この作品のいいところ? 全部です、全部!
まずキャラクター。弐千佳さんというかっこいいお姉さんと、安吾くんという大型犬みたいな陽キャ男が出てきます。正反対だけどお互いを受け入れ尊重し合い補完し合う最高のバディです!
事故物件というだけあり、棲みついた霊たちの過去は重苦しいものが多いのですが、これでもかというくらい苦しみをえぐる描き方がすごいです。すごいなんて言葉で言い表せないくらいすごい。でも大丈夫! 安吾くんが雰囲気を和らげてくれますので! たぶん読めばわかる。
いろんなところに伏線もあり、あれこれ考えながら読み進められるのも楽しみの一つです!
バディ好き、ヒューマンドラマ好きな方にはぜひ読んでいただきたいです。わたしの大好きな作品、ぜひ読んでくだされー!!!
ドライでちょっぴり暗い性格の無量弐千佳。
人懐っこくて明るい性格の有瀬安吾。
この二人が事故物件の後始末、「特殊清掃」の仕事に勤しんでいく物語……なんて言うと、いわゆる「お仕事系」のお話に聞こえるかもしれませんが。
まぁ、多少そういう性格はあるかもしれません。ですが特筆すべきはやはりこれ。
――事故物件に根付いた霊を祓う、まさに「特殊」清掃。
前の入居者が自殺したから割安で住める……なんて話はたまに聞きますね。いわゆる心的瑕疵物件というやつです。本作の主人公の一人、無量弐千佳はそうした瑕疵を癒す、あるいは塞ぐ仕事をしています。すなわち「事故物件に短期間住み、そこにいる霊を祓って物件の価値を元通りにする」仕事です。
この仕事に従事している無量弐千佳さんはある日、知人の伝手で妙に明るいチャラ男、有瀬安吾くんを助手として紹介されます。それまでも何人か助手を雇っていたのですが仕事柄なかなか適合する人に出会えず……そんなところにやってきたのが彼でした。
さてさて、そんな二人が立ち向かう事故物件は……おっと、ネタバレになりそうですね。控えます。
各章それぞれなかなか強力な霊が現れます。いずれもこの世に未練を残して死んでいった人たち。悲しみの中に、人生に対する「狂い」や「歯車の噛み違い」がひと匙。
そうした霊と向き合ううちに、それも安吾くんというこれまでとは違うアシスタントと仕事をしていくうちに、弐千佳さん自身の中でも変化が起きていきます。これは今までの助手ではなかったことみたいですね。安吾くんとの出会いは色んな意味で弐千佳さんに影響を与えます。
さて、お気づきの方はいらっしゃるでしょうか。
弐千佳さんの苗字「無量」と安吾くんの苗字「有瀬」。頭を取ると「有無」になりますね。
ここで二人の「気」についても触れます。
弐千佳さんは家系的に霊能力者の家で、「陰」の気を使います。安吾くんは天性の「陽」の気で、この二人、「陰陽」になっているんです。
有無と陰陽。反対の属性を持つ者同士が、お互いを補い合いつつ前に進んでいく物語。こう聞くだけでワクワクしませんか? バディものとしてとても面白い気配がありますよね。
本作にはそんな二人の目覚めも葛藤も前進も、悲喜交々、詰まっています。これを追うだけでもとても面白い。
しかもそれに加えて、各章ごとに「なぜこの霊はこんな悪さをするのか?」という謎解き要素も加わります。他の方のレビューを見れば分かりますが、ホラミス、と捉える向きもありますね。ですが人生での悩みや悶々とした思いへ正面から向き合う本作は、純粋な人間ドラマとしての趣もあります。
それぞれの章を読んだあなたなら分かると思います。どの章の霊も「相手がいなかった(欲しかった)」あるいは「相手に干渉しすぎた」「相手を突き放したかった」のですよね。陰陽の相手がいなかった、欲しかった。陰陽のバランスを崩してしまった。だから狂ったし、だから根付いた。いずれの霊も有無コンビの対比関係にあることに、きっとあなたも気づくはず。
僕が本作を読んで思うこと、それは「大丈夫、あなたのことを補う人はきっといるから」ということです。これは自分に向けてのメッセージでもありますし、これから本作を読むあなたへのメッセージでもありますね。
きっとこの物語に感じ入るところのある人は、恋愛だったり友人だったり家族だったり、何か人間関係に「瑕疵」があるのかもしれません。でも大丈夫、きっとそんなあなたを補う人がいるから。本作にはそんなメッセージがあるように思います。
この作品を読んだあなたは、今隣にいる人との関係を少し見直したくなったり、感謝したり、拒否反応が出たり、色々経験するでしょう。この物語は変化の物語でもあります。もう変わることのなくなった「霊」という存在に向き合う二人が、徐々に変化していく物語。その過程であなたが経験するような心の変化を作中の二人も経験していきます。
