陰と陽の男女バディーが挑む除霊バトルは、すべてインドア


 除霊師の弐千佳さんは、クールな黒ツナギのイケメン女子。彼女が専門に除霊するのは、いわゆる事故物件。そこに居つく悪霊を払うのが専門。
 その彼女の元に、新人の助手、有瀬君がくるのだが、彼は明るくてうるさくて軽い。弐千佳さんとは、まったく逆で、ちょっと苦手なタイプ。

 彼の明るさに辟易しながらも、弐千佳さんはつぎの事故物件に挑む。
 住む人に霊障を起こす事故物件。悪霊が住み、呪いと怨念が立ち込めるその室内に籠って彼女は除霊に挑むのだが、連れてきた新人助手の有瀬君が、とにかくうるさい、騒ぐ、騒々しい、しかも服装が派手。あげくの果てに料理を始める。……事故物件で。

 物語は、事故物件の浄化ということで、とにかく内へ内へと入り込みます。その室内で過去に何が起こり、どんな霊障が起きているのか? それを無口でクールな弐千佳さんが体内に取り込んで浄化するという、インナー、インサイド、インドアの陰々とした設定。そこへ、あっけらんかとした有瀬くんがいい差し色になっています。

 また、事故物件に蔓延る霊どもも、一筋縄ではいかない。根深い怨念や暗黒の過去、さらには解きがたい謎を孕んだ悪霊までいる。
 本作は、凡百の除霊物にはない個性と完成度を誇るホラー物である。ただし、恐怖感はきつくない。また、連作の形をとっているので、ひとつのエピソードは長くない。さらに、男女バディー物である。
 そういうのがお好みの方には、ドストライクの作品であろう。




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