主人公とその同室の彼は、同じ魚座だった。
主人公はある日、ドミトリーの規則である「菓子類持ち込み禁止」を破って、アーモンドの焼き菓子を、部屋に持ち込んで彼と二人で食べる。そして、主人公が間もなくこのドミトリーを去ることが知れ渡る。その時から、彼は悪夢を見るようになった。リボンでつながれた魚座のもとに、そのリボンを切りにやってくる男がやってくると言う夢だった。
そんな彼に、主人公がかけた言葉は――。
透明な水槽の中にいるような、それでいて、その水槽を外から眺めているような、不思議な感覚がする一作でした。
場所的な「Uターン」ではなく、心の「Uターン」を描いているところに、とても好感が持てました。
是非、御一読下さい。