思い出が途切れぬように、想いのかけらを大切に拾い上げていく

師匠の樹神先生から、おつかいを頼まれた助手の朔。おつかいの内容はコーヒー豆やお菓子の買い出しではなく、業務に欠かせない特殊な時計の修理でした。朔の支える樹神探偵事務所は、霊や怪異にまつわる案件が持ち込まれる探偵事務所なのです。

事務所の描写に毎回惚れ惚れとさせられていますが、時計の修理のために訪れた骨董店も素敵な雰囲気が漂っています。アンティークの描写が美しいことは言わずもがな、大切に使い込まれた日用品の温かみが目の前に迫ってきます。

ものに宿る声なき声に耳を傾け、主と過ごした日々が紐解かれるとき、涙腺がやんわりとほぐれていきます。
バディの堅い絆と、名古屋めし、美しき婦人の織りなす幻想譚へお越しください。

その他のおすすめレビュー

羽間慧さんの他のおすすめレビュー3,400