めぐりの星の迷い子たち

作者 陽澄すずめ

277

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★★★ Excellent!!!

 月へと人類は移住していくが、荒廃した地球にも残り住む人々がいる。荒れ果てた地球で一握りの希望を持つ人達。
 しかし、地球に残された彼らに奇病が襲う。蔓延する奇病。もはや地球には奇病を治す技術も薬も無い。そんな中、希望を求めて月へ旅立った男がいた。妻を想うからこその愛深き、無謀ともいえる行い。男の切なる願いが月での技術者の手によって、奇病対策の薬の素が開発される。
 過酷な地球環境。妻と家族を想う強い愛情。一握りの希望に賭けた行動力。旅立った父と、残された子供のすれ違う想い。それぞれの想いと現実に抗う強い意思。加速する奇病への焦燥感と食料事情。廻る運命の輪。切なく泣けるシーンも多いです。やがて、月から地球へ希望の種は送られる。希望のバトンは意外な事から絡み繋がっていく……。

 荒廃した地球が映像に浮かぶほどの卓越した描写の巧さ。愛とは?絆とは?絶望の中、希望を失わない意思の強さは生き様に現れる。登場人物の心の揺れも、ひしひしと伝わってきます。

 これは、地球に残された人々を救う為に行動を起こしたある男と、その男の希望のバトンパスの軌跡を追うSFを踏まえた壮大なヒューマン・ストーリー。
 とても面白かったです。

★★★ Excellent!!!

すごい作品です。
掛け値なしの感動が待っています。
それぞれ独立しているような、三人の主人公がおりなす三つの物語。
その単体だけでも十分に読み応えのあるドラマとストーリー性があります。
ですが、この三つが実に意外な形で絡み合っていくのです。

この構成が見事なのはもちろんですが、この発想が素晴らしい。
絡み合っていく三つの物語には、意外な仕掛けが施してあり、その展開には驚くばかりです。
やがて立ち現れるのは、時代の波に、過酷な環境に、立ち向かい生き抜いていこうとする人間の強さ。
それが三つ物語を貫いて鮮やかに浮かび上がってくるのです。

この物語がSF世界で展開されているのが、個性的であり、同時に作品のポイントとなっているのも見逃せません。
この設定だからこそ、この物語が紡がれたのだと分かります。
荒廃した地球のイメージ、月に築かれた未来都市、そんな対比がまた鮮やかです。

この作者さんの作品はいくつか読ませていただいておりますが、今作もまた素晴らしい作品でした。
とにかく読みやすい文章、光景が広がる美しい描写、血肉の通ったキャラクター、そして予想を上回っていくストーリー展開。
まさにどれを読んでもハズレなしのすごさです。

なかでもこの作品は人の強い意志、人と人とがつながっていく大切さ、そういったものが高らかに歌い上げられています。
近未来を舞台とした世界の描写、時折出てくる花畑の鮮やかなイメージ、などなども本当に素晴らしい。

まぁいろいろ書きましたが、とにかく読みやすくて面白い作品なのです。

ぜひ読んでみてください!

★★★ Excellent!!!

異なる場所で生まれ育った三人と、彼らに関わる者たちの視点で綴られる群像劇です。

読み始めてすぐ、心を鷲掴みにされました。
丁寧に描かれた情景は心地よく、それでいて、過酷な場面での揺さぶり方は半端ではありません。本当に、「巧い」の一言。
それは構成についても同じです。
時間経過、続きの気になるところでの場面転換、名前の意味の提示のしかた、などなど……。
あくまで自然に、そして着実に、読者の脳に刻み込むような書かれ方をしています。

物語は、荒れ果てた地球と、そこからの移住が完了した月が舞台です。
過酷な環境の中で生きる人々。彼らは不安や迷いを抱えながらも、日々「自分にできること」をして生きています。
そして、どうにも抗うことのできない運命を前にしたとき、人々は何をするのか。その姿に、想いに、何度も心をうたれました。

違う価値観を持った人が出会い、また、誰かの残した痕跡に触れる。
そうして繋がった想いは、奇跡のように素敵な結末を迎えます。

是非、皆さんにもこの感動を味わっていただきたいと思いました。
本当におすすめです。

★★★ Excellent!!!

荒れ果てた未来の地球。人類が月へ移住したあとも地上に残された棄民のような人びと。
最後の月行きの宇宙船に乗った男が、地球と月と、人びとの運命をつなぐ物語。
印象的な鈴の音、感情とリンクする風景、大自然の猛威。映像や音や匂い、感情があざやかに浮かびあがる文章が、心地よく物語の世界に引きこんでくれます。
文章にひかれて読んでいるうち、つぎつぎと繋がる人の思いとエピソード。この運命はこのさきどこへ連れてってくれるんだろうとどきどきする展開。繋がったエピソードは円環になって原点にもどって、またつぎへと旅だっていく。
さわやかな読後感でした。

巧みな物語構成に感嘆させられます。読者として純粋に堪能しましたが、同時に刺激にもなりました。
読む人にも書く人にもおすすめしたい作品です。

★★★ Excellent!!!