だから大丈夫、本作の二人が変化への向き合い方を教えてくれます。安心して、心揺さぶられてください。
この作品の二人はお互いに踏み込みすぎたり、距離を取りすぎたりはしません。安吾くんは弐千佳さんの根幹に触れようとはしませんし、弐千佳さんは安吾くんを突き放したりもしない。お互いがお互いのいやすい空気を大事にしている。タバコで一服する弐千佳さんとソフトクリームを堪能する安吾くんという場面が出てくるのですが、これが二人を象徴する空気感です。なんとなく分かっていただけますか? 弐千佳さんは安吾くんの顔に煙を吐きかけたりしないし、安吾くんも弐千佳さんにソフトクリームを強要したりしない。この空気が読者の僕としてはたまらなく愛しくなります。
こうした空気感の他にも、弐千佳さん自身の中に対比関係があったり、さまざまなところで「陰陽」関係があります。こうしたものを見つけていくのも楽しみ方のひとつかもしれませんね。
ただ、隣り合う。それだけで強くなれる。
そんな二人のお話です。
ぜひ、読んでみてください。
本作は事故物件に留まる霊を除霊する清掃人の無量弐千佳と、彼女の新しいアシスタントになる有瀬安吾の男女バディもののお話です。除霊というからもちろん霊も出てきますが、ホラーが苦手な方でも読めるかと思います。
なぜならアシスタントの有瀬くんが超絶ポジティブ!!
本作から少し抜粋させていただくと、勝手にドアが開いたら「うわ!超親切じゃん!」って素で言っちゃう男の子なんです。
弐千佳さんとの会話のやりとりもテンポよく、絶妙な匙加減で笑わせてくれるので(本人たちはいたって真面目)心霊もののお話だって忘れるくらい楽しいです。
事故物件の除霊を通して霊たちの過去や彼らが何を思って死んでいったのかなど、扱う題材が「死」であるゆえに話は決して軽いものばかりではないのですが、全体を通して有瀬くんの存在がヒロインの弐千佳さんだけでなく読者である私たちの心にも光を差してくれるようでした。
章ごとにひとつの事故物件の話としてまとめられているので読みやすいのもポイント。でもきっと一度ページを捲ったら、止め時を見失うほどおもしろいので寝る前はおすすめしません(笑)
物語は完結しましたが、彼らの今後の話をもっと読みたい。
そんな風に思える作品でした!
これまでについてるレビューを見てもらうだけで、数多の人がお薦めであると声高に叫んでいるのがおわかりいただけると思うが、私も便乗する。
最終話を読んだ時、私の中の審査員が全ての項目において、10点満点のプラカードを上げた。
読みやすい区切りある構成、回が進むごとに明らかになっていく主人公の秘密、この後どうなる!? の期待と不安にページをめくる手が止まらない。完結間際で一気読みしたのだが、それが正解だった。ゆっくり連載を追っていたら、次の更新を待ってリロードボタンを連打したに違いない。それだけ次のエピソードが気になって楽しみでたまらないのだ。完結した今から読む人は幸いである。
ホラーだけど、徐々に明かされる要素から事故物件になった原因が判明する様はまさにミステリ。何がすごいかって与えられるヒントで、読者が「あっ! もしかして」と真実に気づく時、主人公も同時に答えにたどり着く。読者が先に気付いてしまうと、気づかない主人公にやきもきするし、逆だとチンプンカンプンである。このシンクロするかのような解答タイミングの気持ちよさといったら。
そして最大の魅力は主人公バディ! 凸凹コンビなんて単純なものではなくて、光と闇のような対比でもない。まさに陰と陽と形容すべき二人なのだ。彼らの魅力はしょっぱなから溢れまくっているので、とりあえず読んで体感して欲しい。
読後感も最高。最終話を読んでなお、二人の活躍をもっと見たいと願ってしまう。
事故物件に憑いている霊を泊まり込みで除霊してくれ霊的特殊清掃人の話で、登場人物が魅力に溢れていて読み始めるともう止まりません。
主人公の弐千佳さん(30歳)はカッコ良いイケメン女子で、なんでも一人で出来てしまうという雰囲気をもつ女性。
そして弐千佳さんにアシスタントとして起用された大学生の有瀬君(22歳)はこれまたすごく個性的で、話を読み進めるほどに可愛くて仕方なくなります。
このふたりが依頼を受けて事故物件の除霊を行うのですが、除霊が行われるシーンの迫力は凄く、一読の価値ありです!
