とても温かい物語です

友達に童貞をからかわれ、彼女なら俺にもいるし!と思わず言い返してしまった辰馬。
誰が彼女なのかと問われて言いよどむ辰馬に助け船を出してくれたのは、車椅子に乗ったクラスメイトの知佳だった──

車椅子に乗ったヒロインと言う、難しいテーマを扱っていますが、決して重すぎず、それでいて軽く扱わない絶妙な筆致で描かれた物語。
嘘から始まった関係性ですが、車椅子に乗った知佳と過ごすうちに、辰馬は「障碍者と付き合うのはどういうことか」ということを考え始めます。
魅力的な女性に囲まれ、時にはコミカルにテンポ良く進む物語ですが、障碍者、元芸能人などの「色眼鏡」で見るとはどういうことか、それに苦悩する少女達の想いが丁寧に綴られており、じっくりと考えさせられます。

最後の場面の知佳の悲痛な叫びと救い。同じく車椅子で生活する母を持つ辰馬であるからこそ知佳の想いを受け止められたのでしょう。

ただのラブコメだけでは終わらない名作です。
温かい読了感を求めたいあなた、必見です!

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