時間と場所を超えて人と人が出合い、想いが受け継がれていく。1つの出会いが意外な影響を与え、それがつながっていくことで世界に希望が見えてくる。良質なSF群像劇です。

登場人物たちの苦しみと愛がしっかりと描写されていて、読んでいて感情移入しちゃいます。

砂漠化した世界と、その中で希望となる植物。web小説では珍しい舞台設定も見事な雰囲気。

★★★ Excellent!!!

大半の人類が月への移住を済ませ、過酷な自然環境にわずかな居住者を残すのみとなった未来の惑星、地球。
そこでは疫病を患い死にゆく者が後を絶たず――生き延びるために、ある植物を開発し、育てることが命題として課されることに。
その植物を、登場人物たちがときに罪を犯し、ときに命を懸け、すがるような想いで人から人へと繋いでゆく。
植物に乗せられた、多くの人の願い。それが、目に見える効能よりもはるかに大きなギフトをもたらします。

作り込まれた見事な世界設定は、作者をご存知の方なら納得の一言。
けれど読者の心を一番大きく揺さぶるのは、設定ではなく、そこに生きる純朴で真っすぐで一生懸命な、愛すべきキャラクターたちの生きざまです。
さまざまなキャラクターに焦点があてられ、それぞれの目線を通して物語は進んでいきます。
そのすべてが、時を超え惑星を越えて、大きな一つの環となって繋がったとき。
待っているのは、筆舌に尽くしがたい大きな感動です。

途中、何度も涙し、自分の心臓がおかしくなるかと思いました。
外出先で読まれる方は、要注意です。

文句なしに、私の大好きな作品となりました。
美しい宇宙、広大な砂漠、大地を轟かす噴火。
ナギやトワ、サクやミカたちの生き生きとした感情、表情。
大スクリーンで映画として観られたら、どんなに幸せかと思います。
その感動を、小説でも味わうことができるのです。
是非、映画のような大きな感動を、この作品を通して味わってみてください。

★★★ Excellent!!!

地球を見限り月へと移住した人々。荒廃した土地で懸命に生きる人々。
環境と運命とに翻弄されながらも、自身の役割を見つけ強く逞しく生きていく姿を描いた群像劇。

いくつもの人間の波乱万丈な人生。
それらは決して点ではなく……強い絆で紡がれている。

SFでありながら、古典的な風習も感じさせる絶妙な世界観が、未来でありながらとても良い塩梅で懐かしさを添えています。

すべての登場人物、それぞれの抱える問題が、場所を変え、時代を超え、途絶えることなく続いていく様子が、じわじわと深い希望を与えてくれました。

時にどうにも超えられない壁にぶつかり挫けそうになりながらも、かすかな光明を見出していく「人」の姿に何度も何度も感動しました。

映画で見たいと思うほど素敵なSF群像劇でした。

★★★ Excellent!!!

一般書籍を含めても、これが一番でした!


泣ける箇所多数。

意外な展開の数々。SFならではの設定の数々。
見せ方がうまいですね。

文章が上手いので、目に浮かぶ情景。初めて見た地球の風景とかいいですね。

ヒューマンドラマとしても、見所がいっぱいありました。

交差する物語が交わった時の感動。また読みたくなります


★★★ Excellent!!!

荒廃した地球と、月に建造されたコロニーで生きる人々の群像劇。
主な舞台となる地球は緩やかな衰退への道を辿っており、どこか風の谷のナウシカを彷彿とさせるような世界観。腐海の森へ帰る王蟲はいないけど、人の身体を腐らせる小っちゃい虫が存在したりしています。

この作品が見事なのは、なによりもまず、作中の情報を明かしていく匙加減が抜群に上手い所。

SF小説って、どうしてもその作品独自の特殊な世界構造や、そこに存在する文化体系などの説明が長くなりがちです。まあ、「重厚な世界観あってこそのSFだ!」って方もいらっしゃるし、ぶっちゃけそこは好みの問題なんですが、「SFって重いよなぁ……」と感じて、敬遠する人もまたいるわけで……。

しかし、この「めぐりの星の迷い子たち」は、読んでいてそういった重さを全然感じさせません。
もちろん、地球が荒廃していった理由を仄めかす描写や、地球における生活の様子、月コロニー社会の説明などはちゃんとあるんです。
でもそれらが決して押しつけがましくなく、作中各所に極めてバランスよく配置されているから、文章自体はスイスイ読みやすいのに、「ああ、ここはこういう世界なんだなぁ」というのが、自然に頭に入ってくるんです。

こいつはただ事じゃありませんよ。気付いたら、「ルリヨモギギク」という単語も、スルっと頭の中に棲みついているんですもの。スピードラーニングもびっくりの記憶定着率ですよ、これは。

