概要
一方、熊本市内のある中学校には、閘詞音(ひのくちふみね)といういじめられっ子がいた。ある日、いじめを受けているときに演劇部部長に拝み倒されて、劇のヒロインになることを承諾してしまう。逆境の中、詞音がぐんぐんと演技の才能を開花させ、シンデレラのごとく階段を駆け上がる。
安居院の受信した不可思議なメールと、詞音のサクセスストーリー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!SF×ミステリー×ヒューマンドラマが渾然一体に流れる!
おそらく作者様にとって初めてのSF長編かと思います。
これまではミステリーの中に巧みに感動的なドラマを埋め込んできた作風が印象的でした。
そして今回は個人的にも好きなジャンルのSFときました。
もちろん期待して読みましたとも!
読み終えたときは満足のため息とともに、この作者さんは期待を裏切らないな、としみじみ思いました。
今回は登場人物も舞台も全く違う二つの世界が同時に描かれていきます。
一つは天才科学者の守泰の住むアカデミックな世界。
もう一つは詞音が暮らす田舎の学校生活。
この二つがどう繋がっていくのか、最初から興味津々なのですが、ここにさらりとSFの要素が紛れ込みます。
それは文字…続きを読む - ★★★ Excellent!!!父と娘の世界が交差する!本格的SFと夢と愛が詰まった感動ストーリー!
読み始める前、主人公二人(語り手)がエピソードごとに交替するシステムだということで、最初は大丈夫かなと思ったのです。
頻繁な視点の交替で没入感が損なわれてしまう作品を、何度も読んだことがあるからです。
でも、何故でしょう?この作品にはそんな不満が全く起きなかった。
科学者男性とまだ学生の少女。全く違うポジションにいる二人の物語が、エピソードごとに全く違う世界で進行しているのに、交替するごとにすっと没入してしまうのです。
もしや、私にも憑依の才能が?(笑)
恐らく、どのエピソードも起承転結がきちんとされた上で、前回の流れを瞬時に思い出せるような見事な構成であることが理由でしょう。
本格的な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!スタンディングオベーション必至! 壮大で美しいSFヒューマンドラマ
宇宙物理学の研究者を目指す青年・安居院守泰(あぐいもりやす)は、あるとき「未来の自分」からのメールを受信する。
いじめられっ子の女子中学生・閘詞音(ひのくちふみね)は、演劇部のヒロイン候補に抜擢されたことがきっかけで、演技の才能に目覚めていく。
それぞれの人生を生きる二人の道が交差するとき、世界規模の大問題が発生し、大勢の人間を巻き込んでいく――。
本作の素晴らしい魅力を、レビューでどう表現するか、非常に迷いました。というのも、守泰と詞音、双方の人生が交互に描かれた物語には、胸が躍るような仕掛けがふんだんに盛り込まれていて、何を書いてもネタバレになってしまいそうだからです。
宇宙で瞬く星…続きを読む - ★★★ Excellent!!!タイトルに偽りなし
これは愛の物語。
一見して関係なさそうに見える学生と科学者。
読み進めて行けば、ただ場所が違うのではないと気づかされる。
よくある絶望の未来を回避する展開だが、絶望排除で未来は救われるという簡単な話でもない。
物事は単純ではないと作中でも如実に表している。
愛に正しい間違いはないが、愛し方一つで未来が変わるのならば、愛する故に離れる選択を取る。
創作に定番のご都合主義なんてないのが、味のあるリアリティーを押し上げてくる。
確かにこれは創作であるが、目的、演技にしろ宇宙絡みにしろ、模索して試行錯誤して、時に失敗してと様々な試行錯誤と模索と、飽きさせない。
科学的な話も多いが、そういう流れで読め…続きを読む - ★★★ Excellent!!!H・G・ウェルズも拍手喝采の、一大スペクタクルSF物語ですぜ!
カクヨム界において、常に異彩を放ち読む者の心を揺さぶる小説を描き続けておられる作家、銀鏡怜尚氏。
新作は『SF』であるとうかがい、思わず「ムムッ!」と唸りました。
いわゆる空想科学小説です。
怜尚氏がSFとは……ファンであれば俄然興味を持ちます。
しかしタイトル「時空を超えて 慈愛を込めて 想いよ届け」を目にしたとき、今度は「ムムッ?」と首を捻ってしまいました。
だって、怜尚氏の御作品はこれまではどれもタイトルが洒脱で秀逸でしたもの。
あっ、いえ、決してこの度のタイトルが肩透かしであるというわけではなく、違和感を覚えてしまっていたのです。なんだか違うのではないかなあと。
とこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!難読キャラ名にリタイアしないで! その字でなければいけない理由がある
本作は二人の主人公の視点が交互に進む、壮大なSFです。
理工学部に通う大学四年生・安居院守泰は、差出人と宛先が自分という奇妙なメールをもらいます。それも何十件も。
文字化けしたメールに添付されたのは、不鮮明な映像や音声が多くなってしまっている映画らしきものでした。いたずらにしては手の込んでいるメールに残された僅かな糸口も、ネットで拾い上げることはできませんでした。
一方、中学生の女の子・閘詞音は、名前がきっかけで苛められていました。苦痛に耐える詞音に、舞い降りる転機。年齢も目指したい道も違う、守泰と詞音の人生に引き込まれていきます。
それぞれの世界が交錯するとき、張り巡らされた伏線の数…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時空を超えた想いは家族を……人類の未来を守ることが出来るのか?
是非お読みいただきたい、わたしのイチオシ作品です!
銀鏡怜尚さんらしい、読者を飽きさせないストーリー展開で、長編ですがきっとあっという間に読めてしまいます。
文章は読みやすく、登場人物も混乱なく分かりやすいです。
そしてなにより、今回は2つのストーリーが交互に展開して進んでいくというカットバック形式が本当にとても上手く使われており、これが最後の感動を大きくするという効果に繋がっていると私は感じました。本当に素晴らしい作品だと思います!
このお話は、科学者の安居院守泰(あぐいもりやす)と演劇に打ち込む閘詞音(ひのくちふみね)がそれぞれ主人公として交互にそれぞれの世界で物語を展…続きを読む