沢山の方がこの作品の良さを存分に語っているので、私は全編読み終えた今感じたことを書きたいと思う
この話を読ませて頂いて強く感じたのは、『道』だ
主人公、無量弐千佳の将来は小さい頃から決まっていて、それに沿って彼女は生きてきた
その道に疑問なんて持ったことがないように感じた
カッコいいのだけれど、どこか欠損があって常に崖っぷちのような危うさがある
それに反して道に迷える大型犬助手の★あんご★君こと有瀬安吾は実家の寺ではダメな末っ子として期待されることなく扱われている
常に楽観的で自分だけでなく他人の身体をも大切にできる真っ直ぐさの裏にある自信のなさは、道が見つけられないことへの不安のように感じた
そんな二人の道が交わる
弐千佳には以前と違う道(可能性)が、安吾には進みたい道が見えたに違いない
それはまさに『幸せ』であり、それがこの話には書かれている
陽澄様は初期作『楽園の子どもたち』から読ませて頂いているが、新作ごとに「この話が一番好きだ!」と感じさせる進化する筆力に圧倒される
これからも期待しかない
男女バディの除霊ものですが、そこに至るまでに情報の断片を拾い上げて、怨念となった原因を解き明かしていくミステリー要素が心地よいです。描かれる人間ドラマにも引き付けられます。また、陰の気の化身のような美女・無量さんと、ザ・陽キャと言った風情の有瀬君とのやり取りがテンポよくて楽しいです。
とにかく「面白い!」の一言に尽きます。カクヨムコン9では最熱狂賞を受賞された作品とのことで、納得しかありません。
1エピソードを読み終えるまで、とにかく雑音なしで物語を楽しみたい。どっぷりと世界に入り込んで読みたい。読みながらいろんな思いや感想が湧きあがってくるのですが、自分の言葉すら雑音になってしまう有様。本当は作者さん的には細かに感想がある方が良いのかもですが、すみません。読み終わるまで物語に集中させてください。
それくらい面白いです。
家――自宅とは、最も心落ち着ける場所。
けれどそんな自宅に、ある日不可解な出来事が起こったら?
奇妙な物音、何かがいる気配、勝手に家具が動く。
もしも、誰もいないはずの部屋で、そんなことがあったら?
そんなとき、誰を呼ぶ?
ゴーストハウス・スイーパーズ!
主人公・無量 弐千佳は凄腕の除霊師。依頼を受け、現世をさまよう死者を成仏させるのが仕事です。
特筆すべきは、彼女の依頼対象が「事故物件」限定であること。何らかの理由により自宅で亡くなり、成仏できずにいる魂を浄化させ、新たな住人が入居できる状態にする「事故物件専門の除霊師」なのです。そのため作中では「霊的特殊清掃人」と呼んでいます。
そんな彼女は、新しいアシスタントをお試しで雇うことになります。明るく元気で素直な料理男子、有瀬安吾くんです。
クールビューティーと太陽の申し子。正反対な二人がバディを組み、さまざまな事故物件の心霊現象解決に挑みます。
この作品の数ある秀逸な点のうちのひとつは、事故物件浄化に際して行う決まり事――ルーティーンでしょうか。
弐千佳の「仕事」には、事故物件を訪れたときから、いざ浄化を始めるというところまで、決まった一連の作業があります。それが実にリアルで、現実に事故物件専門除霊師がいたなら、こういうことを行ってそうだな、と頷きたくなります。
また作中では、“食事”も重要なポイントになっています。生きる者が生きるために必要とする“食事”が、事案解決の糸口になるのです。
(それはそれとして、作中では美味しそうな食べ物がたくさん出てくるので、空腹時に読まれる際はご注意ください)
弐千佳たちが向き合う魂たちの多くは、周囲の人々との正しい関係を築けずに亡くなっています。弐千佳自身、他者と深い関りを持たないようにしています。そんななかで巡り合った有瀬くんは、まるで弐千佳の半身のよう。まさに陰と陽。どちらか一方だけでは成り立たない、出会うべくして出会った二人です。
プロの除霊師だけれど、どこか虚ろな部分を内に抱える弐千佳と、そんな彼女を全力で支え照らす、ポテンシャルお化け有瀬くん。
彼女たちが並んで歩き始めまでの軌跡を、ぜひご覧ください!
