火と水。過去と未来。絶望と希望。全てが交錯し、想いが運命を切り開く。

まず、消防の知識が豊富で圧倒されます。
ですが、読者にわかりやすい言葉の説明が物語に組み込まれているので、読むのが苦ではありません。
だからこそ、火に対して、恐怖や無力さを痛感させられます。

そしてこちらの作品の火は、意思、それも悪意を持つ憎悪の炎でした。

神の意思により仕組まれた、全てを無に還す悪意の炎に立ち向かうのは、江戸の歌姫と現代の消防士。
そして現代の、もう1人の大切な仲間。
出逢う事がないはずの3人が出逢った時、運命は大きく動き出します。
こちらは是非ご自分で読んで、この3人の勇気を目に焼き付けてほしいです。

そしてこちらの作品の特徴の歌。
様々な歌が登場しますが、そのどれもが力強く、どこまでも透明で、心に優しく浸透していく想いの歌に感じます。
映像で観たいな、聴きたいな、と本気で思えるぐらい丁寧に描写されていますので、文字からその想いに聴き惚れて下さい。

最後に、これだけはご注意下さい。
人が多いところや、外出先で読む事はおすすめしません。
思いっきり泣けるこちらの作品は、1人で味わいながらご堪能下さい。

読まれたあなたにも、きっと歌姫の歌が聴こえるはずです。

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