モノに宿る念を手繰った先には、想いと祈り、遠い約束。新たに結ぶ絆の糸。

不可思議な依頼ばかり持ち込まれる『樹神探偵事務所』。
今回は『懐古堂』なる骨董店の主人、カイコさんというチャーミングな貴婦(腐)人からの「モノに宿った念」についての依頼です。
異能を持つ樹神先生と同業者の百花さん、見習いの服部少年が力を合わせてモノに宿る念の正体を探るのですが……持ち込まれた品の一つ一つに、涙無くしては読めない深い歴史と強い想いが刻まれていて。
彼らはその想いに真摯に向き合い、強張りを解きほぐし。ただ祓うのではなく、宿った魂たちを救いへと導いてゆくのです。
そんな中、百花さんにもとある試練が。さらに依頼主のカイコさんも何やら訳ありで……

物語自体の素晴らしさは言うまでもなく、店の様子や登場人物の服装、名古屋メシに至るまで様々な描写に惹きつけられます。
タイトルや登場人物の名前、サブタイトルを含め、いろんなところに伏線やヒント、匂わせが散りばめられており、読み進むうちに「ああ! そういうことか」と膝を打つ面白さもあります。この、噛み合わさった時の快感は昇天モノ。
また、シリーズものとあって、登場人物の成長や関係性の変化が見られ、秘密も明かされ…と、楽しみが盛りだくさんです。
笑って泣けて(本当に、何度泣いたことか…)、深い感動と優しさに包まれる至極の作品。全文プリントアウトして、感動ポイントに赤線引いたり感想や考察を書き入れたりしたいぐらいです。
渾身の力で太鼓判を押します。すごく面白いです!!

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