こちらの心まで浄化する⁉︎訳あり物件のお掃除、この二人にお任せを!

いつも真っ黒なツナギ姿にアンニュイな雰囲気を纏うイケメン美女、弐千佳(にちか)。対して大荷物を抱え、彼女にぴったりと付き従うのは金髪に柄シャツの青年、有瀬。

どう見ても正反対なこの二人、何やら仕事用らしきバンに乗り込み、迷いなくどこかを目指して走り出すが…?

そう。この二人こそ事故物件に染み付いた幽霊の念を祓い、住み良い部屋へと原状回復させる霊能者―― 『霊的特殊清掃人』なのです。

仕事のアシスタントを探していた弐千佳に紹介されたのは、なんとチャラそうな大学生の青年。大型犬のように遠慮なく距離を詰めてくる有瀬に最初は辟易していた弐千佳だったが、次第に彼の持つ圧倒的な陽の気(陽気ってことじゃありません。陽気ですけど笑)に関心を持つようになる。

しかし弐千佳もまた、生まれながらに大きな陰の気を孕む者。性格だけでなく力の性質もまったく正反対の二人には当然、いくつものトラブルが襲いかかります。それでも手強い霊たちと戦うたびに、二人はお互いにかけがえのない相棒だと気づいていく……。そんな男女のバディストーリーです。

物件に取り憑いた霊との対峙では時に心温かく、時に背筋が凍るような人間ドラマが展開されます。恨み、嫉妬、後悔――そして無念。何年、何十年と降り積もったそれらに対し真摯に向き合う弐千佳の姿勢は、まさに一流の仕事人。しかしそんな彼女でも、ひとりで仕事はできません。そこを精神的かつ胃袋的(笑)に支えてくれるのが有瀬という男なのです。どこにいったら会えますか?。゚(゚´ω`゚)゚。

霊の未練はふたりが物件で過ごすことで徐々に明らかになりますが、わかるようでわからないもどかしさ、結局いつも真相であっと驚かされるミステリ要素はかなりクセになります。ホラーの描写も適度(これ大事。私のような怖がりさんでも大丈夫な絶妙な塩梅です)な演出でひやりとします。そして前作となる某心霊シリーズを読んだファンにはたまらない、あのキャラとのつながりやお馴染みの飯テロ描写など――ああもう、魅力を語り尽くすにはレビュー欄では狭すぎる!(笑)

とにかくとにかく、確固たる筆力と面白さを兼ね備えた素晴らしいバディ・エンターテイメント!凸凹コンビはもう飽きたなんて台詞は、この作品を読み終えてから言ってくださいませ♡

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