素晴らしい読み応えのある、現代ファンタジー長編です。
事件や事故を原因に霊的現象が頻発し、住人に害を及ぼすいわゆる「事故物件」へ赴き、そこに巣食う怨霊を浄化する仕事人、無量弐千佳。代々優れた霊能者が出る家柄に生まれつき、その高い能力を受け継いだ彼女の「仕事ぶり」は、ただ凄腕でキレがいい、というような薄っぺらいものではありません。「女」である彼女自身の身体を使った除霊の凄まじさに、読み手は否応なく作品世界に引き摺り込まれます。
彼女のアシスタントとして雇われ、彼女の「陰」のパワーと絶妙に噛み合う「陽」の気に満ち溢れた見かけヤンキー風青年・有瀬との出会いで、頑なに閉じていた彼女の人生は少しずつ変化を始めます。
各章ごとに、厄介な事故物件を手がけていく二人の思考の経過や直面する問題へのアプローチが大変緻密に描き出され、過去の出来事の闇が少しずつ明らかになっていきます。ただ単に霊的現象を興味本位にグロテスクに描くのではなく、そこに絡んだ人間たちの感情が濃密に描かれ、読み手の胸に深く刺さります。
そこに巣食う、というよりそこから離れることのできない怨霊たちの悲しみ、苦痛、恨み。それらの霊たちに、弐千佳と有瀬は誠実に真正面から向き合います。
弐千佳のブレずにクールな無表情さと、その裏側に押し隠した孤独や苦悩。有瀬のどこまでも純粋に明るく、おおらかで温かな人柄。二人のこのコントラストがなんとも言えず心地良く、悪霊浄化の爽快感だけではない人間ドラマが作品全体に濃密に詰まっています。このボリュームがありながら、最後までこれだけ濃い味わいを絶やさず書き切るのは容易にできることではなく……作者様の緻密な思考力と精神力、筆力を目の当たりにする思いです。
これ読んでよかった!と間違いなく思える素晴らしい作品。心よりお勧めいたします。
読ませていただきました。感想戦ですよ。
はじめは「ほう、除霊バディものですか。大したものですねえ」と、エセ評論家ぶりながら、炭酸抜きコーラ片手に何気なく読み始めました。
そしたらまあ、なんと素晴しい物語だこと。
サブスクでオリジナルのドラマシリーズを一本観終わったくらいの満漢全席な満足度が獲得できました。
なんと言っても、バディを張るメインふたりのキャラが、とても上質に練られておる。
クールビューティなイケメン姉御の弐千佳さんと、金髪チャラチャラワンコ男子の安吾くん。この組み合わせは、果てしなくエモい!
強者感漂うイケメン姉御の弐千佳さんは、お馴染みの「臨兵闘者皆陣列在前」だけでなく、「淆」とかいう結界術?まで発動させちゃって、これには厨ニ法力男子の読者も大歓喜。
厨ニのハートには「解」とか「捌」みたいな漢字一文字の特殊能力が、クリーンヒットで刺さっちゃうんだってばよ!
そして、金髪チャラワンコの安吾くんは、クールな姉御とは対極の能天気陽キャ……と思いきや、料理に掃除はお任せあれと、頼れる万能主夫属性を併せ持つ。
ううむ、癒しを求めるOLお姉様読者たちも、これにはもうメロメロ。有瀬'sキッチンで、胃袋鷲掴みだってばよぉ!
この二人が、様々な事故物件で起こる心霊現象の解決に挑んでいくわけですが、この事故物件のバリエーションの多さも、読み応えがあって楽しぅいー!
まさかリアル不動産だけじゃなく、電子世界にまで潜り込むなんて思いもしませんでしたぜ。なんでもありじゃねえか、素子おぉ!
