何と言っても表現力が凄まじいです。
文字起こしが難しい感覚の世界である芸術の一つ、音楽を小説で楽しむ事ができる本作。私は世界的ピアニストの演奏も生のパイプオルガンの音も聞いた事がありませんが、「きっとこんな景色なんだろうな」という音がしっかりと頭に響いて来ました。
演奏描写もさることながら、不思議な力を持つ『たまご』が存在する世界観や、続きが気になる物語、イキイキとしたキャラ達など、ひとつの小説としても完成されています。
作者様の表現力があちこちで光り、もはや作品そのものが光です。それもただ新しい世界が見えるだけの光ではなく、心が温かくもなる光。
少しでも興味を持たれましたら、ぜひ本作を読んで、聴いてみてください。きっとあなたも気に入るはずです。
音楽に関して全くの無知だった私の世界を広げてくれたのは、間違いなくこの『音楽』なのですから。
書き手として小説で音楽を表現するというのはもっとも難しいことの一つだと思います。
わたし自身チャレンジしたことがあるのですが、まったく上手くいかなかった。
それを表現するどころか、自在にやってのけられて文字と音のオーケストラを描かれる作者様に本当に頭が下がります。
このクオリティは黒須さんじゃないと出せないものではないかなと感銘しながら拝読してました。
不思議な温玉ちゃんに導かれてつながった世界、鏡の向こうは美女の風呂場でした……って大丈夫ですよ、レギュレーションは笑
美女ミラマリアさんは物語のカギを握る重要人物の一人です。
物語に隠された謎は一つの壮大な楽器へとつながっていきます。その楽器を巡って物語が分岐する。音楽は読者をどこへ導くというのでしょう。
とにかく圧巻なので身も心も音楽に包まれて楽しんでください。
生まれた時からバディの卵と暮らす世界。
卵の能力は色々あって、楽器の調律や通信機的な生活に役だつ機能から、もっと異能力的なものまであります。
有名なイケメンピアニストを兄に持つ理音は、ある日自分のバディの卵のお陰で、鏡の向こうの異世界に住むミラマリアさんという女性と知り合います。彼女の世界には楽器が何もないと聞いて驚きますが、同時にこの世には様々な平行世界があることを知りました。
そして、理音の世界には無いパイプオルガンを奏でる男性レヴィン(イケメン)とも鏡を通して知り合い、その音色に魅了されていきます。
彼女の抱いた夢が、やがて世界をまたぐ演奏会を実現させることになって······
現代日本では、パイプオルガンを実際に聴く機会は少ないと思いますが、包まれるような荘厳で温かい音色なんです。その音色を、言葉で表現する、そんな無謀とも言えるチャレンジを成功させている本作品は、本当に素晴らしい演奏を体験させてくれます。
是非、皆様にも味わっていただきたいと思いました。
奏者がイケメンで、理音ちゃんが可愛くて、兄弟妹愛が強くて、師弟愛も美しくて。
世界を超えた恋の行く方も気になるのですけれどね!
様々な魅力満載の作品、お勧めです!
とても軽快なタッチでテンポよくお話が進んでいくのが心地よいファンタジーです。音楽を中心に展開するだけあって、演奏シーンは臨場感のある描写。曲の魅力が最大限に引き出されていて、筆者の曲や楽器に対する造詣の深さを感じさせます。特にオルガンにまつわるお話が面白く、本作を読んでパイプオルガンとはこんなに奥が深い楽器だったのかと気づかされました。
登場人物たちがそれぞれの世界で抱えた複雑な事情も、物語をぐんと深くしています。困難な状況でも場所を超えて人と人との心が結ばれてゆくのは、音楽に対する熱意や愛情、なにより音楽そのものが持つ力なのでしょう。
三つの世界が繋がるときにどんな曲が奏でられるのか、ぜひ鏡の中のコンサートを体験してください。
不思議な能力を持つ卵型の相棒、バディ・エッグが存在する現代風の異世界で、主人公の理音は、実の兄で美形ピアニストの音葉への推し活で、充実した毎日を送っています。
ハレンチな秘密の推し活もありますが、まあ、とりあえず棚に上げまして。
そんな中、理音のバディ・エッグがつないだ鏡越しに、ほぼすべての楽器が失われた世界のミラマリアさん、一つの楽器が永遠に失われようとしている世界のレヴィンさんと出会います。
自分の世界にも最初から存在していない楽器があることを知った理音は、今この瞬間に自分たちができる限り最高の音楽を生み出すため、自重しない推し活の道を突き進みます!
