物に宿った心残りはきっと……

強い共感覚<エンパス>を持つ、大学生の朔は怪奇事件を扱う探偵の樹神皓志朗の助手をしている。皓志朗のおつかいで朔は、「懐古堂」という店を訪ねるが、そこで出会ったのは店主である幽霊のような存在、カイコだった。カイコが扱うのは、呪いや念がこもってしまった骨董品や美術品たちであり、彼女はとある理由から朔と皓志朗に呪いや念の浄化の協力を依頼するようになる。持ち主が不幸になる市松人形、声を出す茶壺、封印されていた万華鏡……。
同業の調香師、百花の協力も得ながら、朔たちは呪いや念が宿ってしまった物たちの浄化に挑んでいく……。

名古屋と怪奇現象、ときどきグルメな連作現代ファンタジーシリーズ第2作。

物に宿ってしまった呪いや念と向き合うことで、また更に成長していく朔の姿が良かった。
お馴染みの3人に加え新登場のカイコが癖のある良いキャラクターだった。最終話で明かされた彼女や「懐古堂」に関する謎の答えはとても切ないものであり同時に幸せなものでもあった。彼女がこの先も幸せであることを願う。
誰かが遺した想いはきっと後の誰かへと受け継がれていく。読み終えた後、そう思えるような作品だった。

前作に続き面白かった。今後もシリーズ関連作を追っていきたいと思う。

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