目の前にその光景が浮かぶ程の丁寧な描写で、夢中で読んでしまいます。
憑りついている霊の禍々しさは十分すぎるほど伝わりぞっとしますが、それを弐千佳さんが冷静にカッコよく除霊してくれて、読み手も除霊の後はすっきりした気持ちになれますよ!
是非読んでみて頂きたい作品です。
事故物件専門の除霊師・無量弐千佳と、そのアシスタント・有瀬安吾のバディもの。会社員が自殺したアパートや集団自殺があったマンション、殺人事件が起こったラブホテルなど、実際に事故物件の部屋に住みつつ、除霊作業を行います。
有瀬くんはチャラ男でへらへらしているけれど、根はすごく真面目で周りの異変にもすぐに気づく。弐千佳さんに懐いている姿やワードチョイスが可愛くてほっこりします。題材が重い分、有瀬くんの陽パワーでライトになっているので、ホラーが得意じゃない人も読みやすいと思います。
正反対に見えて相性バッチリなイケメンバディ。たくさんのアツいレビューからもこの作品の面白さは一目瞭然。とっても面白い除霊エンタメドラマ、おすすめです!
ジャンルは現代ファンタジーですけど、家系ホラーが好きな人は必読です。わたしも、家系ホラーが好きなので、これは自信持って言える。
特殊清掃は特殊清掃でも霊的なモノ専門の特殊清掃人のクールな無量弐千佳に、真逆な陽キャ有瀬安吾がアシスタントになることで始まるお話。真逆な二人が繰り広げるというだけで、もう面白さ保証されているようなものです。
すでに怪異現象が起こっている事故物件で除霊をするというのも斬新ではないですけど、面白い。住人じゃなくて清掃人という距離感は、私たち読者に近い視点でもあるので、ものすごく読みやすい。謎解き要素もしっかりあるので、エンタメ性もすごい。それでいて、主人公たちが抱えているものもしっかり描かれているのでドラマ性もしっかり読まされるし考えさせられる。
家、ひいては家族と向き合いたくなること間違いないので、ぜひご一読を。
熱量激高のレビューが揃い踏みのこちらの作品。
すごく面白かったですありがとう、しかし私などがこれ以上レビューに書けることなど皆無、★だけ置いて立ち去ろう……
……という気持ちは、ラストまで読んで見事に消え去った。
何を書けばいいかわからない、でも何かしらを残したい衝動に駆られる。20名を超える、熱いレビュワーさんたちの気持ちが痛いほど理解できました。
細かいところは他の方のレビューを読んでいただくとして(て、手抜きじゃないよ?)。訴えたいのはレビュータイトルの一点のみ。当たり前のことですけどね。読まなきゃこの面白さわかんないから。「ひとまず読め。」です。
そして弐千佳&有瀬バディ結成のきっかけを作ってくれた樹神先生(登場人物)に心から感謝。先生、テキトーに声かけてんじゃないよ〜wwとか思っててごめん。最強で最高の二人にバンザイと乾杯を捧げたい気持ち!
霊の憑いた曰く付きの事故物件を除霊し清める霊的特殊清掃人「無量 弐千佳」。
ドライでクール、美人だけどどこか近寄りがたい細タバコの似合うアラサー女子の元に、新たなアシスタントがやってきた。その名は「有瀬 安吾」。
なんと彼は、今まで出会ったことのないような、アロハの似合う底抜けに陽気なワン子系パリピ男子だった!ウェーイ!