しかも、弐千佳さんが「淆」「縛」などの厨ニ男子垂涎な特殊能力を持つにも関わらず、その能力を使った単純な除霊バトル展開で終わらせずに、幽霊となった人々の心の機微に触れたエピソードを盛り込んで、成仏まで導いてあげるという流れもまた、ドラマチックで良き。
もしわたしが同じ設定で物語書いたら、弐千佳さんが無量空処したり、安吾くんがフローリングワイパーで黒閃連発したり、大黒不動産二代目が手袋外して鬼の手発動したり、第二部で「事故物件八神将」みたいな強敵が登場して、インフレバトルしたり……って感じで終わっちゃうと思う。
贅沢な能力バトル設定を舞台装置の一つとして巧みに落とし込み、時にハートフルに、時にはどこか後味の悪さもありつつ……と、骨太な人間幽霊ドラマを描いた作者さまの手腕には、もう感嘆符を山盛りにするばかり!!!!!!!!
所々で描かれるメインふたりのクスッと笑っちゃう日常会話パートと、除霊シーンにおけるおどろおどろしい描写との切り換わりが、なぜか往年のドラマTRICKを彷彿とさせました。どこか懐かしいダーク感。
日常会話の中で個人的に印象に残ったのは、ファミレスで安吾くんがネコちゃん配膳ロボットと触れ合うシーンですかね。あったかい手ニャーのやり取りが、なぜか堪らなく萌えてしまいましたハアハア。
あと、安吾くんがナチュラルにドMっぽかったり、所々変態チックな発言するとこも良かったです。シリアスな場面で、弐千佳さんがエロい感じで責められてたとこに興奮するんじゃないよ!笑
とにもかくにも、いやはや、非常に満足させていただきました。
エンターテイメントに飢えた娯楽亡者の皆さん、Netflixで地面師もいいけど、すずめflixのオリジナルドラマも、超絶オススメですよー。不動産に幽霊までついてくるなんて、なんてフィジカルでプリミティブでフェティッシュなんでしょう(?)
しかもこっちのサブスクは、Netflixと違って無料で読み放題と来たもんだ。なんと素晴しい大盤振る舞い!
読み応え抜群の肉厚な除霊バディ人間幽霊ドラマ、全部まるっと一気に読み通しちゃえー!
事故物件に泊まり込み、心霊現象を解消する霊的特殊清掃人とアシスタントのバディ。
この文字だけでも心が躍るような始まりを感じる。
事故物件を浄化する、ということなのでホラーを感じられるだろうが、一貫して書かれるのは人の業だ。
それは事故物件に巣食う何かだけではなく、それぞれの人生に影を落とすものにも触れる。
時には目を背けたくなるような業を見せられながらも事故物件に残された未練を浄化していくのだ。
その浄化をしているのが無量 弐千佳であるのだが、とにかくドライで格好良い。だが、その浄化は見ているこちらが息を呑む程に凄まじい疲労を感じられる。
どろり、と血が流れ落ちる。
それは生きている証でもあり、体の澱みを脱ぎ捨てる描写でもある。
重々しい描写がありながらも読み進めることが出来るのは有瀬 安吾というアシスタントの存在がある。
何故なら彼はキャッチコピーにもある通り、ポジティブすぎるチャラ男である。
それ故に重々しい場にそぐわぬ発言で怖さを払拭し、時に笑わせてくる。ゴールデンレトリバーのような眩しい彼の笑顔に救われる回が多々、あるのだ。
そんな二人だからこその掛け合いがこの物語の見所でもある。
そしてこの物語は食べるという行為にも重点が置かれているように感じる。どんなに禍々しい部屋を前にしても、食べることは生きること――。温かいご飯を食べる二人の姿に「大丈夫」だと思えるのだ。
澱みの中にある部屋が浄化されて、気持ちの良い風が吹く時、読み終えたこちらもなんだが安堵する。
断ち切った未練の後には穏やかな雰囲気が残る物語です。
抜群の安定感、安心感。
事故物件に巣食う霊の無念は重いのに、どうしてこんなに読後感が良いのか。
それはやはりメインキャラ弐千佳と安吾によるコンビネーションの為せる業でしょう。
弐千佳の一人称視点で綴られる文体はドライで淡白。