そしてもう一つ特筆すべきは、時系列の散りばめ方の巧みさ。

この作品は、登場キャラクターの一人称視点が切り替わって物語の場面が転換していきますが、この切り替わりによって、作中時間の流れも前後しています。

普通なら頭がこんがらがってしまいますが、そこもまた、作者さまの絶妙な匙加減と舌ざわり(?)によって、上手い具合に調理が為されており、むしろその時系列の変化を利用して、物… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

希望がある物語です。

月へ移住した人と、荒廃した地球に住む人。

還りたいと願うのは、そこで待ってる人に逢いたいから。助けたいから。生きて、愛し合いたいから。

終末世界の過酷な環境でも、新たな命は産まれて、強い遺志は引き継がれ、人と人を繋げていきます。

素晴らしい作品です!

★★★ Excellent!!!

新天地となる月コロニーに移住した人々、そして荒廃した地球に残された人々、その二つを舞台に「人の想い」が描かれたSF物語。

もうね、泣きました。そして、微笑みました。何度も何度も泣き笑いしましたとも!

群像劇と称したように主人公が変わるのですが、彼らの想いが繋がるたびにチリッと火が付いたみたいに感動が生まれて、全身に燃え広がって熱いものに満たされていく……うまく言えないけれど、そんな感じです。

またSFというと難しそうだとか取っ付きにくいといったイメージがあるかもしれませんが、その心配は一切なし。

するりと染み込むように入ってくる軽やかな文体で、まるで映像で見ているかの如くシーンがイメージできてしまう!

砂漠の場面では熱と砂塵に乾いた殺伐とした空気を、火山近郊の場面では薄暗い中に灰落ちる重苦しい空気を、月が舞台の場面では清浄ながらどこか閉塞感のある空気をと、行ったことも経験したこともない場所なのに目から入った文字が肌に臨場感として伝わってきます。

迷っても、繋いだ手は離さない。
離れても、紡いだ想いだけは手放さない。

そんな彼らの想いの種が芽吹くその瞬間に出会える喜びを、是非皆様にも感じていただきたいです!

★★★ Excellent!!!

舞台は、月と地球です。

賓(まれびと)がなせる世界と心の神との世界がうごめきます。

人を巡り、ある病とルリヨモギギクを巡り、運命は回ります。

愛した人と離れてしまったら、人はどうなるのでしょうか。

深い洞察のもと、愛と哀しみと喜びが描かれております。

ふるさとについても考えさせられました。

きっと誰もがある郷里は、遠く想い人のいる所でしょうか。

それとも、今の愛する人がいる所でしょうか。

例え、暮らす所が荒れ果てていても、きっと心に愛があるはずです。

月と地球、あなたは、どちらに心を寄せますか。

構成力がずば抜けていると思います。

サブタイトルの文字数にも拘りを感じます。

読みやすい文体です。

感動が欲しいときに、ぜひ、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

人間が、高度な文明と引き換えに、母なる大地を破壊した未来の物語。

荒廃した地球を捨て、月へ移住した人々。
捨てられた地球に残り、過酷な環境や不治の病に命を削られる人々。
どちらに生きる人間も、運命の潮流に逆らうことができない、とても儚くて小さな存在です。

この物語の登場人物たちはそんなちっぽけな存在であり、しかも自分の生きる意味を見つけられずにいる人たちです。
住む場所も、年齢も、生い立ちも全く共通するところのないナギ、トワ、サク。
けれども、ジンという人物の抱く強い思いがトワを動かし、ナギに届き、サクに受け継がれます。

一人ひとりの生命は儚く、運命に抗う力もなく、いつ切れるとも知れない糸のようにか細いもの。
けれど、その糸は人の思いによって強くなり、誰かと繋がることができ、思いを伝えていくことができる。

過酷な運命に翻弄される試練、それを乗り越えていく思いの強さ、未来へとつながっていく希望。
それらが随所に散りばめられつつ、最後には一つの物語として美しく紡がれていく過程で、何度も胸が熱くなります。

この物語に登場するルリヨモギギクの花のように、大地に懸命に根を張って生きる人間の弱さと逞しさがとても愛おしく思える、心に沁み入る素晴らしい作品です。

★★★ Excellent!!!


