モーパッサンというフランスの作家をご存知でしょうか。登場人物のさまざまな人生を、あるときはユーモラスな皮肉を込めて、またあるときは非情で正直な心を淡々と描かれた作家であり、二百を超える短編を綴られています。
機知に富んだ文章には無駄がなく、選び抜かれた言葉から伝わってくるのは、市井の人々の生活の苦楽、日々の営みから生まれる喜びと悲しみ、そして生々しいほど赤裸々に暴かれた人間の本質――そんなモーパッサン文学を、一作ずつ紹介されているのが、こちらのエッセイです。
柊さんの解説や要約は、とても読みやすくて面白く、「モーパッサン文学が好き」という深い愛情がこもった語りの引力に導かれて、最新話まで読了しました。今まであまり馴染みがなかったフランス文学が一気に身近になる感覚が心地よく、今後の更新がとても楽しみです。
気になった方はぜひ、フランス文学の世界に続く扉を、こちらのエッセイから開いてみてくださいね。
モーパッサンはフランスの小説家。彼の書いた短編は約260篇。
その中でおすすめの短編を、柊さんが紹介してくれます。
モーパッサンの人を見る(特に男性を見る)目はシビア。愛などひとときのロマンスでしかなく、運命の相手だと惚れ込んでもただの勘違い。純愛は切ない片想いの中にしか存在せず、崇高な人物たちは状況次第で悪人に変わる。
モーパッサンは戦争のトラウマを抱え、精神錯乱も起こしている。
だからなのか読後感が良いとは言えず、背中にナイフを突きつけられたような鋭さと冷ややかさがあります。
しかし、なかには温かみのある作品もあり、モーパッサンの憧れを垣間見ることができます。
モーパッサンの人を見る目がいじわるなように感じて、この人は人間嫌いなのかと思ったりもします。けれど何篇も読んでいくうちに、人間愛があるからこそなのだと思えてくるからおもしろい。
真の人間嫌いなら、人間から目を背けるでしょう。モーパッサンの、人間の中にあるわずかな光と濃厚な闇をえぐり出す描写は、人間讃歌のようにも思えます。
そんな決して愉快な作品とはいえないモーパッサン短編を、柊さんがユーモアを交えて楽しく語ってくれます。
モーパッサンに興味がない、モーパッサンなんて読む気がしない。そんな人でも入りやすく、思わずクスクス笑ってしまう小ネタが散らばめられています。
最後に、題名の横にあるこれ→ᕦ⊙෴⊙ᕤ
ぜひモーパッサン先生のお顔をネットで調べてみてください。納得するはず。
モーパッサン先生は天国でこう言っているかも。
ᕦ⊙෴⊙ᕤ「みんな、ワシの作品読んでね。カクヨム活動で忙しいって言う人は、この柊さんの評論作品でワシの作品に触れるのがオススメじゃ。センスよくまとめられた文章は的確で、素晴らしいモーパッサン愛を感じるはずじゃぞ」
作者様の、モーパッサン先生への愛とリスペクトに満ちた楽しい読み物です✨解説が面白くて、ついモーパッサン作品を手に取りたくなりますが、正直こちらのエッセイの方が楽しくわかりやすく、作者様のゆかいなツッコミもりだくさんではまってしまいます。
怠惰な私などはモーパッサン先生読まなくてもいいや・・・みたいなことになっていますが、かの大先生の特徴や傾向を垣間見られていいとこ取りすぎます。
かなり捻くれて性格悪いなぁ~というストーリー運びが多いのですが、そんなモーパッサンを愛してやまない柊様の感性もまた一筋縄ではいかないのかな・・・などと感じた次第です笑
"モーパッサン"なんて知らない。"フランス文学"なんて読んだ事も無い。
全く興味も無かったのに、ご縁があって読み始めたらハマってしまって、自分の幅を広げてもらってるな〜と思う作品です。
人間の持つ黒い部分は出来るだけ見ずに美しい部分だけを見ていたいと思ってしまうけれど、美しいだけじゃないあらゆる人間らしさがシビアにリアルに描かれている作品たち。
短編それぞれの結末は残酷でもあり、滑稽でもあり、美しくもある。
読者にメッセージを押しつけないからこそ、読者は考えさせられる。一つ一つは短編なのに、その一つ一つにとても深い物が込められている感じ。
筆者さんはフランス語で書かれた作品を読んで、それを日本語にして分かりやすく楽しく紹介して下さっているのだけれど、私は筆者さんの目を通したモーパッサンの話が好きです。後味の悪い暗い話も、後味悪く思わないのは、きっと筆者さんの優しい心がそこに入っているからじゃないのかな?(原本は読めないし、日本語に訳された物も読んだ事はないけれど、たぶん‥‥‥)
阿刀田高の「知っていますか?」シリーズを思い出す一作。
モーパッサンの短編について、その粗筋に加えて、筆者の軽妙なコメントが添えられている。
上に挙げた阿刀田高は短編(ショート・ショート)を八百、星新一は千篇書いているのに対して、モーパッサンは三百近くを残している。
