概要
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名古屋駅から名鉄あるいはJRで二駅。金山総合駅の程近く、とある雑居ビルの二階に、非現実の世界で起きた怪異事件を解決する探偵事務所がある。
そこで助手のバイトをしている男子大学生・服部 朔(はっとり はじめ)は、探偵・樹神 皓志郎(こだま こうしろう)のおつかいで、大須商店街の外れにある奇妙な骨董店『懐古堂』を訪れる。
幽霊(!)の女店主・カイコに気に入られた服部は、呪いのアイテムの念を祓う手伝いをすることになるが——
持ち主に災いを齎す、髪の伸びる市松人形。
「足らぬ、足らぬ」と声を発する壺。
人間の魂を誘い込む万華鏡。
果たされぬ想いを封じたブローチ。
加えて何やら、『懐古堂』
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!懐古しては人の想いを導く物語
前作に続いてこちらは物が導く怪異の物語です。
こちらでは大学生になった服部君の成長を感じることが出来ます。助手としてバイトしている探偵事務所、樹神先生のおつかいで骨董店、「懐古堂」を訪れます。
そこで新しく出会う人物が「カイコさん」です。
この方が本当に魅力的な人物で、登場人物同様、読者側もカイコさんの話術に惹き込まれてしまう程です。
残された物が導く物語はやはり切なく、悲しく、心に残る程に深いものです。
そしてこちらでもご飯、です。本当に美味しそうでいつか名古屋を訪れた時は食べたいと思いました。
その時に彼らを思い出すのだろうな、と思うと楽しみです。
読み終えた後、人が宿した想いの深…続きを読む - ★★★ Excellent!!!圧倒的に全方位に面白い!
なごや幻影奇想シリーズの一作です。
もちろん前作もありましてこちらも大変面白いです。
なごやで起こる怪異事件を探偵の『樹神さん』と助手の『服部くん』が解決してゆくというのが、本筋になります。
が、この物語の面白さは破格です。
二人のキャラクター持つちょっと特殊な能力が独特な事件を紐解いていきます。
この事件も本当に独特でその世界観が幻想的かつ抒情的に語られていきます。
そして今作においてはなにより新キャラクターの『カイコさん』が登場します。
このカイコさんがもう実にたまらない魅力にあふれています。古風な佇まいでありながらも、頭の中は現代的、主役二人との絡みも絶妙です。もうとにかく読んでい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!物に宿る魂の記憶を読み、大切な思い出を懐古するヒューマンドラマ
非現実的な怪異事件を専門に扱う探偵事務所で、助手を務めている男子大学生・服部朔は、雇い主の探偵・樹神皓志郎のおつかいで、骨董店『懐古堂』を訪れる。
すると、服部を出迎えてくれた女店主・カイコは、なんと幽霊だと判明する。
服部が「他者の感覚を受信する」異能・通称「エンパス」の力の持ち主だと知ったカイコは、『懐古堂』に持ち込まれる「呪いのアイテム」のお祓いを手伝ってくれないか、と服部に依頼する。
髪が伸び続ける市松人形に、謎の声を発し続ける古い壺など、『懐古堂』に持ち込まれるアイテムたちは、何らかの強い思念を宿している。それらの思念に異能を通して触れることで、物に宿った記憶と心を読み取り、強い思…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人も物も、想いがいっぱい溢れている。
また『樹神探偵事務所』の探偵樹神先生と助手服部少年が想いに応えてくれました!!
シリーズ物で他作品を以前読んでいたので、主人公服部少年を応援できるのが、まず嬉しく思いました。
可能性に満ちた若者が、悩みながらも成長していく姿は、王道ですがやはりどうしたって応援したくなるものです。
今回、新たに舞台に加わった不思議な骨董店『懐古堂』が名古屋の大須にあるのが、金山に怪異専門の探偵事務所があるのと同じくらい違和感がないです。
懐古堂の女店主(幽霊)のカイコさんも加わって、いわくつきの市松人形などの物に憑いた念を服部少年の能力共感応を使って、紐解いていきます。
無機質な物なのに、紐解かれていく念は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!"念"は"年"を経て、想いは重き憶となりて、軈ては浮世に共鳴する——。
名古屋を舞台とした、怪奇を解決していく探偵事務所のシリーズ待望の第3作!
ですが……ここからでもお読みいただけます。これを読んでから1作目を追うという読書体験もまた格別なものでしょう。
主人公は共感応を持つ大学生、服部 朔。
彼が助手としてバイトをする探偵事務所の探偵、樹神 皓志郎。
異能の調香師ので和装が似合う美女、百花さん。
シリーズ読者にはお馴染みのメンバーに、今回は新たに骨董店『懐古堂』の主人であり幽霊だというカイコさんが登場!
モノが歳月を経て念を持ち、様々な現象を呼び起こす。
それを解決していく服部くんと樹神先生の手腕や、怪奇が怪奇と成ったその由来の糸を解い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「僕」とモノと読者を繋ぐ、白い糸のエンゲージメント
読み終えて今、胸が一杯になっています。
主人公の服部朔君は、『無機物』の魂を自分に憑依させ、そこに刻まれた記憶に触れることができる「共感応」という能力を持っています。
無機物に魂とは、というと『付喪神』をご想像頂くと腑に落ちるかと思います。ものに宿った思いを読み取る――自らの心と重ねることで。
そうして読み取ることで、怪異を紐解き解決に導いていきます。
しかしモノに魂が宿る程の思いとは、往々にして人と関わる強い思念でもあります。お話は主人公・服部朔君の一人称視点ですので、憑依をさせたその思念のイメージは読者にとっても強い共感の念を引き起こし、物語に惹き込まれます。
章ごとに怪異のエピソ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!名古屋の骨董店を舞台にした、ちょっと不思議なヒューマンドラマ
名古屋は大須にある、ちょっと不思議な骨董店『懐古堂』。
髪の伸びる市松人形や声を発する壺、不思議な万華鏡……この店に集まってくる骨董品は、なにやら曰くつきのものばかり。
怪異事件を解決する探偵事務所の助手・服部少年は、雇い主の探偵・樹神先生と懐古堂の女店主・カイコさんとともに、曰くつきの骨董品が引き起こす事件に挑む!
あらすじのとおり、この物語は現実世界と地続きで、そのはざまに不思議なものが見え隠れする現代ファンタジー。
章ごとにキーとなる骨董品が出てきて、主人公はその品々に込められた念を紐解いていきます。
ほろっと切なく、ときにあたたかい…骨董品と人が織りなすヒューマンドラマは、涙なしに…続きを読む