 荒廃した地球を捨てて、人類は月のコロニーへ移住してしまった未来。瓦礫の山と砂漠の海となった地球には、しかし、いまだ取り残された人々が生活していた。

 作物は育たず、飲み水に苦労し、謎の死病が蔓延する末期の地球。彼らは、科学を失い、原始的な文明に帰し、神に祈りを捧げて生活していた。

 そんな地球を主な舞台とした物語。全5章からなる長編を複数の主人公たちの視点から語らせる壮大な抒情詩である。

 父に裏切られた半陰陽の少年。月のコロニーから追放された科学者。村から疎まれつつ薬草を育てる少女。

 彼らを中心に、荒廃した地球と、管理社会である月を舞台に、人と人との繋がりとは何であるのか?を、青く美しい一抹の花をキーワードに丁寧に紡いでゆく物語。

 時としてすれ違い、時として運命に導かれ、出会い、別れ、そして惹かれ合って行く人々。回を追うごと、彼らの気持ちに強く同感し、美しい文章に誘われ、気づくといつしか、この荒廃した地球が、いや荒廃した地球であったとしても、愛する人々が暮らすのであれば、そこは得難い自分たちの故郷であると気づかされる。


 とにかく小説としての完成度がすごい。
 魅力的なキャラクターと、練り込まれたプロット。ちりばめられた伏線と、胸を打つ台詞、そして宝石のような文章。

 空を巡る星の中には、惑うように時として逆行するものもある。が、彼らはわれわれと同じく、長大な円を描いて太陽の周りを巡るひとつの家族なのである。

 最初、しずかに語り始められる物語は、やがて満天の星空から突き刺さるように落ちてくる流星となってあなたの心を撃ち抜き、何度も何度も感動の涙を流させるだろう。

 本作は小説としての完成度も高い。読めば何度も泣ける。だが、それ以上に、『こんな物語を読みたい』と、そう思う人が、今この世界にはたくさんいるのではないだろうか?


 荒廃した地球… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

人類は月コロニーに移住し、地球は見捨てられた状況
それでもそこに生きるものたち
しかし、疫病は容赦なく、彼らを襲う

この状況を覆すのは、運命に導かれた三人


疫病と戦う
 決意……トワ

   つなぐ
     想い……ナギ

 未来へと受け継がれる
  希望……サク


人はひとりではなく、想いは受け継がれる。
そしていつしか、種は咲かせる、愛の花を。

これは、人の絆の物語です。

★★★ Excellent!!!

荒廃した地球で、ただ今日を生きるために生きている人々が大半な中で、出逢い、変わり、成長していく人々の物語です。

もう、途中から涙が止まらなくなります。

壮大なスケールの世界観と見事な構成、流麗な文章……。
この物語の素晴らしさを語るには、語彙力が足りません……(><)

なので、一言。

本当にオススメです! ぜひぜひお読みくださいっ!!

★★★ Excellent!!!

荒廃した世界の雰囲気だったり、僅かな望みにかける想いなど、感傷的でドラマチック。またそこに人々が生きている息づかいを感じます。
そして明かされていく真実に引き込まれます。
まだ読み途中ですがすごく面白いし、とても好みです。
少しずつ味わうように読んでいます。

★★★ Excellent!!!

もはや滅んだと言って良いだろう。
荒れ果てた地球に生きる、僅かな人々。
恐るべきは、病魔と、荒ぶる自然。それから、忌まわしい記憶。

向かう方向も、頼る風も見つからない少年ナギは、旅立ちを決める。それはなにをも救わない、無力からの逃亡。
世界と人と、自分自身の意味を問い始めたナギの目に、やがて真実が映る。

死と隣り合わせの世界で、複雑に絡み合う巡り合わせ。すべてを紐解いたとき、彼は世界の形を知る。

★★★ Excellent!!!

これは近くて遠い未来の話。
舞台は、荒廃しごくわずかな人間しか住んでいない地球と、人々が移住し豊かに暮らしている月のコロニーのふたつ。

舞台設定こそSF要素が強い作品ですが、物語の根底にあるテーマは「巡り」や「環」であり、そして「愛」であり、人と人との繋がりを主軸にした作品だと感じました。

地球と月、それぞれ異なる環境下で、様々な登場人物が苦悩し、葛藤し、恐怖に怯え、愛を感じ、やがてまた次の誰かに愛を渡す。
そんな「巡り」がいくつも描かれています。
まるで自転と公転を繰り返す地球、そしてその周りを回る月のように、くるくる、くるくるとそれぞれが穏やかに繰り返し回る。
だけどそれはやがて循環し、繋がり、そして愛になっていく。

暗く先の見えない終末世界の中で懸命に生きる人々の希望に満ちた物語です!

ほんとうに素敵な作品です♪
おすすめ!

★★★ Excellent!!!

まず最初のナギ編では、自分の暮らす街しか知らない少年がとある事情で街を出ることになり、広い世界を見て人間としての視野が広がっていく様子がとても鮮やかに描かれていました。
以降のトワ編、サク編、ミカ編にも言えることで、
人との出逢いはその人の世界を広げて運命を動かしていくのだということが、読んでいて常に実感しました。

過酷な環境でも強く生きている人たちの描き方も上手いですね。
安全で便利な国に生きている私たちに真の「生きる」姿を見せると共に、恵まれた環境の中で生活できることに感謝しないといけないなと思う程でした。

そして作品のタイトルにもある「めぐり」
登場人物たちが運命に翻弄され、求めた幸せが手に入らなかったり、引き離されたりしながらも、自分ができることをすることで、物や物語が見事に循環して最後に一つに繋がる構成力はお見事!
作者様の描きたい世界と、読者に伝えたいメッセージがしっかり表現されていた素晴らしい作品だと思います。
ぜひ一度手に取ってみてください!