しかしそこに安吾というへんてこ色の絵具が振り落とされることにより、鮮やかな化学反応が発生します。弐千佳の「戸惑い」という形で。
「戸惑い」はやがて「信頼」へと変化する。
似たようなサイクル(仕事)を繰り返していく中でも、徐々に変化していく二人の関係性が心地良い。
個人的に大黒ジュニアのキャラも好き。寸分の狂いもない彼の眼鏡の位置をイタズラしてちょっとずらしたくなる。
去年の最熱狂賞受賞作。
まだ読んでいないあなたは、今から熱狂だ。
第一部(#4の終わり)まで読了時点のレビューです。
作品概要と読みきれないほど数多のレビューにより、充分過ぎるほど興味を掻き立てられるので、私は主に読んだ感触を。
まずタイトルからして、ホラーが苦手な私は昨年回れ右しました。
(疲弊により活動休止気味でもあったから、描写次第では受け止めきれない気がした)
けれど著者すずめさんが書くものに対する信頼もあって、一年越しで踏み込みました。
良かった、本当に。
バーン、ひゃー!!!(恐れ泣)みたいなことにはなりません。
ヒタヒタと蠢く怨霊の怖そうな描写はいくらかありますが、「今起こっている現象」と「生きていた時にあった何か」の因果から生じるミステリーを追って事態を解決します。
主人公の弐千佳さんと、そのアシスタント有瀬君を中心とした人間ドラマであり、「かつて生きていた人々」の人間ドラマでもあります。
トンネルの冷たい暗がりさえも己に取り込んでしまうような、闇を抱えて生きてきた弐千佳さんの前に、まやかしではない本物の一筋の光が見えた。
そんなストーリーを追ってみては如何でしょうか。
今はまだ冬の只中でも、その先に春が見え隠れしているからこそ、我々も生きていられるのでしょう。
べったりと残る生活の跡――。賃貸住宅に住んだことのある人ならば、前に住んでいた人が残した傷などに気づくことがあるかもしれません。時として、彼らと時空を共にしているような薄気味の悪さを覚えることもあるでしょう。
本作の主軸となるのは、まさに「事故物件」。その建物を以前に使っていた人が、べったりと残していったもの――しかし、原因の不明なものを祓う異能の除霊師が主人公です。かつ、強い「陽」の気を持つアシスタントとの仲が非常に魅力的なコンビネーションを生んでいます。
いうなればこれは、霊感と頭を使う清掃業の物語と言えるのかもしれません。次々と現れる事故物件に巣食うもの・怪異の正体を一章ごとに推理し、そして、祓ってゆくのが本作のコンセプトとなります。
特に、本作の特徴となるのが、本気で怖いエピソードがいくつかあるところでしょうか。(特に「集団自殺マンション」はかなり怖かった。)
そんななかで、怪異の正体について推理しつつ読むのが非常に楽しかった作品でした。しかも、大抵は予想をかなり裏切られる原因が章ごとに用意されています。
そんななかで、光と影のような主人公とアシスタントの関係やいかに――? お互いに霊的に交わり合い、関係を深め、成長し合う姿をぜひともご堪能ください。
飛びこむには自分としては勇気が必要なジャンルかなあと戸惑いつつ、沢山のみなさまの熱烈なレビューに押されて、えいっ!と読み始めたら、もう、もう、本当に止まらなくて、とにかく凄くて圧巻圧倒最高でした🏅🏅🏅
幾つもの魅力が交錯していて、新しい世界を知ることが嬉しかったし、膨大な熱量が渦巻いている物語に深く潜りこんだままの読了感。彼是知ったのちの、再読の味わい深さは約束されているから、存分に味わい尽くしたいっ!などの強欲発動自覚しつつ、一旦落ち着かねば・・と己を諌めております。
まずはこの世界に触れられた幸運に只管に感謝です。
素晴らしい作品、本当にありがとうございます!
そして!そして!
第2部開始のお知らせ発見!
とてもとても嬉しい!
日常の中で、すきだなあと思う作品に出会えて読めることの有り難みかみしめつつ、これからも楽しみにしています!
