概要
美しく可憐な少女だった彼女は、かつては帝の寵妃であった。
時は流れ、35歳になった彼女は帝との夜伽も途切れ、後宮でありがちな女たちとの諍いからも身を引いていた。
皇后が没した半年後、彼女は皇后の仕事である後宮の差配(運営)を任された。それは皇后と同じように、女として帝の興味は終わったことを意味していると、彼女は感じた。
秋の定例宴を監督する淑華。
その宴で流刑地から戻った、いわく有りの第二皇子と出会う。
彼の名は朱威龍(シュ・ウェイロン)、18年前、皇太子毒殺に関与し、謀反を企てたとして処刑された貴妃を母にもつ彼は、その巻き添えで北の凍りつくような寒い流刑
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- ★★★ Excellent!!!いけないこと。それがこの上なく、甘露い
後宮という華やかなりしも閉ざされた檻の中で、やがて朽ちると心に決めていた貴妃は、突然嵐のように現れた若く壮健な皇子に迫られてしまいます。貴妃三十五歳、皇子二十五歳。十歳年下。果たして彼はどこまで本気なのか? あるいはただ単にからかっているだけなのか?
だが、彼女はそもそもが彼の父である帝の女であった。そして、ここは後宮。彼を受け入れることは、重罪に値する。
しかし、すでに帝の愛は冷め、彼が通うのは若く愛らしい妃たちのもと。あとは枯れて朽ちてゆくだけの彼女に、彼の接近はあまりに熱かった。
ちょっとヒリヒリする恋愛譚です。これは果たして悲しい結末につながる悲恋なのか? 破滅への愛欲な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!後宮の囚われの貴妃と北の流刑地から帰還した第二皇子。葛藤と情愛の物語。
かつては皇帝の寵姫であった淑華。
しかし、今や皇帝の夜伽も途絶え、ひそやかに暮らす毎日。
十五で後宮に入り既に二十年。今や彼女も三十五歳……
どこか生きることに諦めたように静かに暮らす淑華でしたが、ある時、後宮に北の流刑地から美貌の第二皇子が帰還します。
年齢は十歳も下。
かつて北の地に追いやられる前の彼に会ったことはありましたが、その時とは見違える魅惑的で目の離せない男に姿を変えていた第二皇子、威龍。
彼にはある目的がありました。
そんな威龍の存在は、心を殺し、ひっそり暮らしていた彼女の心を次第に変えていきます。
背徳的で禁断な大人の恋。でも、絶対に読者は応援してしまうはず。
禁…続きを読む - ★★★ Excellent!!!小説を読む醍醐味を味わうならこの作品!
■あらすじ
皇后亡き後、後宮の差配を任された貴妃の淑華。
後宮に閉じ込められて20年の歳月を経、今や寒閨をかこつ身となった彼女は、皇帝の寵を競う女たちの戦いから身を引いて久しい。
そんな彼女の前に、凍てつく北の流刑地に送られていた美貌の第二皇子・朱威龍が現れる。
威龍は18年前、皇太子の毒殺に関与したとして処刑された妃を母に持っていた。
それに疑問を抱いていた彼は淑華に近づき、当時の記録を調べることを頼む。
が、必要以上に距離を詰めてくる彼に、戸惑う淑華。
威龍が淑華に見せる好意は、目的を果たすための策略か。或いは……?
本編全41話の長篇恋愛小説です。
■おすすめポイント
(1)繊…続きを読む - ★★★ Excellent!!!晩秋の後宮。北国から帰ってきた皇子は、『秋』の終わりの始まりを告げる
後宮に連れてこられて20年。
かつて寵姫ともてはやされた主人公も、今では、帝のお渡りも途絶え、後宮の片隅『秋の間』でただひっそりと生きている。
20年間で得たものは、後宮での地位と役職・帝の信頼。
でも、彼女が心から欲していたものはそんなものではなかった。
そんな時、北の地に幽閉されていた美貌の第二皇子が戻ってきた。
彼は、執拗に主人公につき纏い。
その真意は、思慕の情だけだろうか。
第二皇子に翻弄される自分を笑い、打ち消しても、揺れる心は嘘を付けず。
愚かな事だと自覚しつつ、傾いていく想い。
そんなこんなが限りなく美しく繊細に描写されている作品です。
少し大人なモチーフではありますが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!情愛と熱情に取り込まれる
後宮というと、皇帝に愛され、権威と幸福を勝ち取る話と思うだろうか。
だが、本作の主人公淑華は後宮で序列二位である貴妃という立場でありながらも、後宮における生活から身を引いていた。
かつては皇帝の寵姫。しかし今は、夜伽も途絶える。
タイトルにもあるように、緩やかな死の中にいるように彼女は常に寂しさの中にいる。皇帝との邂逅があっても、恋人のような熱情は無い。
本当に、そのまま心が死んでしまうのではないかとすら思われた時に現れたのが、第二皇子である威龍だった。
二人の場面は、皇帝の貴妃と第二皇子という間柄だけには留まらず、どこか背徳的でもあり、威龍の眼差しには意味があるように思えてしまう。
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