★★★ Excellent!!!

荒廃した地球を見限り、月のコロニーへ移り住んだ人類。その中で、なおも地球に残る事を選んだ人達。この話は、世界がそんな風に形を変えた、遠い未来の話。
ですがこの話の本質は、人と人との繋がりと言う不変的なものではないかと思います。

ある少年は家族を捨てた父を憎み、コロニーのある青年は地球の事には関心を持たず、ある親子は周りに壁があるかのような孤独な暮らしを強いられています。
ですがある出会いをきっかけに、そのどれもが少しずつ変わっていきます。誰かと出会う事で相手を変え、自分が変わりる。そしてそんな変化は、やがて巡り巡って大きな奇跡を生み出していきます。
どんなに時が流れ世の中が変わったとしても、人と人との繋がりはいつも新しい何かを作っていく。そんな風に思えるお話でした。

はるか遠い未来で、人々の出会いが起こした奇跡を見届けてみませんか。

★★★ Excellent!!!

多くの方が、素敵なレビューを書き込まれているなか、この作品について私から申し上げたいことと言えば。

たくさんの人が関わり続けることで、どんなに行き詰まった環境であろうとも、新たな道が見えてくるということを、この作品は教えてくれます。
様々な登場人物の行動は、見当違いだったり空回りしたりすることもありますが、途中で触れ合った人々に何らかの影響を与えずにはいられません。そしてどんなにか遠回りしながら、やがて自らに還ってくる。
全ては巡り巡って繋がっているのだという、そんな訴えが伝わってくるようです。

文章も丁寧で読みやすい上に、そこに描かれるイメージがふわっと頭のなかに浮かび上がって、あっという間に読み進めることが出来ました。

こんな素敵なお話に出会わせてくれた作者に感謝すると共に、是非いろんな方に読んでもらいたい。そう思える作品です。

★★★ Excellent!!!

荒廃した地球に残された人々と、月に移住した人々の織り成すSF 群像劇。
荒れ果てた地球では、病魔が人々を苦しめ、過酷な状況での生活を余儀なくされています。
しかしそんな辛い状況の中で、足掻き続ける人達がいます。ある者は薬を求めて月へ行き、ある者は感染を防ぐための研究をして、状況を打破しようと、皆必死になっているのです。そうして様々な人達の想いが重なりあって、やがて大きな奇跡を生んでいく。
登場人物が非常に魅力的な作品。自分はSF は普段あまり読まないのですが、これにはハマりました。

★★★ Excellent!!!

主要となる登場人物は複数です。
彼らが入れ替わり立ち替わり中心となって話は進んでいきます。
しかし、丁寧に心情や環境が説明されているので混乱することは全くありません。
これらの主要人物たちは苦難の中にありますが、決してあきらめません。
希望を捨てずにあがき続けます。
そして、ラスト。
パズルのピースが全てハマったような気持ちよさが味わえます。
人間ってすばらしいなあ、と思わせるSF作品でした。

★★★ Excellent!!!

これは荒廃した地球を主な舞台としたSF群像劇です。

この物語の地球は、人類が生活するために不適切な土地と成り果てています。自然の恵みは壊滅し、文明は瓦礫となれ果て、砂漠と砂埃と火山灰の中に覆われ、ヒルコ症と呼ばれる伝染病がはびこっています。

こうなった直截的な原因は何なのか、原子力発電所が大爆発を起こしたためなのか、それともそれ以外の原因が折り重なったためなのか――。ともかくも、人類は地球を棄てて月へと移住しました。しかし、移住のための最後の宇宙船が出て十年――地球には、まだまだ取り残された人々が生活していました。

棄てられた大地、棄てられた人々。もはや猛威でしかない自然と伝染病とに身をやつしつつも、人々は静かに終わりへと向かっています。

そんな物語の主人公の一人は、ナギと呼ばれる半陰陽の少年です。彼は、双子の妹であり同じく半陰陽であるナミと共に、共同体の特別な存在として祀り上げられ、『神の化身』と呼ばれています。ただし、それは絶望的な生活を強いられた人々が創り出した根拠のない迷信でもあります。ナギ自身は、祀り上げられることに空虚感を抱いており、それどころか、自分は誰よりも役に立たない存在ではないかと非常に強い劣等感を抱いています。

しかし勘のいい人ならばすぐに気づくでしょう――ナギ・ナミ・ヒルコなどという言葉が、日本の創世神話に出てくる固有名詞を元にしていると。

これは、終わりの中に息吹く始まりの物語なのです。

絶望的な大地と激しい劣等感に囚われたナギ――しかしあるとき、ふとしたきっかけから、行商人であるコウの旅へついてゆくこととなります。そしてその旅の途中で見つけたものは、ある人物が残した熱い「思い」でもありました。

