童歌が意味するもの、それは……

強い共感覚<エンパス>を持つ、大学生の朔は怪奇事件を扱う探偵の樹神皓志朗の助手をしている。そんな彼が事務所に連れてきたのは、何かに憑かれてしまった部活の先輩。彼女は大切にしていた愛犬を亡くして以来、眠る度に知らない童歌が頭の中で響いているという。やがて、同業者の調香師、百花も調査に加わり、事態は思わぬ方向へと進んでいく。童歌が意味していることとは……。

名古屋と怪奇現象、ときどきグルメな連作現代ファンタジーシリーズ短編。

お馴染みの3人が今回挑むは頭の中で響く謎の童歌。童歌が意味するもの。それはあまりにも悲しすぎる遠い昔の出来事だった。遠い昔の苦しみから解き放たれた二人の魂が少しでも安らかであることを願う。

あと、今作は朔の大学1年の春休みという時系列ということもあり、当シリーズが歩んできた時の流れを感じられた。長期シリーズならではの楽しみ方であり、改めて良いシリーズだなと思った。

面白い短編だった。当シリーズと同じ世界観を共有する『ゴーストハウス・スイーパーズ』も読んでいきたい。

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