刹那的な青春を生々しく切り取ったノンフィクション

14歳で家出し、売春と放浪を重ねながら本当の愛を探した日々を振り返るノンフィクション。
ただ目の前にある欲求を満たすように刹那的に生きる日々。それでも何も満たされず、むしろ失っていくばかり。
自己嫌悪と自暴自棄にまみれた青春。
愚かだと分かっていても逃れられない蟻地獄のような生活を、あえて自身を突き放すような部分さえある語り口で綴られるところに筆者の潔さを感じます。
それと同時に、若者を搾取する環境がこれだけはびこっている現実も目の当たりにさせられることでしょう。
人間の暗部を書きながらも、それらを乗り越えた筆者による前向きなメッセージに救われる読後感。与えられる側が与える側になることで人は大きく変われるのかも知れないと感じました。
安直な答えではなく、自分で考える力を提示してくれる作品です。

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