この「思い」を一つの大きな軸として、物語は大きく動いてゆきます。

それが一体何であるのかは、ここで書くことは憚られます。しかしそれは、… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

高度に発展した月と、捨て置かれるようにして荒廃した地球。
その二つの星をめぐるSF群像劇です。

地球で生まれ育った子どもであるナギ、サク、サクの親であり村人たちから一線引かれていたミカ、対して月で生まれ育ったトワ。
彼らの視点を軸にして語られる物語は、一人一人の立場や心情をしっかりと描きつつ、現在と過去を往き来し、縁を複雑にしながらやがて未来へと向いていきます。

ある場所で、ある時間で種を蒔かれた縁は、たとえ離れ離れになっても時を経て芽を吹き、やがて巡って「希望」として結実します。

「めぐり星の迷い子たち」。そのタイトルの意味を、読みながら識るでしょう。そして迷い子たちが迷いながらも歩き続ける姿に、明るい未来を願わずにはいられません。

★★★ Excellent!!!

荒廃した地球。蔓延する病。色んな理不尽に遭いながらも懸命に生きる人それぞれの生き様に胸を打たれました。

この物語はSF群像劇で、複数の視点で彩られていくのですが、その構成が本当に見事です。
読み進めていくうちに、どんどん引き込まれていきます。
そしてそれぞれのキャラクターに感情移入してしまうのです。

ぜひ読んでみてください。
とってもおススメです。

★★★ Excellent!!!

荒廃に瀕した世界に生きる人々を描く、非常に良質なSF群像劇です。
滅びを臨む大地にあって世界の在り方に翻弄される少年少女、過酷で理不尽な運命に抗う大人たち、それらを結びつけてゆくのは「希望の種」。

植物についての知識を織り交ぜつつ丁寧に構築された世界観は、「病」「砂漠」「電波塔」「火山」などがめぐりゆき、重なり合い、彩られています。
そうやって鮮やかに描きだされた物語世界をゆきめぐるのは、どこまでも等身大な人間たち。生々しくあたたかみのある人間模様は、読んでいるこちら側の胸をも締めつけて先へ先へと心を誘います。

すれ違い、ままならず、それでも進みゆく大人たちの願いはやがて、子供たちの——……と、詳細はぜひ本編にて見届けてください。

★★★ Excellent!!!

今よりももっと未来。擦り切れた世界で懸命に生きる人々の群像劇。
苛酷な自然環境、限られた資源の中を必死に生きる人たちを、ヒルコ症という無慈悲な病から救うために、あらゆる人たちが人生をかける。

いやぁ、「エモい」ってこういうことを言うんちゃう?
もう何回もバスルームに駆け込んで、シャワーで涙を誤魔化したもんね。
確かに登場人物たちが苛酷な運命に翻弄される様を見ると、思わず涙が溢れそうにはなるんですけど、ぼくが涙を流した理由は違うんですよね。

この作品に出会えた喜び?

それなんですよね。
まだ物語は完結前なんですけど、これ、物語が最高の形で終わったなら、自分の涙腺とかどうなってしまうのかと思って、すでに南アルプスの天然水を2リットルのペットボトル6本入りの箱で用意してます。

★★★ Excellent!!!

 荒廃した地球と、人類の移住が行われた月の間で、結ばれる絆と希望の群像劇。
 話が始まるのは、退廃した地球の男女の子供からだ。神代の名を冠した二人の子供は、地球に残された人々にとって、まさしく神のような役割を果たしていた。そう、この砂だらけの地球で、二人の子供は人々の、希望だった。しかし二人の母親は亡くなり、父親は月へ移住してしまっていた。男の子は父を恨んでいた。そして二人の子供の母親が亡くなる原因となった病が、地球の人々を蝕んでいった。その病に薬は存在しなかった。
 物語は月に移される。月に移住した人々は地球のことを、罪人の流刑地として認識していた。そんな中、若き植物学者の青年と、二人の子供の父親が出会う。そして地球の流行病の薬となる花が見つかる。二人の子供の父親は、流刑になることで、その花の種子を地球に持ち込もうとしていたのだ。これに協力した青年とその恋人は、それを見送る。それは月から託された希望の種子だった。
 しかし青年は、このことで罪に問われることとなる。そして恋人と悲しい別れを迎え地球に降り立つのだが……。
 壮大なスケールで絶望的な病と人間を戦わせながら、ちゃんと希望が残るように組まれていることが分かる。群像劇であるため、地球の過酷さを見せられると、判官贔屓したくなるし、月のお偉いさんは敵に見える。しかしそう言った単純な二項対立ではなく、月側にも地球のために動く人がいて、そちらの視点に立てば、月側にも声援を送りたくなる。そして、視点となるキャラクターたちが必死になって残そうとする希望を見届けたくなる。
 
 希望の種子が、地球で花を咲かせ、人々に届きますように――。

 心をわしづかみにされる作品。
 壮大ながら、分かりにくさはゼロで、むしろ読みやすい。
  
 是非、ご一読ください!

