中澤京華

公園に植えられた一本のケヤキの視点から見た人間社会や年月とともに成長していくケヤキに関わっていく人々やケヤキの木々の様子がこまやかに描かれています。人の暮らしの中で守られ共生してい…続きを読む

皇女サラと鍛冶屋の息子ユウトは身分違いでも幼い頃からいつも二人で遊んできた幼なじみ。城を囲む豊かな自然の中で二人が成長していく様子を生き生きと描いた序編から始まり、二人で訪れた城下…続きを読む

本を読んで考えたことや自分の意見として文章として書き記すことで広がる意識世界。理路整然とした分かりやすいエッセイの数々から創作への探究心と根気強さが伝わってきます。

仕事と家庭を両立することの大変さから患った病を乗り越え、昔、目指そうとした作家の夢へと向かっていく主人公あおいの真摯で実直な生き方が勢いのある筆力で描かれています。

環境の影響で離れ離れになっても、互いに相手を想い合う気持ちがあれば共有できる時間が再び巡り来る—。ルナとサキが相手を気遣い、大切に想い合うことで成長していく過程を優しく抒情的な文体…続きを読む

近しい人の死別の悲しみはもう決して会うことができないというショックを人の心に投影するだけでなく、この世界で一緒に歩んでいこうとしていた意識を奪う—。残された側の亡き人への思いが歩い…続きを読む

『慧眼の少女』、『深緋の恵投』に続いてのシリーズ作品。シリーズとしての魅力に加えて優秀な高校生達のエネルギッシュな迫力と熱気が伝わる精緻で勢いある意欲作です。

パリの歴史と文化を伝える観光名所の一つとして知られるリュクサンブール公園に集う人々の中にそっと溶け込むような光景が垣間見えて、心温かな気持ちになる物語です。

突然の災難で倒れて意識を失い、長い入院生活を余儀なくされた主人公、凪田真帆子。一進一退を繰り返す日々から抜け出すきっかけを与えてくれたのは大学時代の創作活動の相方だった泊愛久からの…続きを読む

心理学シリーズとして描かれた『時の万華鏡』のうち、公募作品用として文字数制限があったため第二幕（八章）からが公開されています。 エリノア・ベルテーヌとの心の行き違いによる仲違いに…続きを読む

『命の天秤』、『夢のゆりかご～ドラマ編～』に続く心理学シリーズ。 高村香澄とフローラ・S・ハリソンがルティア夫妻の不妊治療を扱った『ルティア計画』の謎に臨み、新たな境地を切り開いて…続きを読む

不可能図形、ペンローズの三角形に想起された優樹と遥の思い出は潜在的に危険な小惑星直撃のニュースの報道が駆け巡りその報道に伴う退去命令の最中にも、優樹の脳裏を巡っていく—。小惑星の落…続きを読む

『命の天秤』の心理学シリーズの続編として、高村香澄を中心に新たな登場人物エリノア・ベルテーヌや心理学サークルのメンバーが加わり、ワシントン大学を舞台に事件の予兆を思わせるミステリー…続きを読む

メルヘン風の優しく心に語りかけてくるような物語の展開が魅力的で、自然へと注がれる作者のあたたなかまなざしが伝わってきます。

どのシーンも細やかに構築されているので、想像を描くほど映像が浮かび上がってくるような言葉運びが魅力的な物語。この世の惨劇にはすべて発端があることを伝えようとする強靭な意志と世界観に…続きを読む

日常的な負の感情と倦怠感から生じた孤独感と希死念慮を抱えた主人公が『宙の名前』という一枚の写真から記憶が呼び醒まされるように生じたタイムリープ。リープ先は主人公が漠然と人生をやり直…続きを読む

語彙力に優れた作者のシャープな文体に魅了され、個性が強い登場人物たちの動向に引き込まれていきます。物語の背景の描き方が丁寧、且つ、スリルある展開の導入も上手いので、読み応えがある秀…続きを読む

人生の旅の途中で遭遇するそれまでの想像を絶するほど心を覆い尽くしてしまう衝撃的な出来事―。そこで断絶された思いはどこへ行ってしまうのだろうか？ 深い悲しみで覆い尽くされた喪失感や疑…続きを読む

生命の現実的営みと時間の概念に付随して現れてくる心、生物学と科学の存在論的差異、現代的概念の主体性、生物学的概念の環世界などについての考察から派生し、言葉の意味や価値、認識論的な過…続きを読む

記憶には短期記憶と長期記憶があるといいますが、憶えていたはずの事を忘れてしまっていたと気付かされる度、冷や汗をかきながら過去の記憶を辿ることがあります。時にはそんな脳裏に浮かぶ想念…続きを読む

小説『命の天秤』の終章で綴られた詩『命の天秤』に曲をつけた歌をレコーディングし、MV撮影して、YouTubeで公開するまでの制作過程についての記録です。 映画やドラマのオープニング…続きを読む

『命の天秤』、『夢のゆりかご～ドラマ編～』、『夢のゆりかご～ミステリー編～』に続く心理学シリーズ作品。『命の天秤』で登場したトーマス・サンフィールドとの出会いとその死が二人の登場人…続きを読む

物語のシチュエーションに付随して詩に込められた情緒や心情が丁寧に解説されている他、『命の天秤』のテーマや補足説明についてもしっかりと叙述され、物語や詩からさらに広がるイマジネーショ…続きを読む

ワシントン大学で心理学を学ぶ日本人留学生高村香澄はゼミ担当のハリソン教授からの依頼で教育実習の一環として、両親を事故で亡くし、ハリソン教授の家で暮らすようになった少年、トーマス・サ…続きを読む

インドの哲人マハトマ・ガンディーの碑文に刻まれた７つの社会的罪については様々な見解がありますが、こちらの小説でも一冊の本を通して出会ったコウタとサラを取り巻く世界がSF作品として描…続きを読む

舞台で演じるキミカを探すために閑静な街の丘の上のアパルトマンで一ケ月過ごすことになった舞花は絵描きを目指すアパルトマンのオーナーの息子、かけると交流するうちに芸術の奥深さにふれ、忘…続きを読む

身に着ければ心の芯まであったまりそうなゆるキャラ風な装いに包まれて、悲しみや疲弊した心を置いて歩きはじめる人々……そして、ユーモラスな優しさは気付けば街に静かな流行を生み出していた…続きを読む