中澤京華

こちらのカクヨム版の公開分を読んだ後、内容に惹き込まれ、すぐに本を取り寄せ、一気に読みました。 祖父が生前、経営していた個人書店ミュゲ書房に関わる人々との繋がりを通して、主人公が…続きを読む

19世紀後半のフランスを中心にヨーロッパで広がった自然主義文学の代表的作家の一人、ギ・ド・モーパッサンの著作について、作者の思い入れを込めて丁寧に解説されています。それぞれの作品を…続きを読む

フランス在住の作者がパリの街の様子や旅行記を文学的センスが光る細やかな筆致で綴られていて、読み応えがあります。

自然災害問題や社会的弱者について真剣に向き合う心の機微が伝わる青春小説の力作です。

「小説を書く周辺のこと」、「私と本の日々」、「これ、よければもらってください」、「ちょっと、残念な私」、「いつもストック・ゼロ日記」、「書いて、読んで、七年目」に続くエッセイ集です…続きを読む

アラブ系移民二世の少年の視点でパリの街、音楽への憧れ、家族への思いを真摯に描いていると思いました。人種差別の問題意識を抱えながら、ピアノ伴奏者としての葛藤を乗り越え、支え合うことの…続きを読む

食へのこだわりを貫き、仕事でも有能な手腕で社会を生き抜く知恵を身につけていく主人公久保澪のどこか一途なまなざしが優しく光る社会派小説の秀作です。

宇宙物理学の研究者志望の安居院守泰が、趣味の映画鑑賞で無料配信動画を何気なく探している時、パソコンに届いていた差出人が自分の謎の文字化けメールと動画に気づいたことから繰り広げられて…続きを読む

先の大戦によってもたらされた労苦を抱えながらも懸命に生きた人々や動物たちの心の叫びと真摯な思いがひしひしと伝わってくる秀作です。多くの命を奪う戦争の恐ろしさや痛みを忘れないように語…続きを読む

近未来の人類及び生命の不思議や謎について考えさせてくれるSF物語の力作です。

近世ヨーロッパを舞台にヴァイオリン奏者でもある楽器職人クレイドは花売りの少女リェティーと出会う。昔、生き別れた妹エリスへの思いをリェティーに重ね、助けるつもりで一緒に暮らすようにな…続きを読む

孤児という不遇な境遇に負けず、歌うことを心の糧に真摯に生きるアンジェリークの物語。オーストラリア、シドニーの孤児院時代に出会ったフランス人の少年フィリップとの身分違いの友情、初恋、…続きを読む

「小説を書く周辺のこと」、「私と本の日々」、「これ、よければもらってください」、「ちょっと、残念な私」、「いつもストック・ゼロ日記」に続いてのエッセイ集。伝えたいことが明瞭にすっき…続きを読む

翠埜真乎は祖母が営む店番をする傍ら依頼相談を受けているフリーカウンセラー。膝の上の猫ちぐらに頭を入れてカウンセリングする手法で心を解放し、心の隙に入り込んだ妖怪、あやかしと向き合い…続きを読む

親子、兄弟姉妹、友達、師弟など生きていく上で派生していく関係性の中で生じる悩みや葛藤を乗り越えていく意志の強さについて考えさせてくれる秀作です。

興信所の探偵業を営む我妻探偵は恐妻家。依頼案件を解決するのも美人妻に押され気味ながら、物語はあっと驚く思いがけない方向へと進展していきます！作者の目を見張るような筆力に終章まで引き…続きを読む

先祖の霊の温かみと縁の不思議が優しく綴られた心温まる現代ファンタジーの感動作品です。

第二次世界大戦で戦死した祖父の思いを想像しながら、拝読させていただきました。 生きて、残る人生を歩む努力を続けた主人公の生き方から平和への思いがひしひしと伝わってきて、心打たれま…続きを読む

室町後期に著された軍記が長い年月を経て現代に伝わることは感慨深く、作者の丁寧な抄訳には歴史的背景や言葉を深く丁寧に学ぶ意識が込められていると思いました。

桜舞う季節の余韻を優しく丁寧に描いた心に響く物語です。

時計が時を刻むまでの過程とそこからさらに広がる世界を想起しました。凝縮された表現に、新たな世界を切り開いていくために胸高鳴る思いを抱く作者の細やかな気遣いが込められた心温かな詩の世…続きを読む

主人公、松沢日菜は憧れの君、岩神來志が蹴ったサッカーボールが顔面直撃するという咄嗟の事態で急接近。割れたメガネの破片を拾い集めてくれる來志ことサンダーの優しさにふれ、サンダーの姉の…続きを読む

学校で非常勤司書として勤務する江洲楓が不意に訪れた図書室の元常連久繰里あまねからカラス玉を手渡されたのをきっかけに、幼馴染の竹園灰と一緒に雨乞麗嬢や枇杷観音、河童伝説、サラカツギな…続きを読む

多くの剣士たちが活躍した幕末の小藩の道場に起こる難題や事件を時代劇を見ているような感覚で楽しめる力作です。登場人物のキャラも丁寧に描かれていて、鎖国から開国へと大きな時代の転換期を…続きを読む

宇宙船で宇宙を旅する人形（ロボット）は自由人形（フリーマシン）という発想がどこか哲学的で気持ちがそそられます。秋がテーマパークの惑星でSF世界が展開し、100年という年月の長さにつ…続きを読む

