概要
人は、時として出会うはずのない誰かと出会う。
その中には、時空を超えた出会い――奇跡と呼ばれるものもある。
そんな出会いを偶然で片づけてしまう人もいる。
しかし、出会った意味は必ずある。
渡清志郎とシオンの出会いもそうだった。
清志郎は、江戸時代から続く火消しの家系・渡の末裔。消防業務に携わる彼は、ある火災現場で、江戸時代に端を発する、常識では考えられない出来事に遭遇する。
日常が非日常に変わった瞬間、数百年の時を隔てて開かれる、運命の扉。そこには、呪われた運命に抗う、一人の歌姫・シオンの姿があった。
江戸と東京を舞台に繰り広げられる、水と火の壮絶な戦い。
過酷な運命に翻弄されながら戦いに身を投じる、清志郎とシオン。
これは、いつも真っ直ぐな眼差し
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!お化けは人の思い
僕ははっきり言ってお化けが苦手です。
こちらから抵抗できない場合が多いし、呪い殺されたりとかしたらいやなので、嫌いです。
ですが、RAYさんの『東京歌姫 (トウキョウ・ディーバ)』を読んで少し見方が変わりました。
お化けは人の思いの塊なんですよね?
未練があって、この世界に留まっている人の思い。それはきっといろんな形で僕達に影響を与える。
いい意味でも、悪い意味でも。
それってすごい事なんじゃないかと思いました。そして、それほどの思いを果たして僕は残せるのかな? と考えました。
やっぱり、思いの物語はいい。
僕も思いを大事にこれからも物語を書いていきたいと再確認できました。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これは、とある火消しと歌姫の物語
神によって仕組まれてしまった悪意ある炎に立ち向かう、火消しと歌姫の物語です。
江戸時代から続く、火消しの家系に生まれ、また自らも火消しに携わる男、清志郎が主人公。彼の正義感ある性格、それを支える綾音のやりとり、戦闘シーンも素敵なのですが、それに加え本作の「歌姫」であるシオンの魅力が際立つ本編。時を超えて現れたシオンの男気ある性格が、清志郎とマッチしています。
展開では、何度、息を呑み涙がこぼれそうになったかわかりません。
全てを焼き尽くす炎と対峙するため、彼らは江戸時代へ向かいます。それは、神々の争いであり、また、その時代を駆け抜けた歌姫シオンが関わっているものでした。
これ以上はネタ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!火と水。過去と未来。絶望と希望。全てが交錯し、想いが運命を切り開く。
まず、消防の知識が豊富で圧倒されます。
ですが、読者にわかりやすい言葉の説明が物語に組み込まれているので、読むのが苦ではありません。
だからこそ、火に対して、恐怖や無力さを痛感させられます。
そしてこちらの作品の火は、意思、それも悪意を持つ憎悪の炎でした。
神の意思により仕組まれた、全てを無に還す悪意の炎に立ち向かうのは、江戸の歌姫と現代の消防士。
そして現代の、もう1人の大切な仲間。
出逢う事がないはずの3人が出逢った時、運命は大きく動き出します。
こちらは是非ご自分で読んで、この3人の勇気を目に焼き付けてほしいです。
そしてこちらの作品の特徴の歌。
様々な歌が登場しますが、そのどれ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!タイムトリップ現代ファンタジーの魅力と迫力を満載した感動の力作!
消防業務に携わる渡清志郎を献身的に支える幼馴染の西園寺綾音。
遡ること三百年前の江戸時代の『明暦の大火』で命を落としたシオンと水を司る神、水波能女神(ミヅハノメ)が会話している夢を見るようになった清志郎は新宿副都心にある三十階建てのタワーマンションの火災の際出動し、壮絶な救助活動の末、気を失う—。
仲間を失った心の傷を抱えた清志郎に付き添う綾音の前にある日、不意に現れた江戸の歌姫シオンは火の神、火之迦具土神(ヒノカグツチ)のこの世のすべてを焼き尽くそうとする憎悪の炎を封じ込めるべく頼みを持ちかける—。
エンターテイメント性を意識して練り込まれたプロットを生かす魅力的な登場人物たちに惹き…続きを読む - ★★★ Excellent!!!不思議な魅力に満ちた、心温まる作品でした!
作者さまの作品はいくつか拝読させていただいていますが、中でもこちらの作品は不思議な魅力に特に溢れていると感じました。
序盤の息苦しいくらいに緊迫した展開から、予想もしなかった展開へと繋がっていくストーリーは読みごたえ充分でした。
特筆すべき点は、なんといってもシオンというキャラクターです。愛くるしいキャラクターながら、そのバックボーンからくるギャップには何度も胸がうたれます。
さらには、シオンを囲むキャラクターたちも個性派揃いですから、そのやりとりやかけひきも楽しむことができます。
読後感もよく、ラストでは自然と涙が出てきます(私は作者さまの作品のラストでよく涙しています)。設定は決…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時を越え、炎に立ち向かえ
江戸時代から続く火消しの家系の末裔、清志郎。彼もまた、消防庁に勤めながら、最前線で炎と戦っていました。
危険な仕事であると言うのは百も承知。それでも誰かのために炎の中に飛び込んでいくのは、その血筋故か、はたまた彼本人の性分のなせる技か。
しかしそんな彼の前に、それまでの常識が全く通用しない、全てを一瞬にして焼き付くす謎の炎が現れます。それは遥か昔から続いた神々の戦い。そして、江戸時代に生きた一人の歌姫、シオンが関わっていました。
炎に立ち向かう清志郎とシオンがとにかくカッコいいです。現場での行動はもちろん、そこに至るまでの思いや執念がしっかり書かれているので、読んでいながら何度も「頑張れ…続きを読む