"念"は"年"を経て、想いは重き憶となりて、軈ては浮世に共鳴する——。

 名古屋を舞台とした、怪奇を解決していく探偵事務所のシリーズ待望の第3作!
 ですが……ここからでもお読みいただけます。これを読んでから1作目を追うという読書体験もまた格別なものでしょう。

 主人公は共感応を持つ大学生、服部 朔。
 彼が助手としてバイトをする探偵事務所の探偵、樹神 皓志郎。
 異能の調香師ので和装が似合う美女、百花さん。

 シリーズ読者にはお馴染みのメンバーに、今回は新たに骨董店『懐古堂』の主人であり幽霊だというカイコさんが登場!

 モノが歳月を経て念を持ち、様々な現象を呼び起こす。
 それを解決していく服部くんと樹神先生の手腕や、怪奇が怪奇と成ったその由来の糸を解いていく様はお見事。少しずつ明かされていく物語に、読者は心を鷲掴みにされてしまうはず。

 そして名古屋飯の描写がまた逸脱なんです!
 様々な人間模様を描いたヒューマンドラマとしても十分面白いのに、読んでいて心も満たされ「このご飯食べたい……」と思ってしまうって凄くないですか。
 ああもうこの物語のページになりたい。端っこでもいい、どきどきハラハラと美味しそうなご飯のギャップがたまりません……!!

 服部くんの成長も凄いもので、第1作から追ってきたファンにとっては感涙もの。
 彼の優しい心が、骨董品店にやってくる数々のモノたちの心に触れていく。
 そしてやがては登場人物たちの過去の絡まった想いの糸にも触れ、解いてゆく事に。

 モノ、大切にしてますか?
 あんなに大切にしていたはずなのに、ふと何処かへやってしまった事ありませんか?
 もしかしたらアナタの憶(おもい)の宿ったモノも、此処に在るのかもしれません。

 ラストまで読んだ時に、アナタはこのタイトルの『真の意味』を知るはず——。
 是非とも覗いてみてください。

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