仕事、恋愛など何事にも健気に真面目に取り組む主人公の菜花の姿に、思わず彼女を応援しながら読んでいました。
自尊心を傷つけられたり、意地悪に近いこともされちゃうんですけど人を恨んだりしない菜花。
上記のような事もありますが、彼女の良さを分かって関わってくれる人たちも沢山いて、あったかい気持ちになれました☆
菜花の恋愛模様も楽しいのですが、お仕事のシーンも描写がとても丁寧で面白く読めます。
あと、食事のシーンも多いんですけど、こちらもやはり描写がわかりやすくて、お腹が空いてきてしまうかも!?
個人的に注目の登場キャラはユウユです。
多分、苦手に思う人もいると思いますが、彼女のおかげで物語が進んでいると言っても過言ではない重要キャラ。
彼女に注目しながら読むのも面白いと思います☆
派遣という立場で、大手ビール会社「アカツキビール」に入社した菜花。
途中、派遣という弱い立場ゆえに理不尽な嫌がらせを受けたり、合コンで好きになった人との恋が叶わなかったり、派遣なのになぜか社運をかけた大型プロジェクトに巻き込まれたり……と、読んでいるうちに段々いたたまれなくなり、菜花は果たしてこの会社に居て大丈夫なんだろうか…?と、心配になってしまいましたが、菜花の恐ろしいほど?のチョロさ、叩かれるたびに強くなるタフさ、そして自分の心にウソをつかず貫いていく芯の強さで、目の前の困難を次々と乗り越え、最後に幸せをつかんでいく姿に、思わず拍手を送りたくなりました。
この作品はストーリーだけでなく人物描写も素晴らしく、菜花以外の登場人物も、チョイ役に至るまで細かい部分まできちんと描かれていて、しかもそれぞれがとても個性的です。
また、会社という組織の光と影の部分も上手く表現されていて、そこで辛うじて綱渡りしながら頑張っている菜花に、心からエールを送りたくなります。
菜花と司のその後がどうなったのかが気になりますが、菜花には、やっとつかんだ幸せを離さず、仕事も恋も成就してほしいと願います。
主人公の大石菜花は、崖っぷち派遣&ヤラミソの30歳で卑屈なところも多く、結婚したいという割には勘違い暴走&自分から行動しないタイプと、なかなか褒める部分が少ない女の子です。
派遣先のアカツキビールの社員や、誘われた合コンのメンバーたちも性格に難アリの人が多く、ほのぼの話というよりは、現実よりもちょっとハードモードです。
しかし、菜花が縁結びの神社と思って通いつめていた神社の人たちと、ある出来事を境に知り合ってからは、人との縁が菜花を強くしていくのがよくわかり、小説後半ではいつの間にか菜花を応援していました。
恋愛に関してはもちろんのこと、新商品開発の話や会社内の権力争いなども現実味があり、また、ときおり挟まれるグルメ話も魅力的です。
綺麗に余韻を残して終了してくれたことも好印象で、これが長編現代ドラマを書くのが初めてとは思えないほど出色の出来だと思います。
是非、ご一読をおススメします!
江田さんの作品は読むの2作目なんですけど、前作は封印師の活躍する和風ファンタジー、今回は恋愛ものの現代ドラマなので全く毛色が違う。どんな話なのだろうと興味津々で読み始めました。
クラフトビール開発にまつわる人間模様、恋愛小説でもありますがその前にかなり読み応えのあるお仕事ドラマでもあります。
この作品に漂う清涼感、それは主人公菜花の魅力ではないでしょうか? 非常に愛らしい性格をしており、不器用だけれど底抜けにいい人、自身ではヤラミソなどと卑下してますが、とっても素敵な女性だと思います。
相手の男性が彼女に惹かれていく過程にはこちらもときめいてしまい、恋って素敵だなぁ、と思いました。
読めば読むほど味わい深い作品なのでぜひ味読を楽しんで欲しいです。
アラサー菜花の「ご縁」を描いた、素晴らしい現代小説でした。
現実ドラマのジャンルに違わないリアリティ溢れる世界観は必見です。
全ての登場人物に違った魅力があり、彼女ら彼らにも「ご縁」がある。そんな繋がりや絆に注目して読んでほしい物語です。
また読みやすく軽快でかつ繊細な文体が、シリアスでドキドキする情景を、コミカルで思わず笑みが零れる展開を、より一層引き立てています。
そしてそして、ご飯の後なのにお腹の虫が鳴ってしまいそうな飯テロも、見どころのひとつです。
とにかく一度は読んでほしい。そんな魅力ある物語です!
たまーーに見かける、路上で酔いつぶれている若い女性。
新橋や歌舞伎町の話ではない、牛込や雑司が谷とか、ごく普通の住宅街で、身なりもきちんとしたOLふうのかわいいお姉さんだ。
オイオイ今どき大の男でもなかなかそこまでやらかさねぇぞと苦笑いして、最寄りの交番には届けておく。
しかし彼女たちもおのおの、本人にしかわからないさみしさや、人生の不公平への怒り、満たされない願いの苦しさに悩んでいたのだろうか。
序盤でかなりやらかす主人公菜花だが、概ね常識人で、年齢のわりには素直でちょろく、かわいくて一生懸命と意外に無敵のスペックを備え、
別の意味で最強の先輩ユウユが自分の武器であるあざとさへの自信をなくしていくくだりは、不思議な痛々しさで胸に迫る。
おもに女性目線で書かれたストーリーですが、
合コンのテーブルの向こう側にいる華やかな彼女たちが本当は何を考えているのか知りたくなった若手や、
そつなく無難に仕事を回せるようになったけど、本当にこれでいいのかわからなくなってきた中堅の男性にもおすすめです