どの清掃のお仕事に赴いても、そこに住み着いた霊はとんでもない負のパワーの権化。もちろん事故物件ってなぐらいだから無理もありません。大抵の人間は長く続くことなく現場を去っていくのですが、有瀬くんは一味違いました。その底なしの陽の力で見事に弐千佳さんの右腕をこなしていくのです。
最初はその軽いノリに戸惑いながらも、先輩として師匠として、有瀬くんを引っ張っていく弐千佳さんでしたが、気づけばいつしか有瀬くんの持つ不思議な陽の力に引っ張られていくのです。
しかし、それは弐千佳さんにとってとても必要なことでした。なぜなら、彼女には、いつか抜け出さなければならない暗い過去があったからなのです……。
まさに陰と陽、まるで違うふたりが織りなす連作短編形式のホラーミステリー。年の差男女コンビということで、ちょっと大人な恋愛テイストを予想しましたが、実は甘さ控えめのなかなか硬派なバディものです。これは師弟関係、男女の仲を越えたふたりの絆の物語。
さぁ、みなさん、除霊の準備はよろしいか。
女と男、黒とアロハ柄、煙草と手料理、陰と陽。すべからく対照的な二人が織りなす除霊譚の数々。スリリングなエンターテインメントとしてはもちろんのこと、人間の闇とそれに対峙する姿を描くヒューマンドラマとしても素晴らしい仕上がりです。
事故物件を除霊していく過程で、主人公である弐千佳のまとった負の鎧が少しずつ脱がされていく様子が感じられます。それはとりもなおさず、大型犬のように無邪気なアシスタント有瀬の存在のなせるわざ。いったい何枚アロハシャツを持っているのかと思うチャラ男ですが、このキャラクターが作品全体に光を与えてくれています。彼の予想外の言動に最初は翻弄される弐千佳も、その規格外の明るさを本当は何より必要としていたのではないかと思いました。
孤独の中に自分を匿っていたような弐千佳が自分自身と対峙していく終盤は胸を揺さぶられます。独りで戦うよりも支えてくれる誰かがいる頼もしさとあたたかさを感じます。
重たい感情を扱いながらも強く前向きな読後感を与えてくれる素晴らしいドラマでした。
部屋に染み付いた負の念を祓う「霊的特殊清掃」。それを生業とする弐千佳は、新アシスタントの有瀬と組んで場と念との結び付きを明らかにし、様々な魂を浄化していく。
何よりもまず魅力的なのは、キャラたちの個性と関係性!
弐千佳さんは陰をまとっていてクールだけど、温かさやユーモアも持っていますし、有瀬くんは底抜けに明るくてチャラチャラして見えるけど、丁寧でしっかりとした一面もあります。
この二人の持つ性格や属性が最高だし、「正反対」というより「対になる」関係性もまた最高なんです。
場所に染み付いて残ってしまう程の負の念を取り扱っているお話なので、もちろん人のどろりとした面も描かれます。でも二人のサクッとしたやり取りがすごく面白いですし、張り詰めていたり重かったりの空気を無視した有瀬くんの発言にもいつも笑ってしまいます。この重さと軽さの塩梅がたまりません!
ジャンル自体は現代ファンタジーですが、ホラー、ミステリー、人間ドラマ、そしてグルメの要素も含んでいて、とっても盛り沢山な作品です。
しかも、章ごと・作品全体の構成がしっかりとしていて、演出によってそれらの魅力がさらに光ります。
物語に身を任せて読み進めているだけで、自然と心が揺らされ、最高にエンタメできる。本当に魅力たっぷりの大好きな作品です!
魅力の詳細は、ぜひ実際に読んで感じてみてください!オススメです!
