概要
愛新覚羅の姫は日本と中国の狭間で喘いだ
中国の宮廷に生まれた美貌の少女は、実父の政の具として日本の大陸浪人・川島浪速の養女に出された。生々流転の短い生涯の末に、母国を売ったスパイとして中国で処刑される。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「男装の麗人」のラベルに隠された川島芳子の人生
「男装の麗人」「東洋のジャンヌ・ダルク」または「東洋のマタハリ」。キャッチフレーズがつけばつくほど本人の実体が見えなくなっていく。この作品を読んで川島芳子という人にそういう印象を抱きました。
大衆を熱狂させるアイドルであれ、ふたつの国の間で暗躍するスパイであれ、べたべたと貼られたラベルの裏に本当はどんな人間が隠れているのか。本書はその人生をときに客観的に、ときに本人の心が宿ったかのような視点で丁寧に紐解いてくれます。
歴史のうねりの中に放り込まれた波乱の人生を自分の足で踏みしめていくような大胆さと同時に、幾層にも重ねられた複雑な心のひだを隠す、道化のような寂しさを湛えた自嘲が感じられ、その最…続きを読む