本エッセイでは、一人の作家が、ファンタジーに限定して、創作の引き出しとして抱える、先人の作品を語り下ろします。
これが、広く、彩(いろ)とりどり。次々と趣向が変わり、解説だけ読んでいても飽きることがありません。
これが、一人の作家が生まれるまでの、背景の厚さです。
私たちはいかなる創作を始める際にも先人による成果を借ります。「巨人の肩に立つ」と申します。小説「ドリトル先生」について、現代芸術(?)の明和電機・土佐信道は「Do little. 一人ができることは少ない」と説明しました。道具は先に仕入れておかないと話は始まりません。
解説を楽しむもよし。自分の引き出しと比べるのもよし。
そして、本エッセイを手がかりに自分の引き出しの中身を増やすことも。
語り口は先人への敬意にあふれています。それも創作者として当然のこと。
創作者が創作者をいかに語るか。その鑑です。