矢田川いつき

放課後の学校の様子が丁寧に繊細に描かれており、鮮明な情景を思い起こさせてくれます。 そして。そんな多彩な色合いの中、ひょんなことで巻き込まれたかくれんぼとその後の感情の描写は実…続きを読む

足に鱗のようなものが生えてくる、通称マーメイド病を患った妃夜。 それでも彼女は大会に出て走ることを願い、樹はその願いを叶えるため奔走することを決意する。 とても綺麗な物語でし…続きを読む

どこまでも自由で勝手気ままな志映浬に振り回される零時。 レモネードを片手に笑う志映浬。 鬱陶しく思うもなんだかんだで付き合う零時。 鮮やかな情景を想起させる繊細な描写が、瑞々し…続きを読む

ひとりぼっちで孤独を感じていた少年は、空に住まう竜の少女に恋をする。 叶うはずもない一途で切ない想いが紡いだ、その結末とは……。 ファンタジーを含んだヒューマンドラマが素晴らし…続きを読む

普通になりたい。 ある種、誰もが何らかの分野で思っていることだと思います。それすらも、「普通」のこと。 そんな葛藤と悩みと不安が付き纏う「普通」に、ひとつの光を灯してくれる物…続きを読む

青春が過ぎ去った後。50年前の過去を思い出の場所で振り返り、見つめ直す物語です。 タイトルにもある桃色が大切なキーワードになっており、淡い想いと運命が短い言葉ながらもひしひしと…続きを読む

とても短編とは思えない、密度の濃い素晴らしい物語でした。 何より、ぜひとも2回読んでほしいです。2回目が一番楽しめ、そして心に沁みてきます。 音の表現や情景が浮かぶ繊細な描写も見…続きを読む

とある病気で入院しているクラスメイトの結衣と、偶然出会した悠斗。彼女は、病気とは思えないような明るさで悠斗を振り回し、そんな彼女に、どこか冷めている彼も次第に心を変えてゆく。 読…続きを読む

受験勉強のために図書館へと通う桂。 とある事情もあって集中できずにいたある日、いつも中庭で読書に耽っていた衣緒と出会う。 ひょんなことから小さなお茶会を開くようになり、そこから桂の…続きを読む

通学路に居座る急な坂道――心臓破りの坂。 もちろん、本当に心臓を破るわけじゃない。 でも、本当に？ 脇に鬱蒼と茂る雑木林に、錆び付いたガードレール。その奥には……果たして――。…続きを読む

同じ塾に通う中学三年生の阿部と夏帆。 勉強に明け暮れた夏休みも終盤。二人が向かった先は塾ではなく、青く澄み渡った海で――。 短編とは思えないような密度たっぷりの青春を味わわせ…続きを読む

親の仕事の都合で引っ越してきた鹿之助は、何気なく行った武田神社で高坂いろはと出会う。 他曰く、彼女は実に「変わり者」で、かつ紛れもない歴女。その高坂先輩が部長を務める歴研から、鹿之…続きを読む

見栄を張るためについた辰馬の嘘がきっかけで、付き合っている「ふり」をすることになった辰馬と知佳。 そこから始まった二人の物語は、コミカルに、シリアスに、センチメンタルに綴られてい…続きを読む

5年前に偶然手に入れた水晶玉。そこから現れた妖精(？)との出会いから、全ては始まった。 とにかく個性的なキャラクターたちが、時にはコミカルに、時にはシリアスに、日々を乗り越えてい…続きを読む

舞雨花期。花弁が舞い散る美しい季節に、花を嫌う少女の舞花は、不思議な少年と出会う。 舞花の心にチクリと痛みを残している過去を密やかに巡って始まる、儚い物語です。 非常に読みやすく…続きを読む

微細な部分にまで丁寧に描かれた、美しい物語です。 5分で確かに読めますが、余韻に10分以上は浸かってしまいます。それくらいに、深い物語。 ルナとサキ。二人が見上げた空には、二…続きを読む

二〇二〇年の、夏。 バケネコのクロエに出会った陽葵は、熱気漂う異世界へ。ネコたちを救うべく、一生懸命に試行錯誤するも……？ まず、バケネコのキャラが好きです！　独特の話し口調に…続きを読む

結崎高校を舞台に、それぞれの少年少女の周りで起こる爽やかな青春物語が綴られています。 身の回りの日常にある小さな幸せ、想い、悩み、抗い……。そうした青春を紡ぐ欠片たちが鮮やかに、…続きを読む

ローゼンガールズ。 そこに属している少女たちは、皆それぞれ特有の戦闘技術を有しているだけでなく、個性も一際に強い。 そんな少女たちとの出会いが、拓海の日常を大きく変えていく。 な…続きを読む

もう、青春です……！　この一言に尽きます！ リトルリーグ時代の経験から、負け慣れた主人公が迎えた、9回の表。絶体絶命の、バッターボックス。 そこから先の流れは、文字を滑らせるス…続きを読む

幼馴染って、難しい。 全てをわかっているようで、実はわかっていなかったりする。 近過ぎるがゆえのすれ違いは残酷で、だけどそこには確かに青春独特の輝きがある。 主人公の、複雑なが…続きを読む

短い物語の中に、濃密な「生」が流れています。「生」のカタチはひとつではなく、死の影がより生きることを引き立たせていますが、それだけじゃないです。 また、あらゆる場面や心理が美しい…続きを読む

進路に悩んでいた篠崎かえではある日、昔離ればなれになった幼馴染の瀬戸口奏汰と再会する。そんな彼と結成した音楽部が、かえでの日常を鮮やかに彩り、満たしていく。 青春の全てが詰まった…続きを読む

先輩と後輩の出会いから、別れまで。 そこに至る道筋は、少し回り道をしていて、複雑だったのかもしれないけれど。 その先は、ひたすらに真っ直ぐ続いていく。そんな物語だと、感じました。 …続きを読む

テーマに沿った、切なくも鮮明な情景描写と、緻密に編み込まれた心理描写が上手くマッチしています。 詩的でありながら、ショートショートの物語なので読みやすいです。ちょっとした合間にも…続きを読む

どこまでも醇乎たる少年の、一縷の望み。 それは優しく綺麗だが、現実と両立するには余りにも酷なもの。 ……でも。そこまで残酷で苦しいのは、何故だろうか。清廉な彼の心のせい？　あるいは…続きを読む

アラサー菜花の「ご縁」を描いた、素晴らしい現代小説でした。 現実ドラマのジャンルに違わないリアリティ溢れる世界観は必見です。 全ての登場人物に違った魅力があり、彼女ら彼らにも「ご…続きを読む