詩のように、随筆のように自由に綴られている一編に、力強い人生賛歌が込められています。
生きていることは諦めることであり、重石を背負うことであり、ともすればそんな自分を冷笑することであり。
でも死ぬ間際にこんな境地に至れたらどれほど幸せだろうか。
失くしていたのか、ただ忘れていただけなのか、それは自分にしか分からないこと。
それでも今生きているということや、世界が続いているということは、きっとそこに奇跡の雫が存在するからなのでしょう。
混沌とした世界に降る一滴の雫が、やがてたくさんの雫となることを祈ります。