長い長いトンネルの先に

第一部(#4の終わり)まで読了時点のレビューです。
作品概要と読みきれないほど数多のレビューにより、充分過ぎるほど興味を掻き立てられるので、私は主に読んだ感触を。

まずタイトルからして、ホラーが苦手な私は昨年回れ右しました。
(疲弊により活動休止気味でもあったから、描写次第では受け止めきれない気がした)
けれど著者すずめさんが書くものに対する信頼もあって、一年越しで踏み込みました。

良かった、本当に。
バーン、ひゃー!!!(恐れ泣)みたいなことにはなりません。
ヒタヒタと蠢く怨霊の怖そうな描写はいくらかありますが、「今起こっている現象」と「生きていた時にあった何か」の因果から生じるミステリーを追って事態を解決します。

主人公の弐千佳さんと、そのアシスタント有瀬君を中心とした人間ドラマであり、「かつて生きていた人々」の人間ドラマでもあります。

トンネルの冷たい暗がりさえも己に取り込んでしまうような、闇を抱えて生きてきた弐千佳さんの前に、まやかしではない本物の一筋の光が見えた。
そんなストーリーを追ってみては如何でしょうか。

今はまだ冬の只中でも、その先に春が見え隠れしているからこそ、我々も生きていられるのでしょう。

その他のおすすめレビュー

荒野のポロさんの他のおすすめレビュー426