概要
【あらすじ(ネタバレ注意)】
相模湾に面して弧を描いた地形の鎌倉は、丘陵に奥深く入り込んだ谷戸(やと)が多く、鎌倉時代から有名な城塞都市でもある。
この地で連綿と血脈をつないできた九暁家は、呪術を主とする巫女の家柄。源実朝を暗殺した公暁を母方の祖先に怨念の世界に生きてきた。
九暁家の当主、九暁辻湖は「巫女さま」と呼ばれ、政財界の重鎮にツテも多い。それは闇の呪術を使う巫女としての名声のためだ。多くの人は祝福ではなく、呪いを求めて辻湖のもとを訪れる。
九暁家の歴史は古く、老齢になった辻湖には血族を存続する義務を持つが、後継者がいなかった。
九暁家が自らの血脈を尊び、近親相姦によって遺伝子を繋いできた弊害である。
九
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!怨念と執念と因縁と……からは、想像出来ないラストに涙することでしょう
加瀬さんが警官になったのは、運命だったのでありましょう。
鎌倉時代から連綿と受け継がれてきた怨念を抱えた九暁家。
両親の仇討ちに執念を燃やす三賀警視。
本人の知らぬところで因縁に導かれた加瀬巡査部長。
三者が出会った時、終わりが始まった。
が……。
相手は、呪い。
捕えて裁くことも、殺すことも出来ない。
術者を捕えても呪いの立証は出来ない。
恐らく、加瀬さんが敏腕陰陽師であったとしても、払えないかもしれないくらい深い怨念。
どう決着付けるんだろ?っと思っていたら……。
おぉ!その手が有ったか!と目からうろこの解決方法。
これは、きっと、加瀬さんでなければ成しえなかったことでありましょう…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ミステリーよりも愛おしく、恋愛ものより感動的。
この作品の魅力は確かにその入り組んだミステリーと言える。計算され尽くした、縦横無尽に張り巡らされた仕掛けと、その展開の妙味である。
いや、それもそうだが、やはり何といってもこの作品の魅力は、登場人物たちが織りなす、人間模様の美しさだろう。
言葉を話せない宜綺と、九暁家の巫女を産む代理母紫緒の静かでしかし燃えるような恋心の美しさ。
変わり者だが優秀なキャリア警官三賀と、彼にじっと思いを寄せ続ける藤島の愛の美しさ。
宜綺の兄にあたる彭爺と宜綺の、普通の兄弟にはない思いやりの美しさ。
あなたは怒涛のようなミステリーに酔いしれながら,思わずその美しさに涙している自分自身に気づくだろう。
つまりこれは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!八百年の因縁に挑む二人の刑事。しかし
鎌倉で起きた家事と、その現場から見つかった三体の焼死体。しかしこれは、長らく続く闇の歴史の、ほんの一端にすぎなかった。
というのも、この死体が見つかった九暁家。実は呪術を主とする巫女の家柄で、裏では呪いなどという怪しげな行為や、法律に引っかかりそうなことも見え隠れ。
しかし有力者との繋がりもあり、警察でもなかなか触れられないという、非常にグレーゾーンな存在となっていたのです。
そんな中、タブーを破ってこの九暁家の謎を暴こうとする者たちがいました。
一人は、鎌倉警察署の刑事、加瀬。そしてもう一人は、はずれキャリアと言われている変わり者の警視、三賀。
加瀬が三賀に呼ばれたことで二人の縁と捜査…続きを読む - ★★★ Excellent!!!脈々と継がれる怨念と、命を賭した執念と、未来につながる信念と
悍ましい出産の儀式から始まる本作。鎌倉の地に息づくある一族の禍々しい歴史が、物語の根幹を担っています。
終始緊迫感のある描写で、ページを繰る手が止まらなくなること請け合い。
警察サイドの捜査のシーンはリアリティたっぷりで、故に『呪い』や『怨念』といった人の手の及ばぬものの底知れぬ恐ろしさに説得力がありました。
第2部以降の主人公・加瀬が仕えることになる、三賀警視の存在感が際立っています。切れ者イケメンで、変わり者。
彼の抱える執念が見えてくるにつれ、物語は加速度的に面白さを増していきます。
緩急のある飽きさせない展開。
血の通った、あるいは血が通ってないんじゃないかと思えるほど異常な、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!闇深い一族を追い詰める刑事の、執念の復讐劇
鎌倉時代から続く、呪術を使う曰く付きの家、九暁家。
令和の現代でも、九暁家は誰かを呪うことで繁栄していたけど、本作はそんな闇深いお家に挑む、刑事たちの物語。
物語序盤から異質すぎる九暁家の様子が描かれ、怨みや怒りが恐ろしいほどによく書かれていました。
そんな本作のキーパーソンとなるのが、九暁家に怨みを持つ刑事、三賀。
公私混同……いえ、私情10割といっていいほど執拗に九暁家の闇に切り込もうとする三加刑事の執着心は、まさに異常!
九暁家を追い詰めようとする執念には、恐怖すら覚えました。
ダークな雰囲気の、オカルトミステリー。
闇深いお家と、それを追う刑事たちの奮闘劇を、ご覧ください。 - ★★★ Excellent!!!圧倒的禍々しさを感じる重厚な作品!
まだ第一章が完結した段階でこのレビューを書いていますが、この作品からは圧倒的禍々しさを感じます。
第一章は紫緒という女性が出産するまでが書かれているのですが、その出産シーンが凄まじいですね。そこに至るまでも物凄く禍々しく、出産シーンに至ってはゾクッとさせられるほどの圧倒的文章力を感じます。
彼女の世話をする宜綺(むべき)、彭爺(ほうじい)、そして出産に関わる男達。
タイトルの『半魂(はんごん)』が何を意味するのかは、現段階では分かっていませんが、この出産は呪われたものであるという事は分かります。
この作品、どうなって行くんだ……?
と、続きが気になって仕方ありません。
作者の雨杜和(あめと…続きを読む