概要
生首を拾ってきた絵師
幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎の生き様。
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- ★★★ Excellent!!!マッドでルナティックでパンクな――幕末のイラストレーター
「ペンは剣よりも強し」という言葉があります。
しかし剣に身を捧げた人が修羅となるように、ペン≒絵筆も時に人を修羅になるまで駆り立てるもののようです。
それを強く強く実感させる河鍋暁斎という絵師の物語でした。
内容は一人のお雇い外国人を語り部としつつも、物語は主に河鍋暁斎の自分の語りで進みます。
この口調がとても読みやすく、読んでいて無理なく情景が浮かびます。
絵を描くということに取り憑かれ、それを「鬼」と表現するまでのいわば渇望。
それは他人から見れば、狂人と指さされても仕方ないものだったのでしょう。
この実在の人物を魅力たっぷりに書かれた物語は、語り口調と相まって心地よい体験です。
一人の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!正気のまま狂い果てながら筆を繰り、闘い続けた絵師がいた
幕末から明治の世で浮世絵師として、日本画家として名を馳せ、“画鬼”の二つ名で呼ばれた河鍋暁斎。その波乱に満ち満ちた人生を当人と、弟子にして親友となったイギリス人建築家ジョサイア・コンドルの語りで綴る物語。
実在の“画鬼”を主人公にしたこの物語、まず目を惹き込まれるのは暁斎さんの語りです。エピソード自体も実におもしろいのですが、穏やかな語りに滲む彼の異様さ――正気の中に灯った狂気を感じさせてくれる著者さんの筆、本当にすばらしい。彼の有名作のひとつである女幽霊を描いた「幽霊図」、本編にも登場していますのでぜひ注目を。まさに背筋を冷たい指先で撫で上げられるような、狂おしいまでのおそろしさを感…続きを読む