日々創作活動にいそしみ、教養をさらっと文章に纏めることができる作者ならではの活気ある訪問ドキュメント！

胸が塞いでしまうような辛く悲しい出来事も支え合って乗り越えられたら、新たに生きる道へと続いていくのかもしれません。ふわっとした読後感から作者の優しいまなざしが伝わってきて、心に響き…続きを読む

名物武蔵野うどんを作るための味へのこだわりと追求心から伝承の味わいを守りたい意識と意気込みが伝わってきて、気持ちが温かくなる作品です。

音楽とともに歩む音大生の日常が情感のこもったこまやかで魅力的な筆致で映し出された心温かな物語です。楽曲の味わいを深めながら演奏会に向けて練習に励む音大生の心の動きを、主要登場人物、…続きを読む

古代から残された歴史的文書、文献、記録を紐解いていく感覚で読み進めていくと、作者の語彙を広げるための知的意欲や思考を深めていきたい意識が推察され、言葉と真摯に向かい思索することの大…続きを読む

重い先天性疾患を持って生まれた腹違いの妹、春日の命を守るために医学への道へと進学する冬夜が、強い意志を持って信念を貫き努力していく過程が特に印象的で、物語を展開させていく大きな基軸…続きを読む

人生の挫折により心に傷を負った主人公が立ち直っていく過程が流麗な文体で描かれています。ストレス社会で生きる現代人の心に優しく働きかける真摯で誠実な物語だと思いました。

移りゆく時間のどこかに仕舞い込んで忘れてしまった遠い記憶へのもどかしさを抱えながらも過ぎてゆく日々—。物語と一緒にそんな記憶を辿っていきたい心境に駆られ、丁寧な人物描写と美しい情景…続きを読む

年月が経って掘り起こされたタイムカプセルと一緒に仕舞ってあった柔らかな思いと時間を生き生きと映し出した秀作です。

国境を越え世界へと羽ばたく音楽への思いを洗練された見事な筆力で描いた心に迫る力作です。

心の音にそっと耳を傾け、悲しみさえも包み込もうとする作者の優しさが音楽のように洗練されたこまやかな文体で心に語りかけてくるエクリチュールの連作。 難病を抱えながら生きる命を生かそ…続きを読む

この物語の舞台である現代社会の延長線上にある近未来社会ではAIやドローンが発達する一方で、現代の社会問題である温暖化もさらに進んでいることが予測されます—。そして、過酷な環境でも生…続きを読む

人生におけるかけがえのない出会いにより、深まっていく想いがあること、病による悲しく切ない運命でさえも人生に彩りを与え美しい結晶のような心の輝きを映し出すことに気づかせてくれる秀作で…続きを読む

心の中にある思い出の風景が率直に描かれていて、思春期の少年の生き生きとした心の活気と創作への思い入れが伝わる作品です。

国木田独歩、田山花袋、柳田國男など、文豪たちが残した武蔵野について気づかせてくれるエッセイです。 こちらのエッセイを読んで、国木田独歩著『武蔵野』を読んでみたら、私が以前、歩いた…続きを読む

自然をじっと見つめる作者のまなざしに引き込まれて読み進めていくと、武蔵野の野で寄り道したような不思議な感覚に包まれます。

本好きな人が集うブックカフェの心地よい空気が学生時代の夢を叶えた祖母の気持ちを支えたい主人公の一途な優しさとともに伝わる味わい深い作品です。

意識を保ち続けるためには強い意志が必要であることを考えさせられました。科学哲学的視点で物語発祥のルーツを探っていくようなSF世界がシュールに描かれた秀作です。

消防業務に携わる渡清志郎を献身的に支える幼馴染の西園寺綾音。 遡ること三百年前の江戸時代の『明暦の大火』で命を落としたシオンと水を司る神、水波能女神（ミヅハノメ）が会話している夢…続きを読む

公園に植えられた一本のケヤキの視点から見た人間社会や年月とともに成長していくケヤキに関わっていく人々やケヤキの木々の様子がこまやかに描かれています。人の暮らしの中で守られ共生してい…続きを読む

皇女サラと鍛冶屋の息子ユウトは身分違いでも幼い頃からいつも二人で遊んできた幼なじみ。城を囲む豊かな自然の中で二人が成長していく様子を生き生きと描いた序編から始まり、二人で訪れた城下…続きを読む

本を読んで考えたことや自分の意見として文章として書き記すことで広がる意識世界。理路整然とした分かりやすいエッセイの数々から創作への探究心と根気強さが伝わってきます。

仕事と家庭を両立することの大変さから患った病を乗り越え、昔、目指そうとした作家の夢へと向かっていく主人公あおいの真摯で実直な生き方が勢いのある筆力で描かれています。

環境の影響で離れ離れになっても、互いに相手を想い合う気持ちがあれば共有できる時間が再び巡り来る—。ルナとサキが相手を気遣い、大切に想い合うことで成長していく過程を優しく抒情的な文体…続きを読む

近しい人の死別の悲しみはもう決して会うことができないというショックを人の心に投影するだけでなく、この世界で一緒に歩んでいこうとしていた意識を奪う—。残された側の亡き人への思いが歩い…続きを読む