妖しくも悲しい念を持った骨董品達。彼等の哀歌が今宵もカイコ堂に鳴り響く

怪異を専門に扱う『樹神探偵事務所』その所長で不思議な声の能力を持つ樹神皓志郎。共感応という能力を持つ助手の服部朔。異能調香師という和服美女の百花。彼等三人を軸に物語は進む。

この物語は『共感応トワイライト』の続編であります。

今回は、妖しげな骨董品店に持ち込まれる様々な曰く付きの品々についての物語。
いつものメンバーで、モノに纏わりついた念や妖を祓っていくのではあるが……。
今回はいつものメンバーに、妖しげな骨董品店の店主・カイコが参戦する。

さて、妖しげな骨董品に纏わる念を紐解いていくと……。いくつもの感情がみえてくるのだが……。
それは愛憎。それは喪失感からくる無念の念。それは呪物の上書きされた怪異。
そして、それは祈りの思念体。

それぞれの、憑かれたモノの時代背景と人間関係が呼び起こす怪異現象。卓越した背景描写は目に浮かんで来るようです。心理描写からは、それぞれのキャラクター達の心情や息吹まで聞こえてきそうです。

最期の章は特に目を見張る物語です。悲しくも切ないラストに胸が締め付けられる思いです。只々願う祈りは純恋歌のよう……。花火の幕引きがなんとも儚い。

前回からパワーアップした探偵事務所のメンバーの魅力は勿論、飯テロにも大いに期待したい所です。


『樹神』と書いて『こだま』と読む。一風変わった探偵事務所に舞い込む依頼は、果たしてどんな怪異現象が待ち受けているのでしょうね?

その他のおすすめレビュー

甲斐央一さんの他のおすすめレビュー519