特殊清掃承ります

霊の憑いた曰く付きの事故物件を除霊し清める霊的特殊清掃人「無量 弐千佳」。
ドライでクール、美人だけどどこか近寄りがたい細タバコの似合うアラサー女子の元に、新たなアシスタントがやってきた。その名は「有瀬 安吾」。
なんと彼は、今まで出会ったことのないような、アロハの似合う底抜けに陽気なワン子系パリピ男子だった!ウェーイ!

どの清掃のお仕事に赴いても、そこに住み着いた霊はとんでもない負のパワーの権化。もちろん事故物件ってなぐらいだから無理もありません。大抵の人間は長く続くことなく現場を去っていくのですが、有瀬くんは一味違いました。その底なしの陽の力で見事に弐千佳さんの右腕をこなしていくのです。
最初はその軽いノリに戸惑いながらも、先輩として師匠として、有瀬くんを引っ張っていく弐千佳さんでしたが、気づけばいつしか有瀬くんの持つ不思議な陽の力に引っ張られていくのです。
しかし、それは弐千佳さんにとってとても必要なことでした。なぜなら、彼女には、いつか抜け出さなければならない暗い過去があったからなのです……。

まさに陰と陽、まるで違うふたりが織りなす連作短編形式のホラーミステリー。年の差男女コンビということで、ちょっと大人な恋愛テイストを予想しましたが、実は甘さ控えめのなかなか硬派なバディものです。これは師弟関係、男女の仲を越えたふたりの絆の物語。
さぁ、みなさん、除霊の準備はよろしいか。

その他のおすすめレビュー

三宅 蘭二朗さんの他のおすすめレビュー54