街中のアパート、郊外のビル施設。どんな場所も利用者が替わる時には清掃をかけるもの。
これはハウスクリーニングを生業とする女性が、新たに助手となった陽キャ男子と仕事をするお話。
ただし。
清掃の対象は普通の汚れではないけれど。
その部屋、場所に染みついた人の思い。はっきり言うなら、事故物件の幽霊。
さて腕前のほどはどうでしょう。普通に床や壁を掃除する業者さんだって、仕事ぶりは千差万別。
油汚れに泥汚れ、汗じみや食べこぼし。壁や洋服の汚れには、種類の限りがありません。
人の思いはもっと複雑です。どこに誰に向けたものか、想像を絶するほど絡まっていたり、言葉も通じなかったり。
──ああ、文句はありません。根こそぎです。
一つずつ、思いの色や形をはっきりとさせ、培ってきた技術で取りかかります。腕利きの染み抜き職人を彷彿とさせる仕事でした。
きっと祓われた幽霊も納得の。
信頼と実績のハウスクリーニング。
無量弐千佳と有瀬安吾の二人に、あなたも任せてみませんか。
えっ、頼む仕事がないですか。それなら二人の日常を覗くだけでも、さあどうぞ。
カクヨムで幾多もの名作を書き綴っていらっしゃる陽澄すずめさんの新作は、今回も素晴らしいです!
いわゆる『事故物件』のうち心理的瑕疵物件に当たる、不審死を遂げた部屋。
物件のマイナスイメージを払拭するとともに、その部屋を受け継いだ住人に同様の不幸が起こらないように、ハウスクリーニングの要領(?)で、取り憑いた怨霊を浄化するのが、本作のまず特長です。
除霊に当たるのは、無量弐千佳さんという女性ですが、泊まり込みの作業となるため、アシスタントが必要。しかしながら、メンタルにかなり負荷がかかるため、過去のアシスタントは長続きしなかった模様。
そんな中、『新』アシスタントとして紹介されたのが、有瀬安吾くんという青年です。
見ての通り、除霊やオカルトとは無縁そうな、チャラ男×陽キャ×パリピの金髪大学生!
無量さんは先が思いやられながら、渋々アシスタントとして彼を迎え入れるのですが……☆☆
本作は、何と言っても有瀬くんの『陽』キャっぷりがポイントです。
無量さんがクールなのと、まさに対極的な存在。
凸凹ペアなのに、なぜかうまくいく仕事!
まるでゴールデンレトリバーのように従順で、常に(飼い主じゃなくて)雇い主のことをいちばんに気にかける優しい男!
加えて料理も得意!
チャラ男なのにジェントルマンというギャップ萌えに読者は思わず破顔してしまうこと必至です☆
事故物件の霊を祓うというちょっとホラーの入った暗いテーマながら、彼の明るさで明るく照らされ、最初から最後まで楽しく読み進めることができます。
とは言いながら、随所で緊迫した場面もあり、この陰陽バディがどう難局を切り抜けるかも見ものです!
本当に面白いし、ストレスなく読める文章も魅力です!
文句なしの★3つです!!
事故物件専門の除霊師の女性主人公と、そのアシスタントの大学生のバディもの。しかも、超クールな主人公と超陽気な犬系男子の組み合わせだ。もちろん、ツッコミはいつも主人公の冷静なものとなる。主人公の家系も、大学生の家系も、それなりに除霊業界では名の知れたものだった。
さて、事故物件も様々な物がある。アパート、マンション、ラブホ、一軒家などなど。その場所によって、霊的な存在の在り方も、除霊の仕方も異なる。それぞれの事故物件にはそれぞれに見合った過去があり、念がある。それらを解き明かしていくことで、除霊の仕方を変える必要もある。この謎解き要素も、本作の魅力の一つだ。単純に除霊して終わりというわけではない、という事だ。
本作で主人公が繰り返す印象的な言葉がある。業<ごう/カルマ>と生業<ナリワイ/せいぎょう>という言葉だ。業を背負って、生業と成す。主人公の核には、いつもこの言葉があった。
果たして、主人公の業とは?
