本作は超ショート・ショートなホラー集。ショート・ショートといっても並の短さではない。なにせタイトルにあるように一話10文字なのだ。
昨年から連載が始まって今日まで500話以上毎日連載が続いているのも凄いが、それでも総文字数が5000字をちょっと超えるぐらいという短さなのも凄い。
しかし10文字である。漢字が使えるから俳句の十七音よりは長い文章も作れるが、それにしたって短すぎる。当然起伏のあるストーリーや生き生きとした登場人物などを表現できるはずはない。
では、この10文字の中に何があるのか? それは無駄を極限まで削ぎ落すことによって、読み手の想像力を全力で刺激しようとする挑戦だ。読んだ瞬間即座に生理的嫌悪を催す文章もあれば、後からじわじわと怖くなる含みを持たせるような作品もあり、中には怖いというより少しユーモラスな内容のものだってあり、10文字という制限の中で様々な種類の恐怖を表現しようとする試みに溢れている。
人によって何を怖いと感じるかは異なるわけで、中にはあまりピンと来ない怪談もあるだろう。しかし、そういう話を読んでついつい油断していると、突然こちらの心を突き刺す恐ろしい話が姿を見せる。たった10文字と言うこともあって、ついサクサク読んでしまうのだが、だからといって侮ることは決して許されない怪談集だ。
(「サクッと読める! ショートショートの世界!」4選/文=柿崎憲)
【文字は書き連ねるだけが、すべてではない】──そう、この作品は教えてくれることでしょう。
一定以上の文字数の物語りを書くのは難しいですが、逆もまた然りです。
そう思えば、この作品は少ない文字数と制限して物語りを書いている。
ある種、究極の形ではないでしょうか。
あらすじには、『10文字でもちゃんと怖い!を目指します』とあります。
その通り、『10文字でもちゃんと怖い!』です。
……ですが、一度ちょっと考えてみてほしいです。
10文字で物語りが成立していて、尚且つ怖いって凄くないですか?
『文字数の関係で句読点は付かないものが多いです』ということですが、いや、あの、10文字ですから、それはそうでしょうと思う私です。
最新話まで拝読しましたが、句読点がないからと言って読みにくいとは感じませんでした。
というか、句読点がある物語りもあります。
もう、『怖い!』と思ったり、『凄い!』と思ったりするだけです。
是非とも10文字に凝縮された恐怖を堪能してみてほしいです!