★★★ Excellent!!!

20XX年。人類は荒廃した地球を捨て、月コロニーへの移住を完了している。

しかし、地球に残る人々もいた。彼らを襲う自然の猛威、病と乾き。文明が崩壊した地球で、人々は神に祈る。その希望の象徴とも言えるのが、主人公の少年ナギだ。

ナギは「神の使い」であるという自らの役割に悩みながら大人になっていく。

一方、月コロニーは神なき世界。最適化されたプラントで培養される動物や植物。遺伝子操作された「デザイナーズ・ベイビー」と呼ばれる子供たち。そこで生まれ育ち、罪人として地球(月の民の流刑地になっている)に送られることとなった青年トワ。

彼はあるものを地球に持ち込んだ。人類の希望となるかも知れない「種」を——。

この作者さんは、思い描いた世界観を文章で表現することにおいて、カクヨムでも屈指の人ではないかと思います。自然に支配されながらも、所々に文明の残骸がある地球。砂嵐の場面では、視界が閉ざされていく映像が目に浮かぶよう。月で生まれた人間が初めて地球に降り立つ場面では、その未知なる身体感覚を疑似体験できるようでした。

家族の物語としても二転三転、王道を行きながらも飽きさせない工夫があります。

神とテクノロジーが分離された2つの世界が再び交わるとき、何が起こるのか?

今から結末がとても楽しみな作品です。

★★★ Excellent!!!

荒廃した地球にはそれでも命が細々と生き延びていて、文字通り生きるために生きている人々の姿を描く筆者さまの筆致は綺麗で残酷でしかしどこか温もりを感じます。
登場人物の心情の開示が秀逸で、優しいだけでなく汚い部分も繊細に表現されていて、読んでいて「あ、人が居る」と何度も思いました。
時系列の追い方も上手く、ここがああなって。おーここに繋がるのか。ほうそれで…なんと…!?ふぁ!?と手のひらでころころされながら読み進めるのが楽しいです。
そして章の区切り方が悪魔的…早く続きくださいお願いしますなんでもします(なんでもするとは言っていない

★★★ Excellent!!!

終わってしまった地球、その中で一日一日を必死に生きる人々。
けれど地球からコロニーへ逃れた人々も統治社会の中。そんな鬱屈した世界からこの物語は始まります。
疫病や餓えが常につきまとう地球。娯楽のない極限状態で人々が頼るものといえば「神の化身」「植物の生長」「家族の帰宅」など、とてもささやかなものばかり。
けれど、そこに読み耽ってしまうのは荒廃した世界のリアリティであったり、嫉妬や恐怖、そして読み手である私たちにも理解できる悩みであることが、とても大きいからだと考えます。現代だって決して生きやすいワケじゃありませんからね……(苦笑

そして物語の進行も意外なところから、意外なものが降ってきたりと、決して飽きさせない展開がなんともニクい!
これは作者すずめさんの持ち味ですね。展開を読みきってやる、と言う挑戦心から読んでみるのも面白いかもしれませんね?

個人的には2章という少ない枠組みでトワの人間らしさが綿密に書かれていて、とても胸に来ました。
けれど、その後の展開では……おっと、続きは本文で読んでくださいね?(笑

★★★ Excellent!!!

誰もが未来に希望を持ちたい。
しかし、この作品世界では、基本的に未来への希望はない。
そんな世界でも、人はささやかな幸せを求めて、小さくても希望を持とうとする。

周囲がそのような状況で、登場人物たちは疑いつつも前に進もうと努力している。
良くも悪くもみんなが順応している悲しい現状に立ち向かおうとしている。

そこに人の強さを感じさせられる。

もちろん、辛い現状に順応していることは、人の弱さでもあり強さでもある。
大勢は日々を生きることに懸命なのだから、新たな何かを切り開けないとしても弱いとは言い切れない。
環境に順応し耐えて生きていくことは強さでもあるのだ。

だが、今のままなら決して希望は持てない。
だから、その先は?

登場人物たちはそれぞれ「その先」に向けてあがいている。
それは現状に耐えられない弱さでもあり、希望を掴もうとする強さでもある。

この作品ではいつも人の弱さと強さの双方を突きつけられる。

そこが人間らしさを感じさせるところでもあり、この作品の魅力だろう。

最終章が近づいている。
結末をドキドキしながら待つとしよう。

★★★ Excellent!!!

