腹の中に鬼を棲まわせるとはこういうことか
- ★★★ Excellent!!!
河鍋暁斎という名前を知らなくても一気に物語に吸い込まれます。
作中に登場する色んなモチーフとそれぞれのエピソードがとにかく濃くて、腹の中の画鬼がみるみる膨張して絵師の筆を走らせる様子が目に浮かびます。まさに鬼という表現がぴったりですが、本人の喋りはいたって飄々としていて、それが余計にこの男の狂気と気骨を感じさせました。
冒頭と終わりで案内役を務めるコンドルの最後の言葉は、今を生きる我々にも投げかけられているよう。
ひとりの絵師の生涯から色んなことを感じさせてくれる内容の深さと筆力が素晴らしい作品です。