと、気高さと、純粋さが、もう一つの恋の物語をつづっていきます。

そのマカレーナを取り巻く人物たちが誰もかれも魅力的。
カルテルのトップにして野心家、でもマカレーナには何かと手を焼いているフアン。
馬鹿みたいに純真無垢で誰とでも仲良くなってしまうガビ。
マカレーナがとにかくかわいがっているダニエリちゃん。

彼らが織りなすドラマには人間の性、ああ人ってこうだよな、こういう環境ではそうなるだろうな、というリアリティがあります。
しかもマカレーナはそんなリアリティの上を行く、なんとも魅力的なキャラクターでした。

読みやすくて、光景がありありと浮かぶ文章力と言葉たち。
次が気になって仕方のない、ストーリーと構成。
なにより読むほどに全員を好きになってしまうキャラクターたち。

本当に素晴らしい作品でした。
ぜひ読んでみてください!
(書き手の方はぜひ嫉妬してください)

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