ただ、前者ふたりに対して、モーパッサンは活動期間が短いので、長生きしていればもっと書いていただろう。
モーパッサンの作品は、阿刀田や星に比べて、オチの切れ味は鋭くない。ただし、読み終えた後、読者にあれこれと考えさせる力は、モーパッサンの短編の方が優れている。作品に奥行があると言える。
阿刀田や星の作品は切れ味鋭い剃刀、モーパッサンの作品は皮膚をえぐるノコギリ、というのが私のイメージである。
良い意味で、生々しい後味のわるさがある。
阿刀田や星の作品は、オチを知っていると楽しめない作品が散見されるのに対して、モーパッサンの作品は、オチを知っていても楽しむ余地のある作品が多い。
だからこそ、オチまで解説している、このエッセイが成り立っていると言える。
個人的な話をすれば、私はモーパッサンの「ひも(糸くず)」を思春期に読み、あまりに怖くて、それ以来、彼の作品を読んで来なかった。
それがたまたま、このエッセイを目にして、再度、短編集を手に取った。そういう力がこのエッセイにはある。
こちらの作品は、フランスの小説家である「モーパッサンの短編作品」について紹介・解説している作品です。(説明がややこしくてすみません)
まず何といっても読みやすいことにつきます。読み始めたらスイスイです。
また、作者の方(柊さん)がモーパッサンの作品を上手い具合に噛み砕いて説明しているので、「フランス文学なんて難しい!」敬遠している方でも、気楽に読むことができます。
肝心の中身ですが、どの作品の紹介も分かりやすく明快なので、モーパッサンの作品をよく理解できるだけでなく、しっかり楽しむことができます。
そのため、モーパッサンを読んだことがない人が読み始めたら、きっと次の作品を読みたくなるでしょうし、今まで忘れていた人はその魅力に再び気づいて、読み返したくなってしまうことでしょう。
ちなみに私のおすすめは以下の3つです。
『処女作にして傑作「脂肪のかたまり Boule de Suif」①』
『小市民の生活辞典「首飾り La Parure」①』
『父なし子のかなしみ「シモンのパパ Le Papa de Simon」①』
解説がとても面白いので、是非読んでみてはいかがでしょうか。
19世紀のフランスの作家、モーパッサンは短編の名手として知られています。その魅力的な短編小説を丁寧に紹介してくれる、親しみやすい”大人のための読書感想文”です。
軽妙な語り口が魅力的ですが、作品の時代背景の説明や鋭い洞察なども書かれており、随所に書き手の知識の深さとモーパッサンへの愛が伺えます。
「フランス文学」に敷居の高さを感じている方、原作を読んだことがない方にこそオススメします。
作品紹介を読んだら、原作を手に取って、モーパッサンの小説の普遍性や犀利な人間観察を味わってみてください。
(小説創作へいざなう作品/文=カクヨム運営)
ギ・ド・モーパッサン。
1850年生まれのフランスの作家です。
決して長くはない作家人生で、約300の小説を書き上げました。
短編が多いと言っても凄い数です。
こんなにも膨大だと、何から読んでいいのか分からなくなりますね。
そんなあなたの指南書として、是非!
「モーパッサンは氷に似ている。尤も時には氷砂糖にも似ている」と文豪・芥川龍之介は著しました。正直、解釈に困りますが、『モーパッサンはお好き』を何話か読み進めるうちに、何となく分かるような気になって不思議です。けれども、そもそも文学を分かる・分からないではなく、心に伝わる何かを感じていれば良いのではないでしょうか。
堅苦しさや難しさはありません。
作者様厳選の名著が分かりやすく紹介されています。
笑えるようで笑えない話、カラリと笑わせてくれる話、人間とは何か考えさせられる話……種類は豊富です。
原作を読んでいなくても充分、楽しめる内容です。
心にぴったりの物語を見付けてみませんか?
精神の清涼剤になること請け合いです。
フランスの文豪、モーパッサンの小説を多数紹介してくれる作品です。
フランス文学だなんて、なんだか敷居が高そう?と思われた方、ご安心ください。
モーパッサンの作品は、庶民的で親しみやすく、明快でわかりやすい内容のものが多いのです。
しかも短編がたくさん!気軽に読めちゃいます。
加えて、このエッセイを書かれた作者の語り口調が絶妙に面白い。
わかりやすく味のある小説を、面白おかしく紹介してもらえるのだから、読みやすくて当然。モーパッサンを知る近道として最適です。
短編ごとに後味は違いますが、モーパッサンならではの生き生きとした(言い換えれば生々しい)人間の姿をじっくりと味わえます。
この機会に、著名なフランス文学作家の小説に、楽しみながら触れてみてはいかがでしょうか。