事故物件専門の異能除霊師・無量 弐千佳と大学生・有瀬 安吾の名コンビの活躍が痛快で楽しいオムニバスドラマです。
陰と陽、まったく正反対の素質の二人が互いに補い合い、その場所に残留する穢れた魂を浄化していきます。
タイトル通り、どの物件もホラー好きならワクワクするタイトル揃い。
それぞれの物件にまつわる逸話も毎回凝っており、どんな手法で彼らを解放するのか楽しみに読ませていただきました。
キャラクターの掘り下げも秀逸です。
弐千佳と安吾の軽妙な掛け合いがとにかく楽しい!
二人が困難なケースにどう立ち向かうのか、ワクワクします。
各話に隠されたギミックも面白く、秘密が分かったときの驚きと爽快感は癖になりそう。
物語の終盤には弐千佳の人生に大きな転機が訪れます。
コミカルなのに物語に厚味があり、しっかり読ませる作者の文章力と構成力は素晴らしい。
一ファンとしてぜひ続編を期待します!
ホラーかなと回れ右しかけた人は戻ってきてください。
読めます。井戸から出てくる髪長いお姉さんの映画のCMだけで夜眠れないような、そんな私でも一日とかからず読んでしまいました。やめられない止まらない。前のめりで読んじゃう。
クールでドライな、『霊的』特殊清掃人の弐千佳さん(陰)と
サイケデリックなナイロンシャツで言動も文面も何もかも南国かっ!なアシスタント有瀬くん(陽)
このふたりが、数々の事故物件の霊的現象をお掃除しに行く、お仕事バディものです。
まず、このふたりのやり取りが面白い。
有瀬くんがすっごいんですよ。
読んでるのに、目にうるさい。意味分からないこと書いてますけど、読んだらわかっていただけるかと。めっちゃうるさい(褒めてます)
有瀬くんがひたすら面白くて、それをすべてクールにいなしてクールに心の声でツッコむ弐千佳さんが堪らないんです。会話の合間に入る彼女の冷静なご感想に「ほんとそれ」と何度うなずいたことか。
ミステリとしての面白さも、もちろん!
ストーリー中、四つの事故物件の原因究明に向かうんですが、そのどれもが読んでいるこちらも同伴して現場で頭を悩ませている気分になります。少しずつ出てくる情報を頼りに、なんでだぁ?と真剣に悩むから、もうどんどん先へ進んでしまう。
さらにさらに、ふたりの背景や、バディものならではの信頼構築。弐千佳さんの抱える闇や、有瀬くんによる定期的な飯テロ。そしてファミレス行きたい……やたら、ファミレス行きたくなる……ファミレスぅ。
と、もう、こんなレビューでは書ききれないぐらいお腹いっぱいになる物語なんです!
本当におすすめ!
是非読んでいただきたいっ!
最高でした。
いま読了直後なので、正直言って語彙力がすべてなくなっています。私の語彙力帰ってきて。まともなレビューを書けるだけの語彙力よ、帰って来てくれ。
ずっとずっと気にはなっていたのです。
除霊、イケメンすぎる女性、ハイパーポジティブ年下ワンコ、チラチラと匂わされる重い過去。私の好きな物が全部ここにあるわけです。しかもあれだ。シリアスすぎない文体。これ重要。宇部さんはっきりいって馬鹿の人だから、100%のシリアスは脳が拒否する人だから。そういう点でも本当にうまい。うますぎる。
うますぎると言えば、ちょいちょい出て来る料理の描写も最高。何だ、有瀬君(パリピ系年下ワンコ)、君、そういうのも出来ちゃう系の人?もう嫁いだら?下地はもう出来てるよね?ちょっと婚姻届だけ持ってきな?