本作品には非常に素晴らしいレビューがすでに沢山寄せられていますので、私は少し違った観点から書かせて頂きます。少し風変わりなレビューになってしまうかもしれませんが、どうかご容赦を。

私は基本的に作家読みをする人間なので、カクヨムに掲載されている陽澄すずめさんの他の作品も大方拝読させて頂いております。その中に『楽園の子どもたち』という印象的な作品がありまして、本作『めぐりの星の迷い子たち』は、そちらの作品の良い部分をさらに突き詰めた、陽澄すずめ作品の進化系という認識で拝読させてもらっています。

語り手を巧みに変えての精緻な心理描写と、それらが齎す叙述トリック。あるいは構築ギミックとでも呼ぶべき計算し尽くされた展開。両作品に共通する魅力はやはりこの点であると思いますし、時に大胆不敵に読者を裏切っていく小悪魔的な構成は、おそらく作者様の人間性を如実に表したものなのではないかと思います。

非難を恐れずに申し上げるならば、怖いくらいに女性的なのです。

科学的な根拠や正否を重んじ、破綻の無いロジックを組み上げることに注力したSF作品が多い中で、陽澄すずめさんはあくまでも【人間を描くこと】に重きを置いたSF作品を紡がれる作者さんなのだと感じていました。またその感覚は、本作を読み進めていく内に揺るがない確信へと変わったのです。

作者様にとって、SFというジャンルは人間を描くための剣なのではないでしょうか。科学という剣が時に倫理を揺るがすように、作者様はSF作品を描いて「人間とは何か」を問いかけてきます。

そして多くの方が、その切っ先の鋭さと美しさに魅入られているのです。

★★★ Excellent!!!

どんな嫌な世界でも、人は生きていかないといけねえ! しかしそうは分かっていても、人間はつらいことや苦しいことがどちゃくそやってきやがる! でも、それでも顔をあげていくのが人間ってものよ! 俺はこんな思いをこの物語から強く感じた! そう思わせるくらい、登場人物それぞれにいろんな苦難が立ちはだかってくる! 詳しい内容はネタバレだから言えねえが、それでも色んな手助けや自分なりに努力して解決していく! つまり! ここにいるのは人間! それも人間臭いながらも、カッコよく生きている人間がいるんだ! すげえ! の一言だ!

失礼しました。
上でも言いましたが、この作品はそんな人間がよく書かれています。その中でも一番感動したのは4-6です。私は書籍にせよ、ネット小説にせよ、少しは小説というものを読んできたつもりでした。しかしこれが、このシーンがここまで綿密に書かれたのは初めて見ました。とても感動しました。その内容は一言ではどうしても言い表せないので、是非とも皆さまの目で見てほしいです。

★★★ Excellent!!!

とても読みやすい作品ですが、内容の濃さはすごいです。

現在、第四章が佳境を迎えています。
SFでありながら、アポカリプス後の生活が細かく描かれ、すごくリアル。
そして登場人物の心理描写が見事で、心にぐっと迫ってくるのです。
情景描写も素晴らしいです。主人公の見ている風景が目に浮かぶようです。

カクヨムコン参加作品です。
私は今回、完結するまでレビューは書かないようにしようと思っているのですが、こちらすでに十一万字を越えており、また、大変良質な作品なので、是非多くの読者さんにリアルタイムで追いかけて欲しいなと、今レビューすることにしました。

読みやすさと質の高さを両立させている稀有な作品です。

★★★ Excellent!!!

第1章読了時のレビューです。

朽ちかけた世界に、半陰陽の双子。砂漠に浮かぶ『希望の塔』。
この世界観にまずは引き込まれたのですが、さらにこの密な下地の上に、繊細な人間ドラマがずしりとずしりと重なっていくものだから、第1章にして涙が抑えられませんでした。
たまらん。たまらんです。

★★★ Excellent!!!

砂漠の国で生きる少年ナギ。
月から地球に追放された男性トワ。
薬剤師として地球で暮らす少女サク。
そして彼らを繋ぐ、地球から月へと渡った一人の男性。

異なる時代の異なる登場人物が少しずつ繋がっていく。物語のつなぎ方がとても上手い。読み進めていくにつれて明らかになっていく内容。章によって時代や主な登場人物が異なるのに、全く違和感がない。
それぞれが異なる想いを抱え、荒廃した未来の地球で確かに生きている。彼らの想いが一つになった時、どんな奇跡が起きるのか。
是非結末まで見届けたい一作です。

★★★ Excellent!!!

環境が過酷な世界だから生きにくい、不幸ってわけじゃない。

環境が整っている世界だから生きやすい、幸せってわけじゃない。

人と人との繋がりが、誰かを想う気持ちが生きる力に、そして幸せに繋がっているのだと、そしてそれは身近にあるんだと感じさせてくれるお話です。

★★★ Excellent!!!

『道』

 この物語を一言で言うならそんな言葉が相応しいような気がします。
登場人物たちは荒涼とした大地で、父の背中、あるいは明日や未来といった
希望の道を求め旅にでます。

 ストーリーもSFという形ではありますが、親と子、兄と妹、友、そういった人々の関わりや想い、そして成長を丁寧に描いる。いわば王道とも言える物語です。

 
 小学校の時に図書室で初めて読んだ世界名作全集のワクワク感。あるいは布団を被りながら読み耽ったSF小説。そんな事を思い起こさせる群像物語、オススメです。