ジェットコースターのような日々に乗せられた人間の悲哀が凝縮しています

ある男の起伏に富んだ一時期を切り取った、非常に人間味のある一編。他人に流されるままに店を始めた男が、不意に成功して孔雀になる滑稽。うまく行っているときはおだてあげ、落ち込んでいくと態度が変わっていく周囲の人。家族を背負う悲哀。それが重たくならずどこか可笑しみをもって書かれているのが魅力でした。最後は思ってもいない展開ですが、この幕切れもどこか清々しく感じました。
短編ならではの凝縮された面白さが詰まっている作品です。