「彼女がいない」と教室で罵られた少年・辰馬が「いる」と思わずついた嘘。
そこを「私なの」と、辰馬を窮地から救った少女・知佳――彼女は車椅子に乗っていた。
意地を張った上での「嘘」から始まった、少年と少女の「恋」の物語は、車輪のように軽快に回っていく。しかし、その轍は一本道ではなく、時には曲がりくねっていき、回転を止める時もある。
止まってしまった回転を動かすのは――少年の想いであり、少女の願いだ。
「嘘から始まり、そして」というラブコメを描きつつ、車椅子というキー・アイテムを用い、それをめぐる人間模様を活写していくところは、お見事としかいいようがありません。
むろん、お色気や下ネタ、ボケツッコミと、容赦なく笑わせにくるところも最高です。
サイドストーリーも、これサイドじゃなくて本編でいいよってぐらい芯が入っています。
ぜひ、ご一読ください!
誰しも人は、人とは違う側面がある。
それは環境や性格。趣味嗜好や性癖。身体的問題だったりと様々だろう。
これは、そんな隠したい自分の本性をさらけ出す勇気を与え、肯定してくれる物語――
車いす少女×ラブコメという少し新しく小難しい物語の切り口に思えるようだけど
そんなことは全然なく、コミカルにけれどもどこか情緒的に繰り広げられる
青春劇は遠い過去、どこかバカ騒ぎしていた頃の自分を思い起こさせるようで
甘酸っぱい思いをさせられます。
キャラクターの一人一人がきちんとした個性を持ち、
ちょっとエッチくもコメディチックに語られる会話の数々は不覚にもクスッとさせられました。
あとお姉ちゃんッッ!!
お姉ちゃんがいい味出しまくってる!!
そんな魅力的な登場人物が織りなす、青臭く、どこまでもまっすぐな【愛】の物語をご堪能ください。
見えない色眼鏡で人を見てはいませんか?
きっとこの物語を読めば、【正しさ】だけが【正解】ではないことを教えてくれるはずです。
童貞をからかわれる少年、からかう悪友、車椅子に乗っているヒロインが起こす物語には、自分が高校生の頃であれば口にしたであろう言葉や行動をちりばめられています。
ウソともいえないようなホラ、マウント、またプライドとか拒否感とか、十代半ばから後半にかけて訪れるイベントが詰め込まれた様は、成人した人から見ればびっくり箱、直中にいる人にとっては過激なラッピングがされたプレゼント箱に見えると感じました。
障がい者、元子役など、様々な属性があるが故に、全員が全て肯定されるような事はないでしょうが、それら反発も含めて作品の魅力になっていると思います。
友達に見栄を張ったら、思いがけす嘘をフォローしてくれた車いすの少女知佳と付き合うことになるお話。
概要はあらすじとか皆さんが書いてると思うので、そちらを。印象的だったのはお姉ちゃんや元芸能人の同級生など、多彩な登場し、基本重くなりがちなストーリーを面白く彩っている所がとても良いと思いました。毎回いい感じのボリュームに調整してくれているのでとても読みやすく、一気に最後まで読んでしまいました。
学生だった時どうだったかな。ある種懐かしさ、ノスタルジー的な寂しさを個人的に感じながら、愛すこと愛されるとはどういうことなのか非常に考えさせられました。
こんないい作品に出合えて幸せです。ありがとうございました。
友達に童貞をからかわれ、彼女なら俺にもいるし!と思わず言い返してしまった辰馬。
誰が彼女なのかと問われて言いよどむ辰馬に助け船を出してくれたのは、車椅子に乗ったクラスメイトの知佳だった──
車椅子に乗ったヒロインと言う、難しいテーマを扱っていますが、決して重すぎず、それでいて軽く扱わない絶妙な筆致で描かれた物語。
嘘から始まった関係性ですが、車椅子に乗った知佳と過ごすうちに、辰馬は「障碍者と付き合うのはどういうことか」ということを考え始めます。
魅力的な女性に囲まれ、時にはコミカルにテンポ良く進む物語ですが、障碍者、元芸能人などの「色眼鏡」で見るとはどういうことか、それに苦悩する少女達の想いが丁寧に綴られており、じっくりと考えさせられます。
最後の場面の知佳の悲痛な叫びと救い。同じく車椅子で生活する母を持つ辰馬であるからこそ知佳の想いを受け止められたのでしょう。
ただのラブコメだけでは終わらない名作です。
温かい読了感を求めたいあなた、必見です!