男女バディ、マジで最高ですよ。お互いのタイプがまるっきり逆でね。それはそれはもう陰と陽でね。そんでもう『陰』の弐千佳さんはそれはそれはクールでドライなカッコいい女性なんですけども、その『陰』っぷりが凄くてね。一切の光を通さない『黒』みたいななね?そんな感じなんですけど、でも読んでいくとですよ、案外そうでもないんですよね。ちゃんと有瀬君のどぎついアロハを、じゃなかった『陽』の気を受け止められるというかね。そういうところある。この二人はお互いに、お互いの要素に負けないんですよね。どっちも否定しないんですよ。そこが良さなんだよねって尊重する度量があるんですよ。
私なら無理よ。「毎回毎回目に優しくない騒がしいシャツ着やがって、このパリピがよ」ってネチネチグチグチするところですよ。でも弐千佳さんはその辺凄いから。ちゃんと受け止めるから。騒がしいアロハを、じゃなかった、有瀬君の『陽』をね、ちゃんと受け止めるから。
もうね、全体的に何を書いてるか支離滅裂な感じになってきましたけど、私のレビューなんてね、もう『枯れ木も山の賑わい』ってやつだから。こんなのね、あってもなくても同じというかね。私はもうただただ読了後の「ちょ、マジ聞いて聞いて、すげぇの読んだんだってマジでちょっと聞いて?」っていうアレだから。いまさら私ごときが何を書いても書かなくてもこの作品の凄さは揺るがないから。
というわけで凄いの読んだぜ、っていう報告でした。
ワケあり物件を専門に祓う無量弐千佳の元に現れたアシスタントの有瀬くんは見るからにチャラ男。
この2人を中心に物語は進みます。
霊を祓うのも特殊な霊能力を使ったりはするのですが、部屋の因縁などが一筋縄ではなくミステリー仕立てになっています。
また有瀬くんの能天気さもあってドロドロした展開がかなり救われます。
登場人物の性格や生い立ち、食事シーンなどは本当に引き込まれること間違いなし。
そしてそして、同著者の『なごや幻影奇想シリーズ』と同じ世界なのであの登場人物が出演したりして思わずニヤリ。
まだ読まれてない方は『なごや幻影奇想シリーズ』も読まれると楽しさ倍増すること保証します。
事故物件専門の異能除霊師・無量弐千佳は、一留中の大学生・有瀬安吾をアシスタントに起用して、死者の念が蟠る現場を清めていく……。
弐千佳さんが赴く現場には、その場所で命を絶った人たちのさまざまな感情が渦巻いています。残留思念が不幸を呼び、新たな犠牲者を生んでいく負の連鎖の背景には、住居という箱の数だけ艱難辛苦が存在します。
目を背けたくなるほど重苦しいそれらと、弐千佳さんはじっくりと腰を据えて向き合います。そんな生き方によって醸成されてきた陰りを、持ち前の明るさで照らしていくバディ・有瀬くんの活躍も見逃せません。人懐こい彼が、事故物件で作る手料理(!)も必見です!
濃密に描写されたドラマと、二人の掛け合いが絶妙にマッチしていて、あっという間にラストシーンまでたどり着いていました。特に大人の方々へおすすめしたい、極上のエンタメ長編でした!
この物語は事故物件や曰く付き物件の邪気を払うという、『霊的特殊清掃人』である男女のバディ作品です。
主人公は一匹狼なアラサー女性の無量弐千佳。
そのアシスタントとなるのが、ポジティブワンコ系大学生男子、有瀬安吾。
この二人の凸凹具合をメインに話は進んでいきます。
章ごとに話が終わる連作短編式の長編になっており、非常に読みやすい内容となっています。
主人公、弐千佳の目線で話は進み、章が進むごとに彼女が抱える問題が次第に浮き彫りになっていきます。
彼女はその「陰」の性質と性格から様々な事象を一人で抱え込んでいるのですが、アシスタント有瀬くんの存在により、彼女自身が少しずつ変わっていきます。
この作品を読んでいた私でさえも、有瀬くんの言葉の数々に何度も胸を打たれ、涙しました。
彼が発する純で真っすぐな言葉には、文字通りの浄化の力があり、その秘められた力によって弐千佳だけではなく、読者自身も助けられるのではないかなと思います。
曰く付き物件を二人で浄化していく様も見事で、二人の掛け合いにも笑ったり、ずっと味わいたい内容となっています。
和ファンタジー好きにもおすすめですし、ホラー作品やヒューマンドラマがお好きな方にも非常にすすめたい物語です。
きっと皆さまにも響くものが必ずあると思います。