打ち捨てられた地球と月とをつなぐ運命の糸。心地よい文章と巧みな物語構成

荒れ果てた未来の地球。人類が月へ移住したあとも地上に残された棄民のような人びと。
最後の月行きの宇宙船に乗った男が、地球と月と、人びとの運命をつなぐ物語。
印象的な鈴の音、感情とリンクする風景、大自然の猛威。映像や音や匂い、感情があざやかに浮かびあがる文章が、心地よく物語の世界に引きこんでくれます。
文章にひかれて読んでいるうち、つぎつぎと繋がる人の思いとエピソード。この運命はこのさきどこへ連れてってくれるんだろうとどきどきする展開。繋がったエピソードは円環になって原点にもどって、またつぎへと旅だっていく。
さわやかな読後感でした。

巧みな物語構成に感嘆させられます。読者として純粋に堪能しましたが、同時に刺激にもなりました。
読む人にも書く人にもおすすめしたい作品です。

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