そして主人公の過去が明らかになった時、
主人公が抱えていた秘密も明らかになる。
キャラクター同士が、まさに引き立て合っていているが、ただのキャラクター小説ではない。ホラー要素もあり、それと同時に謎解きでもある。
本当に素晴らしい作品でした。
是非、是非、御一読下さい。
事故物件に取り憑いた霊専門の除霊師である無量弐千佳が、一見チャラそうな大学生の有瀬安吾をアシスタントにする場面から始まるこの作品。
日常でのかけ合いでは安吾の大型犬のような懐きっぷりに、クールな弐千佳のツッコミが楽しいです。
反面、事故物件の恐ろしさは本物。
人を害する悪霊は一筋縄ではいかず、二人も苦しみ傷つきながらの除霊には手に汗を握ります。
知識と経験、異能で謎を解き、陰の気を利用して祓う弐千佳。光の温かさで包み癒やし、陽の力を開花していく安吾。二人のコンビネーションで事故物件に淀む怪奇現象を祓っていきます。
行き場のない絶望、凄惨な悲哀、自分勝手な執念、最後には自らの辛い過去を乗り越えられたのも、二人揃っていたからこそ。
真逆だからこそ互いに足りないものを補え、長所を更に高められる、最高の二人の物語をオススメします。
物語に魂があるか論は、創作界隈に投げ込んだなら村が三、四つが燃えかねないほどの危ういテーマである。
まあ、今作にはすでにたくさんのレビューがあり、概要や面白さはそちらを読めばばっちりなのであえての視点から書きたい(面倒くさがっているわけではない、いや、本当)。すなわち、魂について2点。
まず、キャラクターが生きているか、魂が宿っているか問題。
これは問われたなら「え~と、登場人物に意思があって行動しているということかな~」ぐらいのぬるい回答しかできないが、良い作品を読んだならわかってしまうのだ、魂のあるなしが。
今作はコンビを組んだばかりの対照的な二人が、事故物件に泊まり込んで除霊をするエンタメドラマである。
主人公である女除霊師・弐千佳さんとアシスタントとして雇われたポジティブチャラ男有瀬くんのやりとりはユーモアに溢れている。
その過程で彼らの個性が浮き上がり、次を期待させ、けれどそれを少し上回る行動をさせる。だって、事故物件でごはん作る? すごく美味しそうな、何よりあったかそうな、ほこほこ湯気とふわふわ匂いが伝わってくる。有瀬くんごはん、シンプルだけど本当に美味しそう。作って。いやそうじゃなく、それだけじゃなくて。
会話だったり、ごはんだったり、ファミレスだったり、女の月一だったり、そんなありふれた生活の中に意思が宿っており、生きていると感じられるのだ。
もう一つ魂について。『魂の殺人』という言葉をご存知だろうか。個人的見解を言えば、このフレーズは良くも悪くも、である。(気になる方は検索を)。被害者の未来を殺す、という意味合いでは適当であると思う。
『MIU404』『アンナチュラル』脚本家・野木亜紀子氏のドラマで沖縄を舞台にした『フェンス』という作品がある。その中でやはり『魂の殺人』が取り上げられているのだが、「落とした魂〈マブイ〉は拾いに行かなくちゃ」というくだりがあった。魂を殺されたなら喪ってしまったなら、肉体的な傷が癒えても、何年経っても死んだまま。それは死んで霊となっても。
弐千佳さんはそんな死んでも死にきれない霊を浄める。彼女に言わせたなら仕事だからねとドライに返されそうだけど。そして物語終盤、彼女自身拾いに行く。自ら選んで、相棒と共に(個人的に、その境地に至るある意味覚悟の回〈幕間3 関わり合う〉が大好き)。
エンタメだけど、エンタメだからこそ伝わってくる魂のドラマ、どうぞ一読してほしい。
事故物件とはなにか、ご存じですか?
それは、事件や事故が起こった現場になった物件のことです。
不幸なことが起こった場所って、恨みを残した幽霊でも出そうで、なんだかこわいですよね。。。
この小説では、そんな事故物件でほんとうに心霊現象が起きます。
そして、その心霊現象を祓うのが霊的特殊清掃人である主人公の仕事です。
読めば分かりますが、霊的特殊清掃人の仕事は危険がいっぱい!だから、主人公は大学生の助手を雇うのですが……
クール主人公と明るい助手のコンビが、この二人じゃダメって思えるくらいの名コンビ!
怖い事件が起きるけど、主人公がいれば事件解決は間違いない。それに暗い事件を追っていても、助手の明るさにホッとできます(●´ω`●)
凸凹コンビに見える時もあるけど、実は相性ピッタリなんです☆
シリアスな展開と、ほのぼの展開のバランスが絶妙で、サクサク読み進められること間違いなし!
もちろん除霊のお話がメインストーリーなのですが、個人的には主人公たちの外食シーンを見るのが好きです☆
彼らの行く店がだれもが行ったことのあるポピュラーなお店ばかりで「次はどこにご飯を食べに行くのかな?」って、毎回楽しみだったりします( *´艸`)♪