すぐになにかが変えられなくても、失うものがあっても、小さな積み重ねが未来をちょっとだけ良くすることを信じて……それは、同じ瞬間が二度と再現しないからこそ、新しい瞬間が生まれ続ける、音楽に似ているのかも知れません。
たまごが!? と思った人、是非読んでみてください!
理音はイケメンピアニストを兄に持つ20歳の女子大生。
彼女の暮らす世界は、人は相棒となるたまごと一緒にうまれてくるという世界で、それぞれのたまごには不思議な力がある。
理音の相棒の温玉ちゃんは、鏡を使って異世界とつがる事が出来る能力を持っていた!
理音は繋がった異世界の住人と、楽器や音楽という共通の興味について話したりして、ほのぼのと交流を深めていくのだが・・・実はほのぼのしてる場合ではなかった!?
パイプオルガン解体の危機、行くへ不明の理音の兄の事、そして裏の組織なんかも出て来て飽きることなく読めますよ~
まだ途中ではありますが、私は沢山のワクワクをいただきました。
文章で楽しむ美しい音楽のすばらしさは相変わらずですが、今回は作者の楽器への愛もあふれています。
読んで頂けたら、きっと作者さんの描写の力の素晴らしさに驚かされますよ。
あ、あと、理音の兄のシスコンぶりがとてもかわいいです。
是非、読んでみてくださいね!
卵が人間と共存する世界で、世界的な音楽家たちが織りなす物語。
不思議な鏡の力で、偶然にもリモート会議のごとく、違う世界の仲間たちと音楽を通じて交流を持ち始めます。
各々の世界では、楽器がなかったり、オルガン文化が発達していたり、音楽事情がそれぞれ異なっています。
この独特な世界観で紡がれる本作の主人公は、理音さんという女性。
彼女のお兄さん、音葉(通称:音兄)は妹に優しい世界的ピアニストです!
交流が進むに連れて、鏡越しの世界において、パイプオルガンを巡って不穏な動きが……? 素晴らしき音楽文化を守れるのか!?
鏡で繋がった有志たちが立ち上がります!
他の方も書かれているとおり、作者様の音楽の知識が卓越しています。
音楽技巧の表現も秀逸で、音楽に詳しくない私もその迫力が伝わってきます!
音楽にここまで深く扱った小説は、他にはあまりないのではないでしょうか?
不思議な力を持つたまご「温玉ちゃん」のおかげで、つながりを持つはずもなかった人々が音楽を通じて交流する物語。
個性的なキャラたちが織りなす、音楽をテーマにした物語です。
読んでみての印象としては、音楽関係、とくにピアノについての知識が深いということ!
そして一番の見どころは、やはりパイプオルガンをめぐる物語。人々の思惑や政治情勢、それが音楽という文化にまで影響を及ぼす展開には目を見張りました。
ちなみに個人的にビックリしたのは、理音の次兄の登場の仕方。
音葉(通称:音兄)推しの主人公の熱い兄語りも楽しいです♪
今後の展開(レビュー時点での最新話、phrase21まで読破済)も楽しみ!
音楽との関連を見出せずとても惹きこまれる作品でした!
序盤で挟まる語呂がいいという言葉はとても共感できるものでした・・・!
本来の発音よりもこっちではないか・・・という声に出した響きはとても感覚的でありながら重要だと思います!
語り手である主人公が自分を曝け出してもなお高感度が上がる魅力を秘めていながら、さらにバディの扱いがとても素敵でした!
名前や姿・形がとても明確にイメージできる上に喋らずとも愛嬌が感じられるという頼もしい存在ですね!
そんな怒涛の導入からあらすじにある通りの本題へ入り、ここから他のキャラも含める形になるのですが、掛け合いがとても秀逸です。お互いの認識を嚙合わせるだけでここまで頬を緩めてくれる作品はなかなかないでしょう!
ですが、読み進めればドタバタだけでないこともはっきりと感じることができます!
演奏の情景もさることながら、その合間に入る心情がより一層読み手の情緒を揺さぶってくれるでしょう!
そんな不思議な卵と共に歩む物語。みなさんも耳を澄ましてみてはいかがでしょうか?