ゴシックな世界を舞台にした、耽美で妖艶(たまにコミカル)な恋愛小説

行方不明になってしまった父セドリックを探す為に魔物退治の真似事を始めた令嬢アリシア。そんな彼女に付き従うのは、アリシアの幼馴染でもある執事のノクスです。

のっけから出てくるのが美声のマンドラゴラに泣き虫ウィル・オ・ウィスプ。チャーミング(?)なスケルトンと濃いキャラをした魔物達のドタバタに大爆笑必至です。(人気のない場所で読むことをオススメします)
ノクスのキレッキレの毒舌もなかなかに辛辣で、「この人がデレる日が来るのか?」というレベルなのですが、行動の端々に見えるアリシアに対する優しさや愛情に読者はニヤニヤしてしまいます。この楽しいドタバタとノクスのツンデレ具合に一気に引き込まれつつも、行方不明になった父やキーワードとなる「薔薇の花嫁」の情報が少しずつ開示されていき、読者の読む手を止めさせません。

中盤からはノクスの過去や正体に触れていき、アリシアとの仲を全力で応援したくなります。なぜ彼はアリシアの気持ちを受け止められないのだろうか。なぜ令嬢と執事としての線を引かなければならないのだろうか。彼のことを知れば知るほど、結末がどうなるか気になって仕方ありません。
後半になるにつれてシリアス度も増していきますが、随所に散りばめられたコミカル要素も顕在。ものすごく緊迫した場面でも不意に挟まれるコメディに思わず大爆笑してしまいます(人気のない場所で読むことをオススメします)

このコメディ要素が物語に彩りを添えており、文字数をまったく感じさせないところが素晴らしい。読み味としてはかなりコミカルで、笑いながらも甘キュン要素を楽しみたい方に全力でオススメしたい作品です。
もちろん、恋愛小説らしくアリシアとノクスの関係性の変化も注目ポイント。
辛辣な毒舌執事が、甘い笑みを向けてくれる日は来るのでしょうか。
読み始めたらノンストップで読めてしまいますので、ぜひお気軽にロウンズ邸のドアを叩いてみてはいかがでしょうか。きっと1話目でこの世界の虜になってしまうはずです。

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