三つの世界が音楽でつながるとき

とても軽快なタッチでテンポよくお話が進んでいくのが心地よいファンタジーです。音楽を中心に展開するだけあって、演奏シーンは臨場感のある描写。曲の魅力が最大限に引き出されていて、筆者の曲や楽器に対する造詣の深さを感じさせます。特にオルガンにまつわるお話が面白く、本作を読んでパイプオルガンとはこんなに奥が深い楽器だったのかと気づかされました。

登場人物たちがそれぞれの世界で抱えた複雑な事情も、物語をぐんと深くしています。困難な状況でも場所を超えて人と人との心が結ばれてゆくのは、音楽に対する熱意や愛情、なにより音楽そのものが持つ力なのでしょう。
三つの世界が繋がるときにどんな曲が奏でられるのか、ぜひ鏡の中のコンサートを体験してください。

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