上に書いたように、生まれつき体に重度の障がいがある者です。ヒロインと同じく、車椅子に乗っています。
私は今まで、障がいをテーマにしたドラマやドキュメンタリーを見るたび、複雑な気持ちを抱いてきました。どれもこれも、上辺だけの知識や情報で、美化しすぎているからです。
ですから本作についても、(とある企画で出会ったため)普段あまり読まないラブコメだし、文体は軽めで好みじゃないし、障がいを笑うような真似は許さん! くらいに思っていたのですが……
読み進めていくうちに、作者さんの思慮深さに気づかされました。
合っているとか間違っているとかじゃない。普段から私のような当事者と関わりがあるのかと思うほど、自分なりに障がいというものについて考え、歩み寄ろうとしている。
作者さんの優しさが、主人公という分身を通して、滲み出ているように感じました。
つい重くなりそうな話題も、コメディ要素がうまく緩和してくれています。主人公のお姉さんは、私には少々刺激が強すぎましたが(苦笑)
安易に専門的な医療分野に手をつけていないのも、さすがだなと思いました。
障がいを扱った作品を、こんなにも心穏やかに楽しめたのは初めてです。
真摯に向き合うって、こういうことなんじゃないでしょうか?
車椅子の美少女も可愛い。
主人公らしい僕も素敵。
しかし、なにもかにも、すべて持っていくのは、この主人公らしい(らしいってのは、もしかしたら姉が隠れ主人公)男の子の姉ちゃん。
巨乳で弟が大好きな姉ちゃん。
好きを通りこして、裸で弟を抱きしめるって、ぶっ飛びすぎて一周回ってかっこいい。もう、むちゃくちゃな姉ちゃん。ほんと可愛い。最高のギャップ萌えキャラです。
読んでください。
一気に姉ちゃんの真っ赤なキャミ下着パフォーマンスにやられます。
ラブコメらしいですが、普通のラブコメじゃない。
それぞれの内心の葛藤が繊細に描写されており、そのために、深みがあり、爆笑しながら、でも、気持ちよく姉ちゃんにみんな持ってかれるはずです。
昔、教育実習の一環として施設を訪問した時のことを思い出しました。
障碍を持った方々と生活を共にするのは初めこそ違和感と驚きが多々あるものの、それは単に自分の無知からくるもの。やがては現場の空気に馴染み、そこでの日常に溶け込めるものです。
しかし、この作品が描くのはそれ以上の関係が構築される過程です。
言わば心と心のバリアフリー、互いを隔てた壁が取り除かれ、真の理解が成り立つまでを丁寧に追っています。
これは、車椅子の少女と多感な童貞君の恋愛ストーリーなのですから。
自分を良く見せる為、障碍を持った人に優しくする?
そうじゃない、そうじゃないんです。
だって、健常者にも悩みはあるし、苦しむことも多々あるし、社会から疎外されることだって当たり前のようにあるのですから。
立場やしがらみを全て取り払った時、最後に残るのは同じ現実と戦い続ける人間同士という真実だけなのです。だからこそ、そこに恋愛が成立するのです。
ラブコメでありながら、この世の真理を浮き彫りにしてくれる良作。
自分を閉じ込めた狭っ苦しい障壁を取り除いてしまいたい貴方へ、おススメです!