独りより二人の方がずっと強くなれる

女と男、黒とアロハ柄、煙草と手料理、陰と陽。すべからく対照的な二人が織りなす除霊譚の数々。スリリングなエンターテインメントとしてはもちろんのこと、人間の闇とそれに対峙する姿を描くヒューマンドラマとしても素晴らしい仕上がりです。
事故物件を除霊していく過程で、主人公である弐千佳のまとった負の鎧が少しずつ脱がされていく様子が感じられます。それはとりもなおさず、大型犬のように無邪気なアシスタント有瀬の存在のなせるわざ。いったい何枚アロハシャツを持っているのかと思うチャラ男ですが、このキャラクターが作品全体に光を与えてくれています。彼の予想外の言動に最初は翻弄される弐千佳も、その規格外の明るさを本当は何より必要としていたのではないかと思いました。
孤独の中に自分を匿っていたような弐千佳が自分自身と対峙していく終盤は胸を揺さぶられます。独りで戦うよりも支えてくれる誰かがいる頼もしさとあたたかさを感じます。
重たい感情を扱いながらも強く前向きな読後感を与えてくれる素晴らしいドラマでした。

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